今回は、現在、日本中を悩ませている「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」についてです。
うちの施設では、数年前に、高圧受電設備(キュービクル)の更新を行っており、
- 変圧器(トランス)5台 約1,500kg
- コンデンサー 5台 約54kg
が、施設に保管されています。
そんな状況のなか、建物管理をお願いしている委託業者さんから「PCBの処分」について、次のような衝撃の提案がありました。
- 平成34年3月31日までに処分しなければならない
- 処分費 約700万円(収集運搬費を除く)
- 処分業者は、1社限定(JESCOのみ)
この提案を見て、思わず叫んだ言葉は、
- え!?バカなの?
- 処分費700万円って、ぼったくり過ぎじゃない!?
- PCBさん、つーか、あんた何者なの???
でしたーーーーー!!!(心の声ですよ)
そこで、全く興味のなかった「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」について、興味を持たざるを得なくなっちゃいましたので、不本意ではありますが、がっつり調べてみましたのでまとめておきます。
PCBとは、工業的に合成された化合物(油状の物質)
まずは、「PCBって何者なんだい?」という素朴な疑問から。
PCBとは、人工的につくられた油状の物質で、電気機器等の絶縁油や潤滑油として使用されていたものです。
主に、次のような機器に使われています。
- 高圧受電設備(キュービクル)内の変圧器(トランス)
- 高圧受電設備(キュービクル)内のコンデンサー
- 業務用蛍光灯などの安定器
こんな感じの機器です。(環境省のパンフレットから引用します)
PCBは、人や動物にとって有害なため製造中止になった
PCBの主な特徴(性質)としては、次の4つです。
- 水に溶けない
- 化学的に安定
- 絶縁性が良い
- 沸点が高い
なお、PCBは、人や動物にとって有害であるため、昭和28年から製造され、1972年(昭和47年)に製造中止となっています。
毒性としては、
- ニキビのような吹き出物
- 皮膚の黒ずみ
- まぶたや関節の腫れ
などが報告されています。
PCBは、国際条約で処分が義務付けられている
PCBの処分については、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)において、処分が義務付けられています。
なお、この条約は、
- 人の健康の保護
- 環境の保全
を目的としています。
PCBの処分期限
高濃度PCB廃棄物
- 平成34年3月31日までに処分
⇒変圧器、コンデンサー - 平成35年3月31日までに処分
⇒安定器
あと、4~5年しかありません・・・
低濃度PCB廃棄物
平成39年3月31日までに処分
あと、9年弱の猶予がありますね。
なお、使用(保管)している機器が、高濃度PCBに該当するかどうかの判別は、製造したメーカーに問い合わせてください。
高濃度PCBの収集運搬および処分業者は限定されている
低濃度PCBの処分については、民間の無害化認定処理施設(環境大臣認定)が行いますが、高濃度PCBの処分については、国の100%出資法人である「JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)」以外、行うことはできません。
また、高濃度PCBの収集運搬についても規制が厳しく、「JESCO」が許可した業者以外、行うことができなくなっています。
高濃度PCBの収集運搬業者の条件
- 「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」業者
- JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の入門許可業者
高濃度PCBの処分業者
- JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)
- 処分場は、全国5箇所のみ(北海道、東京、愛知、大阪、北九州)
PCBの処分費は、凄まじく高い
PCBの処分費は、全国統一価格となっており、JESCOが定めています。
はっきり言って、ちょーーーーーーーーー高額です!!
興味があれば、「JESCO公式サイト」でチェックしてみてください。
最初に紹介しましたが、うちの場合は、
- 変圧器(トランス) 約1,500kg
- コンデンサー 約54kg
で、約700万円です。(収集運搬費を含んでいません)
完全にアホな金額です・・・(笑)
中小企業等処理費用軽減制度
中小企業さんには、嬉しすぎる補助制度があります。
条件を満たすかどうか、チェックしてみてください。
なお、補助制度に該当する場合は、
- 中小企業の場合 70%の補助
- 個人の場合 95%の補助
となります。
できれば、すべての企業(施設)を対象にしてほしいです・・・(うちは対象じゃないです)
まとめ
ここで、「PCBが何者なのか?」についてまとめておきます。
- 工業的に合成された化合物(油状の物質)
- 人や動物にとって有害
- 国際条約で処分が義務付け
- 高濃度PCBの処分は「JESCO」1択
- 処分費が凄まじく高い
このポイントだけ見ちゃうと、
「放射性物質か?」
と疑いたくなるような待遇です。
まー、難しいことはわかりませんが、「とんでもなく、スゲーやつ」ってことはわかりました~
ちなみに、日本国内で約54,000トンの使用量があるそうなので、まだまだ日本の「PCBブーム」は続きそうですね。
ふ~、厳しいっす・・・(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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