以前の記事で、「Ⅰ型介護医療院のサービス費の違い」について紹介しましたので、今回は「Ⅱ型介護医療院のサービス費」における、
- 介護報酬(単位数)
- 人員基準
- 入居者要件(算出方法含む)
の違いについて紹介します。
なお、「Ⅰ型介護医療院のサービス費の違い」については、こちら記事をご覧ください。
Ⅱ型介護医療院のサービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)の基準はほぼ変わらない
Ⅱ型介護医療医療院のサービス費は、Ⅰ型介護医療院と同様に3つに分かれていますが、Ⅱ型の場合、施設基準および算定要件にほぼ違いはありません。
ですので、Ⅱ型介護医療院の開設を検討するなら、確実に「サービス費(Ⅰ)」を狙いましょう!!
ちなみに、何が違うのかというと、
介護職員の配置人数
だけです。
ただ、その介護職員の配置人数によって、介護報酬(単位数)は変わってきますので、
「介護職員の人数を、あまく見るんじゃねーぜ!!」
って感じですかね~(笑)
Ⅱ型介護医療院のサービス費(多床室)の比較「要介護度別単位数」
入居者1人あたりの1日ごとの単位数です。
(単位:単位)
要介護度 |
サービス費(Ⅰ) |
サービス費(Ⅱ) | サービス費(Ⅲ) |
要介護1 | 758 | 742 | 731 |
要介護2 | 852 | 836 | 825 |
要介護3 | 1,056 | 1,040 | 1,029 |
要介護4 | 1,143 | 1,127 | 1,116 |
要介護5 | 1,221 | 1,205 | 1,194 |
サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)における単位数の違いは、最大で27単位です。
Ⅰ型介護医療院に比べると、介護報酬の差が少なくなっています。(Ⅰ型の場合は、28~36単位の違いがあります)
Ⅱ型介護医療院のサービス費別人員基準(看護・介護職員)の比較
続いて、唯一の違いである「人員基準」です。
違いがあるのは介護職員だけですが、比較しやすいように、看護職員の配置基準も載せています。
職種 | サービス費(Ⅰ) |
サービス費(Ⅱ) |
サービス費(Ⅲ) |
看護職員 | 入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
介護職員 | 入居者4人に対し1名配置 (4:1) |
入居者5人に対し1名配置 (5:1) |
入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
ちなみに、60床の介護医療院で試算した場合、次のような人員配置になります。
- 看護職員 10人
- 介護職員
15人(4:1の基準の場合)
12人(5:1の基準の場合)
10人(6:1の基準の場合)
Ⅱ型介護医療院の入居者要件はすべて共通
Ⅰ型介護医療院と同様、Ⅱ型介護医療院にも「入居者要件」が設定されています。
ただ、Ⅰ型介護医療院と違い、Ⅱ型介護医療院の場合は「サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)」まで、すべて共通の要件となっています。
ちなみに、入居者要件は、次の3つです。
- 医療処置の実施状況
- 重症者の割合
- ターミナルケアを行う体制
それでは、入居者要件の条件についてみていきます。
入居者要件は「医療処置の実施状況」「重傷者の割合」のいずれかを満たすこと
まず、1つ目の条件ですが、「次の3つの要件のいずれかを満たすこと」です。
- 著しい精神症状、周辺症状若しくは重篤な身体疾患が見られ専門医療を必要とする認知症高齢者(認知症の日常生活自立度M)の占める割合が20%以上
- 著しい精神症状、周辺症状若しくは重篤な身体疾患又は日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ専門医療を必要とする認知症高齢者(認知症の日常生活自立度Ⅳ以上)の占める割合が25%以上
- 喀痰吸引若しくは経管栄養が実施された者の占める割合が15%以上
ターミナルケアを行う体制
2つ目の条件は、「ターミナルケアを行う体制があること」です。
詳細は、次のとおりです。
医師が一般的に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者に対し、入居者等又はその家族等の同意を得て、当該入居者等のターミナルケアに係る計画を作成し、医師、看護師、介護職員等が共同して、入居者等の状態又は家族の求め等に応じ随時、入居者等又はその家族等への説明を行い、同意を経てターミナルケアを行う体制であること。
出典:厚生労働省「介護保険法関係法令」
入居者要件をまとめると、「次の2つの条件を満たすこと」となります。
- 「医療処置の実施状況」「重傷者の割合」のいずれかを満たす
- ターミナルケアを行う体制
「重傷者の割合」および「医療処置の実地状況」算出表
「Ⅱ型介護医療院の基本施設サービス費に係る届出(別紙13-6)」に、
- 医療処置の実地状況
- 重傷者の割合
の算出表が明示されていますので紹介します。
これを使うと、計算(算出)しやすいと思います。
医療処置の実施状況
