「担当者しかわからない」をなくそう【属人化をなくす4つの手順】

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チーム、パズル、属人化

マネージャー(管理職)を悩ませる問題として、

「属人化(ぞくじんか)」

がありますよね。

 

属人化した組織(部署)は、

  • 知識やノウハウが共有されない
  • 担当者がいないと誰も対応できない
  • 業務がブラックボックス化する
  • 職員の成長が阻害される
  • 新入職者が定着しない(すぐに辞めちゃう)

など、組織にとってのデメリットが多いです。

属人化とは、特定の業務について、その業務を担当している人しかやり方がわからない状態のことです。

 

とはいえ、属人化はなくなりません。

「自分しかできない」って、個人にとって、気持ちがいいからです。

なので、意識して対策を講じないと、組織は、どんどん属人化していきます。

 

そこで、この記事では、

「属人化をなくし、予防するための4つの手順」

について、まとめておきます。

 

「経営改善や業務改善を任された」など、属人化の改善に頭を悩ませている人に読んでいただけると嬉しいです。

この記事は、僕の経験則をもとに書いています。
また、すべての職種・業態にあてはまるものではありません。

属人化(ぞくじんか)は、こうやってなくす!

属人化した組織(部署)は、次の手順で改善していきます。

  1. すべての業務を把握し、業務一覧を作成
  2. 業務分担を見直す「横割りの業務分担・日常業務等のローテーション化」
  3. 業務マニュアルの作成
  4. 定期的な担当業務の入替

 

それでは、1つずつ、詳しく説明していきます。

すべての業務を把握し、業務一覧を作成

属人化をなくすには、まず、その部署のすべての業務を把握しなければなりません。

どんな業務があるかがわからないと、どの業務が属人化しているかがわからないからです。

なので、改善したい部署のすべての業務を一覧表にします。

担当しているすべての業務を出してもらう

業務については、その部署の担当者一人ひとりに依頼し、自分が担当している業務をできるだけ細かく、箇条書きでよいので出してもらいます。

それは、「電話対応」から「郵便物の配布」など、どんな細かい業務でもです。

 

できれば、

  • その業務にかかる時間
  • 実施頻度(毎日・週1回・月1回など)

も出してもらうと、業務のボリュームや偏りもわかるので、業務分担の見直しをするときや担当者の変更(引継ぎ)をするときに、かなり重宝します。

 

そして、各担当者に出してもらった業務を一覧表にまとめます。

一覧表としては、こんなイメージです。

【担当業務一覧表】

担当業務一覧(参考様式)

 

【無料ダウンロード(エクセルファイル)】

tanntougyoumuitiran2023

各担当者に担当業務を出してもらうとき、一覧表(様式)を配布して、その一覧表に入力してもらうようにすると、まとめるのが楽になります。

 

もちろん、「新しい業務が追加になったとき」や「不要な業務を廃止するとき」などは、その都度、担当業務一覧を更新します。

担当業務一覧を作成するときの注意点

業務一覧を作成するときに、一番気をつけないといけないことは、

「モレがないか?」

です。

 

属人化をなくすことに、協力的な職員さんはいいんですが、「自分しかできない仕事がある」ってことに存在意義を感じているような職員さんの場合、

  • 自分の仕事が奪われるんじゃないか?
  • 存在意義が失われるんじゃないか?

って思って、細かく業務を出してくれないことがあります。

 

つまり、属人化をなくすことに、非協力的ってことです。

そういう人には、根気強く、丁寧に、組織における属人化の問題点を伝え、理解してもらいましょう。

 

ちなみに、担当業務一覧を個人ごとではなく、部署ごとに作成するのは、属人化に非協力的な人への対応を兼ねています。

部署単位で、担当業務一覧を作成しておくことで、

  • 組織として、属人化の問題に取り組んでいる
  • 属人化を助長する人の評価はしない

という姿勢を伝えやすくなるからです。

業務分担を見直す「横割りの業務分担・日常業務のローテーション化」

担当業務一覧を作成したら、業務分担を見直します。

見直しを行うときの注意点は、次の2つです。

  • 縦割りではなく、横割りの業務分担
  • 日常業務等のローテーション化

 

縦割りではなく、横割りの業務分担とは?

