記事内に広告が含まれています

病院における営業の考え方・計画の立て方【パレートの法則を活用して】

スポンサーリンク

営業、会議、打ち合わせ

病院に「営業」ってイメージはないかもしれませんが、僕としては、安定した経営を考えるなら、「営業って大切だよね!」って思っています。

特に、回復期や慢性期の病院については、急性期病院などからの患者さんの紹介なくして、経営は成り立ちません。

なので、営業計画を立てて、しっかりと取り組んでいくことが大切になります。

 

そこで、この記事では、回復期や慢性期の病院における「営業の考え方や計画の立て方」についてまとめておきます。

 

こんな人に読んでいただけると嬉しいです。

  • 病院の入院稼働が上がらなくて困っている
  • 病院の経営管理を担当している
  • 地域連携を担当している
この記事で紹介している、営業の考え方や計画の立て方は、あくまでも僕がやっているやり方です。それを、備忘録的にまとめています。

営業戦略を立てるときに大切な3つのこと

僕は、この順に考えて、営業計画を立てています。

  • 自分の病院の商品は、なんなのか?
  • その商品が欲しい人は、どういう人か?
  • その人は、どこにいるのか?

 

それでは、1つずつ説明していきます。

自分の病院の商品は、なんなのか?

これは、

「自院のサービス(商品)を明確にしましょう!」

そして、

「患者さんを紹介いただけるところ(連携先)へ、明示しましょう!」

ってことです。

 

結構、これができてないところって、多い気がします。

 

そもそも、自分たちの商品がわかってないと「何を売ったらいいのか?」がわかりません。

また、紹介元へ商品が明示がされてないってことは、メニュー表がないってことなんで、相手も不安になります。

 

なので、「自分の病院の商品(サービス)を明確にする」っていうのは、すべての病院において、まずやらないといけないことだと思います。

それこそ、全く同じ種類(種別)の病院だとしても、勤務している医師によって、自院の商品は変わっちゃいますし。

 

で、具体的には、病棟ごとの入院対象(受入可能)となる患者の疾患や状態などを一覧表にして、パンプレットに挟んで、連携先などへ配布したり、ホームページに掲載(ダウンロード可)するとかです。

回復期リハビリ病棟なら、脳血管や運動器、呼吸器の疾患を、療養病棟なら、医療区分の内容をわかりやすくしたりするといいと思います。

 

僕の経験則ですが、他院の病棟構成や機能、入院対象(受入可能)となる患者の疾患や状態について、理解してくれている連携先は、ほぼありません。

もちろん、同じ機能の病棟を持っている病院は別ですが・・・

 

また、ついでに言うと、「入院した時、どのくらいの費用がかかるのか?(1ヶ月の入院費)」も一緒に渡しておくと、さらに良いと思います。

気になっている人が多いので。

 

ちなみに、ケアマネジャー(介護支援専門員)さんについては、もっとです。

なので、在宅からの入院受入を推進していこうと考えるなら、ケアマネージャーさんへの、案内も徹底したほうがいいです。

できれば、病院見学なども定期的に行い、病院の雰囲気も知っておいてもらうと、さらに良いです。(コロナ禍だとなかなか、そうはいなかいかもですが・・・)

ケアマネージャーさんからすると、医師の対応などから、「病院の敷居は高い」と感じている人が多いので、気軽に相談してもらえるようにするという目的もあります。

その商品が欲しい人は、どういう人か?

自分の病院の商品がわかったら、次は「その商品(サービス)を欲しがる人は、どういう人なのか?」を考えてみることが大切だと思います。

それこそ、ぜんぜん的違いな人に商品を売り込んでも、絶対に喜んでもらえません。(冷蔵庫を買いに来た人に、スマホは売れないですよね?)

 

先に説明した、「自分の病院の商品は、なんなのか?」と重複する部分もありますが、基本的には、入院対象(受入可能)となる疾患の患者さんってことになります。

たとえば、回復期リハビリ病棟なら手術などが終わって、リハビリを必要とする人とかです。

 

ただ、「その商品が欲しい人は、どういう人か?」を、患者さんだけに限定しちゃうのは、僕としては、ちょっと違うかもって思っています。

というのも、患者さん以外でも、病院の商品(サービス)を必要としている人っていると思うからです。

 

たとえば、療養病棟なら、対象疾患患者以外にも、レスパイト的に利用したい人がいると思いますし、認知症の病棟なら、認知症疾患の患者さんだけでなく、その家族や行政機関なども含めて「その商品が欲しい人」に該当すると思います。

急性期病院の場合は、消防署なども「その商品が欲しい人」に該当すると思います。救急車(救急患者)を受入れてほしいという意味で。

 

つまり、「色々な側面から、商品の価値を考えてみよう」ってことです。

そうすることで、思わぬところからの紹介が増えるかもしれませんので。

その人は、どこにいるのか?