基準値ですが、次のとおりです。
- ③の割合が20%以上
- ⑤の割合が25%以上
① | 前3ヶ月間の入所者等の総数 | 人 |
② | ①のうち、日常生活自立度のランクMに該当する入所者等 | 人 |
③ | ①に占める②の割合 | % |
④ | ①のうち、日常生活自立度のランクⅣ又はMに該当する入所者及び利用者 | 人 |
⑤ | ①に占める④の割合 | % |
重度者の割合
基準値は、⑤の割合が15%以上となります。
① | 前3ヶ月間の入所者等の総数 | 人 |
② | ①のうち、喀痰吸引を実施した入所者等の総数(2) | 人 |
③ | ①のうち、経管栄養を実施した入所者等の総数(3) | 人 |
④ | ②と③の和 | 人 |
⑤ | ①に占める④の割合 | % |
【注意点】
- ②及び③のうち複数に該当する者については、各々該当する数字の欄の人数に含めること。
- 過去1年間に喀痰吸引が実施されていた者(入所期間が1年以上である入所者にあっては、当該入所期間中(入所時を含む。)に喀痰吸引が実施されていた者)であって、口腔衛生管理加算又は口腔衛生管理体制加算を算定されているものを含む。
- 過去1年間に経管栄養が実施されていた者(入所期間が1年以上である入所者にあっては、当該入所期間中(入所時を含む。)に経管栄養が実施されていた者)であって、経口維持加算又は栄養マネジメント加算を算定されているものを含む。
認知症高齢者の日常生活自立度
参考までに、入居者要件に記載されている「認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準」について紹介していおきます。
なお、厚生労働省の資料からの引用です。
ランク | 判定基準 | 見られる症状・行動の例 | |
Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 | ||
Ⅱ | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 | ||
Ⅱa | 家庭外で上記Ⅱの状態が見られる。 | たびたび道に迷うとか、買い物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ等 | |
Ⅱb | 家庭内でも上記Ⅱの状態が見られる。 | 服薬管理ができない、電話の対応や訪問者との対応などひとりで留守番ができない等 | |
Ⅲ | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする。 | ||
Ⅲa | 日中を中心として上記Ⅲの状態が見られる。 | 着替え、食事、排便・排尿が上手にできない・時間がかかる、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声を上げる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等 | |
Ⅲb | 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる。 | ランクⅢaに同じ | |
Ⅳ | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。 | ランクⅢに同じ | |
Ⅴ | 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 | せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等 |
入居者要件を満たせない場合の「Ⅱ型特別介護医療院サービス費(多床室)」
もし、介護医療院の入居者要件を満たせない場合、次のような単位数となります。
【特別介護医療院サービス費の単位数】
要介護度 | 特別介護医療院サービス費 |
要介護1 | 694 |
要介護2 | 784 |
要介護3 | 978 |
要介護4 | 1,060 |
要介護5 | 1,134 |
サービス費(Ⅰ)と比較すると、1日あたり64~87単位下がります。
なお、その他にも、いくつかの加算が算定できなくなるので、実際にはもっと大きな減収になっちゃいます・・・
まとめ
ここで、Ⅱ型介護医療院の「サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)」の基準の違いについてまとめておきます。
- 最大で、1人1日あたり27単位の介護報酬が違う
- 施設基準および算定要件で違いがあるのは、介護職員の人員配置のみ
見てのとおり、施設基準および入居者要件は、ほぼ同じです。
ですので、Ⅰ型介護医療院と同様に、Ⅱ型介護医療院を開設するなら「サービス費(Ⅰ)」の1択しかありません。
ぜひ、介護職員さんを積極的に雇用し「サービス費(Ⅰ)」を狙いましょう!!
でも・・・
「介護職員さんの人員配置」が一番の問題なんですよね~
超採用困難職種なんで・・・(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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