属人化をなくす(減らす)という意味では、業務分担は、縦割りではなく、横割りにしたほうがいいです。

【縦割りの業務分担】

縦割りの業務分担

 

【横割りの業務分担】

横割りの業務分担

 

ある業務の一連の流れが、1~5に分かれていると仮定した場合、縦割りの業務分担だと、各担当者が特定の業務しかできません。

そして、ほとんどの担当者が最終成果物のイメージができないため、仕事が作業になりやすく、モチベーションが上がりづらいです。

また、責任の所在もあやふやになります。

 

一方、横割りの業務分担だと、各担当者が一連の流れで、すべての業務を行うため、誰かが休んでも、他の担当者が対応できます。

また、責任の所在も明確になるうえ、業務スケジュールを自分のペースにあわせて、コントロールできるので、モチベーションも上がりやすく、責任感を持って働いてもらえます。

この説明では、横割りの業務分担を部署で分けましたが、分け方はなんでも良いです。(例:職種、地域など)

日常業務等のローテーション化とは?

毎日必ず行うなどの日常業務や作業効率などの関係上、横割りの業務分担にできない業務もあるかと思います。

そういう業務は、当番制にして、一定期間(1週間とか)で、ローテーションさせると、属人化を防げます。

 

たとえば、

  • 小口現金
  • 窓口現金
  • 日報の作成

などです。

 

業務分担の見直しを行ったら、担当業務一覧を変更し、業務ごとの担当者を決めます。

で、担当業務一覧を全員に配布し、現担当者から引継ぎをしてもらいます。

「業務分担の見直し」は、1度やったら終わりではなく、部署のみんなの意見を聞きつつ、修正を繰り返すことが大切です。

業務マニュアルの作成

業務分担の見直しを行ったら、必要に応じ、各業務のマニュアルを作成します。(作成してもらいます)

業務マニュアルについては、決まった様式や作成ルールがあるわけではないので、自由に作成してOKです。

 

とはいえ、「自由につくってね!」が、逆にツラい人もいると思うので、参考程度ではありますが、僕がマニュアルをつくるときに意識していることと、フォーマット(型)について紹介しておきます。

マニュアル作成時に意識していること

僕は、次のことを意識して、マニュアルをつくっています。

「その辺を歩いている人に、マニュアルを渡して、その業務ができるか?」

 

業務マニュアルって、自分のためでもありますが、基本は、相手に伝えるためのものです。

マニュアルって、結構、自分(作成者)よがりの仕上がりになりやすいので、「その辺を歩いている人に、マニュアルを渡して、その業務ができるか?」を意識しておくと、相手視点でわかりやすいマニュアルが出来上がると思います。

業務マニュアル作成時のフォーマット(型)

業務マニュアルには、次の順で作成するようにしています。

【業務マニュアルのフォーマット】

No 項目 記載内容
業務の概要
  • 何のためのどういう仕事か?
  • 業務の目的
  • 実施時期
  • 提出期限
準備するもの
  • この業務を行うために必要な資料等(データや書類など)
  • その資料を準備する方法(出力方法や保存先など)
作業手順
  • この手順通りやれば、その業務が完了できるように1から順に説明する
  • スクリーンショットなどを活用し、画像などを使用する
  • 作業時の注意点を入れる
  • 複雑な業務も極力シンプルに、作業レベルまで落とし込む
提出先・保存先
  • 作成したデータや書類などの提出先および保存先

 

業務マニュアルは、あんまり難しく考えずに、まずざっくりと作ってみて、少しづつ精度を上げていけばいいと思います。

修正は、いつでも、何度でもできますので。

定期的な担当業務の入替

担当業務は、定期的に入れ替えることで、属人化を予防できます。

担当業務の入替って、職員の退職や異動がないとなかなか行われないので、できれば、期間を定めるなどして、組織(部署)の習慣にしちゃったほうがいいです。

 