その商品を欲しい人が特定できたら、次は、「その商品が欲しい人は、どこにいるのか?」を考えてみます。

いわゆる、「釣りたい魚のいる池で、釣りをしよう」ってことです。

 

そのとき、パレートの法則を活用して、「最重要連携先(お得意様)」を特定し、

  • 連携先別シェア率
  • 連携先別入院率(紹介や相談に対し、入院した割合)

から、どこに対して積極的な営業を行うべきかを決めた方がいいと思います。

限られた経営資源(人的資源)を有効活用するためにです。

パレートの法則とは、「入院患者数の8割は、全体を構成する2割の入院元(連携先)が占めている」みたいな法則です。

 

で、パレートの法則をどう活用するかというと、まず、入院元別の入院患者数を使い、パレート図を作成します。

こんな感じです。(入院件数は、適当です)

パレート図

お役に立てないかもしれませんが、使えそうなら使ってください。(一応、置いておきます)

パレート図(エクセル)無料ダウンロード

pareto-chart-excel

 

この表で見ると、赤く囲った部分(A~H)が、うちの病院の最重要連携先になります。

パレート図 Aグループ(お得意様)

328件の入院患者のうち、262件(約8割)を、約2割(34件の連携先の中の8件)の連携先が占めている状態です。

 

で、次に、「連携先別シェア率」と「連携先別入院率(紹介や相談に対し、入院した割合)」を出します。

たとえば、こんな感じです。

【入院元(連携先)別 シャア率・入院率一覧】

入院元(連携先) 入院件数 シェア率(%) 入院率(%)
A 50 30.0 49.0
B 46 70.0 90.9
C 40 10.0 63.0
D 36 15.0 88.2
E 28 20.0 15.8
F 24 60.0 61.1
G 20 80.0 37.5
H 18 70.0 72.0
I 6 55.0 71.4
J 5 70.0 30.0
K 5 60.0 83.3
L 5 50.0 50.0
M 4 40.0 80.0
N 4 30.0 50.0
O 4 20.0 100.0
シェア率と入院率は、入院件数がある程度あるところだけで十分だと思います。

 

連携先別シェア率は、「その連携先における当院の入院対象となる患者の総数」のうち、「どのくらいの患者さんが、当院に紹介されるのか?」の割合です。

つまり、

当院に紹介された患者数 ÷ その連携先における当院の入院対象となる患者の総数 = シェア率

ってことです。

 

なので、「その連携先における当院の入院対象となる患者の総数」は、連携先に聞くしかないので、算出が難しいかもしれないです。

その場合は、連携先の病院の規模や患者数などから予想した数値でいいと思います。

重要なのは、正確な数字ではなく、「シェア率が高いのか?低いのか?」なので。

 

また、連携先別入院率ですが、入院相談(問い合わせ)に対して、入院につながった割合です。

なので、入院の紹介10件中、5件が入院になったなら、入院率「50%」になります。

 

で、この表を参考に、「どこの連携先に、優先的に営業をすると効果的なのか?」を考えていきます。

考え方としては、

  • 入院率が高くて、シャア率の低いところに優先的に営業する
  • 入院率が低いところは、今のところ、後回し
  • シェア率も入院率も高いところは、良い関係を継続(現状維持)

って感じです。

 

この考え方で、「入院元(連携先)別 シャア率・入院率一覧」を見ていくと、

  • CとDあたりが、優先的な営業先
  • Eは後回し
  • BとかHは、良い関係を継続

ってことになります。

【入院元(連携先)別 シャア率・入院率一覧】

入院元(連携先) 入院件数 シェア率(%) 入院率(%)
A 50 30.0 49.0
B 46 70.0 90.9
C 40 10.0 63.0
D 36 15.0 88.2
E 28 20.0 15.8
F 24 60.0 61.1
G 20 80.0 37.5
H 18 70.0 72.0
I 6 55.0 71.4
J 5 70.0 30.0
K 5 60.0 83.3
L 5 50.0 50.0
M 4 40.0 80.0
N 4 30.0 50.0
O 4 20.0 100.0

 

もちろん、Oの入院元(連携先)のように、入院率が高く、シェア率が低かったとしても、病院の規模などにより、「その連携先における当院の入院対象となる患者の総数」が少ない場合は、営業の優先度としては、少し下がります。

Oのシェア率を、仮に100%にしても、20人までしか入院の紹介は、増えませんからね。

 

こんな感じで、「その人は、どこにいるのか?」を考えていきます。

 

ちなみに、営業の優先度は、最重要連携先の方が高くなります。

というのも、ある程度の関係ができているところの方が、患者さんを紹介してもらいやすいからです。(ちょっと、紹介件数を増やしてもらう方が、新規開拓などより、ハードルが低いってことです)

なので、営業計画は、最重要連携先をメインに作成したほうがいいと思います。

 

ただ、

  • 最重要連携先を増やしたい
  • 最重要連携先を入れ替えたい

というなら、次の図の黄色で囲った「最重要連携先になり得そうなところ」に対して、営業を優先的に行ってみるといいかもって思います。

パレート図 Bグループ

まとめ

ここで、「パレートの法則を活用した、営業の考え方や計画の立て方」について、おさらいです。

  • 自院のサービス(商品)を明確にして、連携先へ明示する
  • 自院のサービス(商品)が欲しい人について、患者さん以外も考えてみる
  • パレート図とシェア率、入院率から営業の優先度を決める

 

営業って、ちょっと挨拶まわりをしたからって、すぐに効果が出るものじゃないと思います。

だからこそ、時間をかけて、連携先との関係をつくっていく必要があります。

 

とはいえ、すべての医療機関(連携先など)に、同様のアプローチができるほど、どの病院も人材が豊富なわけじゃないと思います。

そんなとき、ある程度、優先度を設定するっていうのは、大切なことだと思います。

魚のいない池で、釣りをしても意味ないですからね。(魚を釣ることが目的じゃなければ、意味はありますが・・・)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

【あわせて読みたい】

経営メモ
スポンサーリンク
こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

こうをフォローする
よろしければシェアお願いします
こうをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました