この記事では、医療機関・介護事業所等で働く職員に対し給付される「慰労金」における、
- 給付額
- 給付対象者の条件
- 対象範囲(対象者)の考え方
- 申請手続き
について紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 病院、診療所で働いている
- 介護サービス事業所で働いている
- 慰労金の申請手続きを担当している
慰労金(医療・介護)の給付額と対象者の考え方
まず、結論です。
- 給付額は、最大で1人あたり20万円
- 慰労金は、患者(利用者)と接する職員に対して給付される
- 「患者等と接する」とは、「対面する、会話する、同じ空間で作業する」場合を含む
- 患者等と接する日が1日でもあれば「患者等と接する」に該当する
- 対象者に資格や職種による区分はない(事務職なども対象)
- 対象になるかどうかの判断に迷う場合は、とりあえず、申請しておくこと
- 慰労金の申請は、原則、勤務先を通じて行う(職員個人が手続きを行う必要はない)
それでは、詳しく説明していきます。
新型コロナ慰労金の給付額は、最大で1人あたり20万円
慰労金は、
- 医療機関(病院、診療所など)
- 介護サービス事業所(特養、有料老人ホーム、通所介護、訪問介護など)
のどちらかによって、給付額が変わってきます。
医療機関(病院、診療所など)の給付額
医療機関における給付額は、次のとおりとなっています。
【給付対象・給付金額】
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業のご案内」
わかりやすくすると、
- 新型コロナ患者の診療を行った医療機関等の職員 20万円
- 都道府県から役割を認定された医療機関等であるが、新型コロナ患者の診療を行わなかった医療機関等の職員 10万円
- その他の医療機関等の職員 5万円
って感じです。
介護サービス施設(事業所)の給付額
介護サービス施設(事業所)における給付額は、次のとおりとなっています。
【給付対象・給付金額】
出典:厚生労働省「介護・障害分野の慰労金について」
こちらも、わかりやすくしてみると、
- 新型コロナ感染者・濃厚接触者が発生した通所、施設系サービス事業所の職員 20万円
- 新型コロナ感染者・濃厚接触者に実際にサービスを提供した訪問系サービス事業所の職員 20万円
- その他の事業所の職員 5万円
となります。
ちなみに、「濃厚接触者の定義」は、次のとおりとなっています。
A:濃厚接触者は保健所が判断しますが、保健所等から濃厚接触者の情報が得られない場合について、以下に該当した場合は、対象として差し支えありません。
①濃厚接触者である利用者に保健所から連絡が入る
②濃厚接触者である利用者が、保健所から自身が濃厚接触者であることの連絡があったことについて、事業所に報告
③事業所がそれを認識した上でサービスを提供
※上記について職員の装備や勤務記録、サービス提供記録、その他の書類を踏まえて確からしいと判断がつけば可
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)に関するQ&A(第1版)」
慰労金は、患者(利用者)と接する職員に対して給付される
慰労金の対象者は、次の条件をいずれも満たす人です。
- 患者(利用者)と接する職員
- 対象期間に、10日以上の勤務があること
患者(利用者)と接する職員の考え方
まず、「患者(利用者)と接する」の考え方ですが、
「身体的接触だけでなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する場合を含む」
とされています。
ですので、
- 医事課として、受付や会計を行っている
- 院内清掃を行っている
- 厨房にて勤務しており、配膳業務等を行っている
- 総務課として、病院(病室)内の設備・備品管理等を行っている
- 患者、利用者の送迎担当者
- 事務宿直者として受付対応を行っている
という人なども該当することとなります。
つまり、診療やサービスを行っている医療機関や介護サービス事業所で勤務している人、すべてが該当する可能性があるってことです。
次に、この要件でいう「職員」の定義ですが、
「医療機関等に直接雇用される職員はもちろん、派遣労働者、業務委託受託者の従事者を含む」
とされています。
また、職種や常勤、非常勤等の制約もありません。
ですので、職員とは、「対象事業所で勤務する、すべての人」ってことになります。
対象期間に、10日以上の勤務があること
対象期間とは、
「各都道府県における、新型コロナウイルス感染症患者1例目発生日または受入日のいずれか早い日から6月30日までの期間」
とされています。
なので、この期間に10日以上の勤務がある人が、この要件を満たすことになります。
なお、1日あたりの勤務時間に制約はありませんので、1日1時間勤務でもOKです。
対象になるかどうかの判断に迷う場合は、とりあえず、申請しておくこと
これは、厚生労働省医政局の担当者(コールセンター)に言われたんですが、慰労金の給付対象になるかどうか迷ったら、とりあえず、その人も含めて申請しておいてほしいとのことでした。
理由としては、
「慰労金の交付決定(最終判断)は、各都道府県が行うから」
というものでした。
要するに、「申請しておけば、給付の可能性があるけど、そもそも申請しないと給付されることはない」ということなんだと思います。
なので、
- 患者(利用者)と接する職員
- 対象期間に、10日以上の勤務があること
の条件をいずれも満たすと思われる場合(職員)は、必ず、申請しておきましょう。
新型コロナウイルス感染症従事者慰労金(介護慰労金)の対象者にかかる法的根拠
参考までに、慰労金対象者の範囲について、厚生労働省のQ&Aを載せておきます。
気になる人は、チェックしてみてください。
医療機関等(病院、診療所など)におけるQ&A
(問)
患者と接する医療従事者や職員」とは、どこまで含まれるのでしょうか。
(答)
例えば 、病棟や外来などの診療部門で患者の診療に従事したり、受付、会計等窓口対応を行う職員は通常該当します。
また、診療には直接携わらないものの、医療機関内の様々な部門で患者に何らかの応対を行う職員等は医療機関における勤務実態等に応じて該当するものと考えられます。
一方、対象期間中はテレワークのみによる勤務であったり、医療を提供する施設とは区分された当該法人の本部等での勤務のみであったなどの場合は該当しないと考えられます。
なお、ここでいう「患者 」は、新型コロナウイルス感染症患者に限らず、他の疾病による患者も含みます。
(問)
「医療従事者や職員」には、医療専門職以外の事務職なども含まれるのでしょうか。
(答)
資格や職種による限定はなく、事務職なども対象となります。
(問)
新型コロナ患者の受入病棟と別建物の病棟で勤務する職員でも、 20万円の対象となりますか。
(答)
医療機関単位での判断となりますので、患者と接する職員であれば、 20万円の対象となります。
(問)
業務委託受託者の従事者は、どのような場合に対象となりますか。
(答)
①患者との接触を伴い、かつ、②継続して提供が必要な業務である場合に対象となり、医療機関等における勤務内容によって、ご判断ください。
なお、一般的には、例えば、医療機関等内での受付や会計などの医療事務、院内清掃、患者搬送、患者等給食といった業務は対象となる場合が多いと考えられます。
一方、医療廃棄物処理、寝具類洗濯、設備や機器の保守点検などは一般的に対象となりにくいと考えられますが、各医療機関等における委託業務の内容によって患者と接する場合もあることから、各医療機関等の実態に応じて判断いただくことになります 。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業のご案内」
介護サービス施設と事業所におけるQ&A
(問)
利用者と接する職員とは、職種で判断するのではなく、事務員等でも臨時的に利用者に接する業務を行った場合は対象となると解釈して良いでしょうか。
また良いとした場合、その臨時的対応が10日未満であっても事業所での勤務日が10日以上あれば対象と考えて良いでしょうか。
(答)
お見込みのとおりです。
利用者との接触とは、身体的接触に限られるものではなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する場合も含まれます。
利用者がいる建物から離れた別の建物に勤務し、物理的に利用者に会う可能性が全く無いような場合は対象とはなりません。
また、利用者と接触する日が1日でもあれば対象となります。
なお、最終的な判断は都道府県が行うこととなりますが、一義的には各事業者で判断いただくことになります。
(問)
「利用者との接触を伴い」かつ「継続して提供することが必要な業務」の趣旨は、どのような業務内容を指すのか具体的にお示しください。
また、同一建物内の事業所・施設等に勤務している職員であっても上記趣旨に合致しない場合は、対象にならない者もいると解して良いでしょうか。
(答)
利用者との接触とは、身体的接触に限られるものではなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する場合も含まれます。
利用者がいる建物から離れた別の建物に勤務し、物理的に利用者に会う可能性が全く無いような場合は対象とはなりません。
継続して提供とは、一定の期間継続的に提供することを前提とした業務であれば対象として差し支えありません。
なお、最終的な判断は都道府県が行うこととなりますが、一義的には各事業者で判断いただくことになります。
(問)
慰労金について、日常的には施設利用者とは接することが少ない常勤事務職員の場合、一度でも利用者と接したことがあれば対象となりますか。
また、どの職種まで対象なのでしょうか。介護職員のみなのか、それとも、調理員や清掃員、宿直員を含むのでしょうか。
(答)
対象期間に1日でも利用者と接した職員は対象となります。また職種に限定はありません。
(問)
実施要綱3(2)ア(ア)(Ⅰ)で施設等に勤務し、利用者と接する職員とありますが、具体的にはどの範囲までが対象となりますか(事務職員、清掃員、調理師等も対象となりますか)。
また、対象者の確認方法をどうすれば良いでしょうか。
(答)
対象職種には限定はありません。
申請様式において確認するとともに、各事業所においては都道府県からの求めがあった場合に関係書類が提出できるよう適切に保管する取扱とします。
(問)
施設等の厨房や送迎の職員は対象に含まれますか。対象施設等に併設された法人本部職員が、利用者と接している場合には対象に含まれますか。
(答)
支給対象は職種で区分していないので、ご指摘の職員も対象となり得ます。
(問)
事務職員、給食調理員、リネン業務員、運転手についても、「利用者との接触を伴い」かつ「継続して提供することが必要な業務」に合致する状況下で働いていると判断されれば、給付対象となるのでしょうか。
(答)
お見込みのとおりです。
(問)
実施要綱3(2)ア(Ⅱ)②「慰労金の支給事業」の対象について、「利用者との接触を伴い」かつ「継続している提供することが必要な業務」に合致する状況下で働いている職員とされていますが、条件に合致する場合、以下の職員も対象に認められますか。
例)清掃等の受託契約で従事する者、食事介助や洗濯等のボランティア、デイサービス送迎車の運転手
(答)
実施要綱のとおり、要件に該当した職員、派遣労働者、業務受託者において対象となります。
ボランティアについては対象となりません。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)に関するQ&A(第1版)」
新型コロナ慰労金(医療・介護)の申請手続き
慰労金は、
- 医療機関等であれば、その医療機関ごと(診療報酬オンライン請求システム単位)
- 介護サービス事業所であれば、法人単位(介護電子請求受付システム単位)
での申請となります。
なので、原則は、職員個人が手続きを行う必要はありません。(職場の担当者がやってくれるはず)
ただ、医療機関や介護サービス事業所等をすでに退職している場合で、勤務していた病院や事業所等を通じた申請が難しい場合は、個人が直接申請することもできるようです。
このとおり。
(問)
医療機関等をすでに退職している職員の場合、どのように申請すればよいでしょうか。
(答)
原則として、 勤務していた 医療機関等を通じて申請してください。
勤務していた医療機関等を通じた申請が難しい場合は、 勤務して いた医療機関等の勤務証明など必要な書類を揃えた上で個人申請いただくことになります。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業のご案内」
もし、「勤務している(していた)職場が、慰労金の申請をしてくれているか不安・・・」という人は、
「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金代理受領委任状」
をあなたが職場に提出したかどうかで、ある程度、申請の有無を判断することができます。
こんな様式です。
この委任状は、医療機関や事業所が慰労金の申請をするときに、職員からもらわなければならないことになっています。
なので、この委任状を書いていれば、申請がされるはずです。
逆に、委任状を書いていないなら、申請されているか怪しいです。
そんなときは、念のため、職場の担当者に確認したほうがいいかもしれません。
ただ忘れているだけなのか、それとも、慰労金の対象にならないと判断されているのか、明確にしておいたほうがいいと思いますので。(すでに退職している人なら、特にです)
まとめ
ここで、「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金および介護慰労金」の対象者の考え方についておさらいです。
- 医療機関および介護サービス事業所で働き、患者(利用者)と接する職員に対して給付される
- 患者(利用者)と接するとは、身体的接触はもちろん、「対面する、会話する、同じ空間で作業する」場合も含むため、「対象事業所で勤務する、すべての人」が対象になる可能性がある
- 対象者に資格や職種、勤務形態による区分はない(派遣労働者、委託業者の職員なども対象)
- 対象になるかどうかの判断に迷う場合は、とりあえず、申請しておくこと
- 慰労金の申請は、原則、病院や施設・事業所などの職場を通じて申請する
医療機関等の慰労金と介護サービス事業所の慰労金は、厚生労働省内の管轄(医政局・老健局)が違うため、場合によっては、解釈(取り扱い)に多少の違いがあるかもしれません。
たとえば、「患者(利用者)と接する職員」の考え方とか・・・
ただ、最終的には、都道府県が判断するので、僕としては「違ってもあんまり影響ないかも!?」って思ってたりします。
結局、大切なのは、「迷ったら、とりあえず、申請しとけ!」ってことで、判断は都道府県に任せればいいので。
ちなみに、慰労金については、こちらのページですべての資料を見ることができます。
気になる人は、ぜひ、チェックしてみてください。
⇒厚生労働省「医療・介護・障害福祉に従事される方々への新型コロナ緊急包括支援交付金関連情報」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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