そのとき、担当業務を丸々入れ替えるのは、職員の負担になるので、負担にならない範囲で、いくつかの業務ごとに担当者を変えていくといいと思います。

そして、担当業務の入替をするときは、作成した「担当業務一覧」を活用しましょう。

【担当業務一覧】

担当業務一覧(現担当者・新担当者))

 

現担当者と新担当者に名前を入れて、配布すれば、誰が何の業務を担当し、誰と引継ぎを行えばいいかが明確です。

マネージャーとしても、管理がしやすいと思います。

 

ちなみに、担当業務の定期的な入替は、「属人化の予防」という効果だけじゃなく、「仕事の飽き」に対しても効果があります。

個人差はあると思いますが、できるようになった仕事(業務)を、ずっとし続けるのって飽きますよね?

 

わからないこと、新しいことって、結構な刺激になるので、「仕事の飽き」を緩和できます。

マネージャーとしても、職員の成長は嬉しいですし。

僕は、すぐに飽きちゃうので、できるようになった仕事は、極力、部下に任せるようにしています。できれば、やったことないことだけやりたいので。

属人化にメリットがあるのは、短期的な成長過程のみ

繰り返しにはなりますが、組織にとって、属人化はデメリットが多いです。

とはいえ、メリットがないわけではありません。

 

僕としては、

  • 組織(会社)を立て上げて間もない
  • 新たな事業(業務)を始めた

など、短期的に組織を成長させるフェーズにおいては、属人化の効果があると思っています。

たとえば、経営者やリーダーが強烈なパフォーマンスでまわりを引っ張るみたいなことです。

 

ただ、組織や事業の規模が大きくなってくると、属人化のメリットがデメリットに変わっていきます。

なので、タイミングをみて、属人化を減らし、仕組みで業務がまわるように、そして、仕組みで成果が出せるように切り替えていくことが大事だと思います。

「誰でも仕組みで同様の成果が出せる組織」を目指す

属人化とは、言い換えれば、「人に依存した組織(部署)」です。

つまり、「誰かがいないと成果が出ない」組織ってことです。

 

逆に、「属人化のない(いわゆる、標準化)」とは、次のような組織(部署)のことです。

  • 誰でも仕組みで同様の成果が出せる
  • 普通の人が、仕組みで非凡な成果を出せる
  • 人に依存せず、仕組みで成果が出せる
  • 一人ひとりでは普通だけど、組織として優秀な成果を出せる
  • 成果に対する再現性が高い

 

こういう組織(部署)は、ほんと最強だと思います。

入職時の職員さんの経験や知識に関係なく、同じ成果が出せるわけですから。

僕は、こういう組織を「最強の素人集団」と呼んでいます。

 

また、属人化のない組織(部署)は、職員の採用も一気に楽になります。

経験や知識を気にせず、同様の成果が出せるなら、採用条件は「人として良い人(人柄)」だけでOKなので。(採用条件は、少なければ少ないほど採用しやすくなります)

 

そういう意味では、人材不足の業界こそ、属人化の改善に注力すべきだと思います。

 

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まとめ

ここで、「属人化をなくし、予防する4つの手順」について、おさらいです。

  1. すべての業務を把握し、業務一覧を作成
  2. 業務分担を見直す「横割りの業務分担・日常業務等のローテーション化」
  3. 業務マニュアルの作成
  4. 定期的な担当業務の入替

 

継続していく組織をつくるうえで、属人化は大きな問題です。

なので、属人化してしまう前に、対策をしておいたほうがいいと思います。

ガチガチに属人化してからだと、改善って、結構、大変なので。

 

とはいえ、難しく考え過ぎちゃうと、属人化の問題に、なかなか手が付けられないってことが起きちゃうので、

「同じ業務を2人以上ができるようにすればいいだけ」

って思って、少しづつでも取り組んでいくことが大切だと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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