
令和6年度の診療報酬改定で、「ベースアップ評価料」が新設されました。
当院は、令和6年6月から
- 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
- 入院ベースアップ評価料
を算定しています。
ベースアップ評価料を算定するには、原則、令和6年度および令和7年度において、当該評価料の収入(診療報酬)を、すべて、対象職員の賃金改善に充てなければなりません。
とはいえ、患者数や職員数の変動により、ベースアップ評価料の収入(診療報酬)が、対象職員の賃金改善額を上回ってしまうこともあるかと思います。
つまり、
- ベースアップ評価料による収入(診療報酬) 1,200万円
- 対象職員の賃金改善額 1,190万円
みたいなことです。
このとき、
- 令和8年度における対象職員の賃金改善に繰り越してよいのか?
- それとも、令和7年度内に、無理やりにでも対象職員の支給しなければいけないのか?
- ベースアップ評価料の診療報酬は、返還になったりしないのか?
など、いくつか疑問を感じました。
そこで、「ベースアップ評価料の収入(診療報酬)の繰り越しの可否」などについて、厚生局に確認しましたので、備忘録的にまとめておきます。
厚生局の回答:次年度(令和8年度)へ繰り越し可能
厚生局へは、次のように質問しました。
【質問】
- 患者数および職員数の変動により、ベースアップ評価料による収入が、職員への賃金改善額を上回ってしまった場合、次年度(令和8年度)の賃金改善のために、その差額を繰り越してよいか?
- もし、ベースアップ評価料による収入を賃金改善額が上回らなかった場合は、差額もしくは全額返還となるのか?
それに対し、厚生局の回答は次のようなものでした。
【厚生局の回答】
- 令和6・7年度のベースアップ評価料の収入が、賃金改善額を上回ってしまった場合は、令和8年度の賃金改善のために繰り越し可能
- 令和8年度に繰り越す場合は、令和8年12月までに賃金改善を行うこと
- もし、ベースアップ評価料による収入を賃金改善額が上回らなかった場合でも、次年度(令和8年度)への繰り越しができるため、返還にはならない
- ただし、上記の回答は、現行制度においてのもので、令和8年度の診療報酬改定により変更になる可能性がある
- 令和8年度の診療報酬改定による不透明さが不安であれば、令和7年度中(令和8年3月分まで)の給与等にて手当の上乗せや賞与等の一時金の支給により賃金改善してもよい
厚生局の回答としては、現行制度においては、
「ベースアップ評価料による収入は、次年度へ繰り越し可能」
とのことだったので、もし、ベースアップ評価料による収入が、職員への賃金改善額を上回ってしまったとしても、焦って対応する必要はないと思います。
令和8年度の診療報酬改定の件も話に出ましたが、さすがに、
- 次年度への繰り越しはできない
- ベースアップ評価料による収入を、賃金改善額が上回らなかった場合は差額もしくは全額返還となる
なんてことにはならないと思います。(じゃないと、暴動が起きますよね?)
ベースアップ評価料の施設基準(外来・入院)
一応、厚生局の回答の根拠です。
【入院ベースアップ評価料の施設基準】
(6)当該評価料を算定する場合は、令和6年度及び令和7年度において対象職員の賃金(役員報酬を除く。)の改善(定期昇給によるものを除く。)を実施しなければならない。
(7)(6)について、ベア等により改善を図るため、当該評価料は、対象職員のベア等及びそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む)等の増加分に用いること。
ただし、ベア等を行った保険医療機関において、患者数等の変動等により当該評価料による収入が上記の増加分に用いた額を上回り、追加でベア等を行うことが困難な場合であって、賞与等の手当によって賃金の改善を行った場合又は令和6年度及び令和7年度において翌年度の賃金の改善のために繰り越しを行う場合(令和8年12月までに賃金の改善措置を行う場合に限る。)についてはこの限りではない。
ただし、いずれの場合においても、賃金の改善の対象とする項目を特定して行うこと。なお、当該評価料によって賃金の改善を実施する項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならない。
また、賃金の改善は、当該保険医療機関における「当該評価料による賃金の改善措置が実施されなかった場合の賃金総額」と、「当該評価料による賃金の改善措置が実施された場合の賃金総額」との差分により判断すること。
賃金改善計画書・賃金改善実績報告書
ベースアップ評価料の収入を次年度(令和8年度)に繰り越す場合は、
- 賃金改善計画書の「(6)前年度からの繰越額」
- 賃金改善実績報告書「(7)翌年度への繰越予定額」
に繰越額を記入することになります。
【賃金改善計画書】

【賃金改善実績報告書】

まとめ
ここで、「ベースアップ評価料による収入の次年度(令和8年度)への繰り越しの取り扱い」について、おさらいです。
- 令和6・7年度のベースアップ評価料による収入は、令和8年度の賃金改善に繰り越しできる
- 令和8年度に繰り越す場合は、令和8年12月までに賃金改善を行うこと
- 令和7年度中に手当の上乗せや賞与等の一時金による賃金改善を行ってもよい
診療報酬や施設基準等の取扱いって、わかりづらいものが多くて、結構、ごちゃごちゃしますよね。
ただ、保険医療機関としては、極力、算定誤りがないようにしたいところです。
そのためにも、制度の理解を深め、適切に判断していきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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