うちの病院では、新型コロナウイルスの感染対策のため、PCR検査機器「ID NOW」を導入し、積極的に活用しています。
そこで、この記事では、PCR検査機器「ID NOW」の
- 特徴(検査スピード、検査精度、本体のサイズ)
- 導入理由
- 概算価格
- 使い方(検査方法など)
について、まとめておきます。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- PCR検査機器の導入を考えている
- 「ID NOW」って、検査精度はどうなの?
- 「ID NOW」って、価格はどのくらいするの?
結果判定「13分以内」、陽性一致率「93.3%」のPCR検査機器「ID NOW」
まずは、この記事のポイントです。
- 13分以内で検査結果が出るため、迅速な感染対策が可能
- 陽性一致率「93.3%」、陰性一致率「98.4%」の高い検査精度
- 「ID NOW」の本体価格は、定価で「140万円」
- 検査は、鼻ぬぐい液を検体とし、カートリッジをセットするだけの簡単操作
- 「ID NOW」でのPCR検査は、保険請求が可能
それでは、1つずつ説明していきます。
13分以内で検査結果が出るため、迅速な感染対策が可能
新型コロナウイルスの感染対策を行ううえで、検査結果のスピードは、すっごく重要なポイントです。
「ID NOW」は、結果判定まで、13分以内と超ハイスピードなので、検査結果が出るまでの「どうなんだろう?」みたいな、ソワソワする時間がほぼありません。
また、検査結果がすぐに出ることで、転院の調整や適切な治療が早めに行えるので、感染拡大を最小限に抑えることができます。
そういう意味では、職員および患者さんの負担軽減にもつながります。
ほんと、スピードは価値です。(笑)
ちなみに、「ID NOW」を導入するとき、他のPCR検査機器も検討したんですが、13分以内の結果判定は、圧倒的でした!
陽性一致率「93.3%」、陰性一致率「98.4%」の高い検査精度
PCR検査機器を導入するにあたり、一番問題になったのは、
「検査の精度は、どのくらいなのか?」
でした。
そもそも、どんなに早く検査結果が出たとしても、その精度が低ければ、感染対策としての意味はありません。
それどころか、感染を拡大させてしまう要因にもなっちゃうので、逆効果ってこともあり得ます。
その点、「ID NOW」に関しては、
- 陽性一致率 93.3%
- 陰性一致率 98.4%
という高い数値となっています。
このとおりです。
もちろん、メーカーのカタログ値のため、「完全に信頼していいのか?」みたいな意見が出るかと思います。
なので、うちの病院では、導入してから一定期間は、
- 「ID NOW」でのPCR検査
- 委託によるPCR検査
を併用し、検査精度の確認を行いました。
結論から言うと、検査結果に違いが出ることはありませんでした。
そんなことで、現在は、「ID NOW」での検査のみとしています。
「ID NOW」の本体価格は、定価で「140万円」
「ID NOW」本体や検査キットなど、関連機器の価格は、次のとおりです。
- ID NOW インスツルメント(検査機器本体) 1,400,000円
- ID NOW バーコードスキャナー 35,000円
- ID NOW プリンター 35,000円
- 印刷用ラベル用意(400枚入) 5,000円
- ID NOW 新型コロナウイルス2019(検査キット 24個入) 140,000円
購入する医療機器屋さんにもよると思うんですけど、値引きはあんまり期待できないです。
なので、ざっくりではありますが、
- 検査機器代 150~160万円(税込)
- PCR検査1回 6,000円程度(税込)
が、購入価格になります。(あくまでも、うちの場合です)
ただ、うちの場合は、「帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関として知道府県等が認めた医療機関」として、「感染症検査機関等設備整備事業(厚生労働省)」の補助金が利用できたので、消耗品以外は全額補助されました。
ちなみに、保証期間は2年間となっていて、保証期間内に故障したら、原則、新品交換になるみたいです。
メーカーとしては、修理するより、そっちの方が安いってことなんですかね・・・
検査は、鼻ぬぐい液を検体とし、カートリッジをセットするだけの簡単操作
「ID NOW」は、
- 鼻腔ぬぐい液
- 鼻咽頭ぬぐい液
を使って、検査を行います。
検体は、常温で「2時間」、冷蔵で「24時間」、保存可能です。
また、検査手順は、次のとおりとなっています。
【製品内容と機器説明】
【検査手順】
検査結果は、本体画面に、次のいずれかが表示されます。(専用のプリンターにより、検査結果を印刷することもできます)
画面表示 | 判定 |
COVID-19:陽性 | SARS-CoV-2 陽性(+) SARS-CoV-2 の標的 RNA が検出された 陽性であっても、細菌感染や他のウイルスとの重感染を否定するものではない |
COVID-19:陰性 | SARS-CoV-2 陰性(-) SARS-CoV-2 の標的 RNA が検出されなかった |
COVID-19:無効 | 判定不能 以下の手順で直ちに再試験をすること。 繰り返しこの結果が得られる場合は、別の方法で確認すること。 |
無効(判定不能)の場合は、次のとおり、再検査を行います。
無効の結果が得られた場合、同じサンプルカートリッジを使用して追加検査を実施することが出来る。以下の手順に従うこと。
①テストカートリッジと分注カートリッジを接続したまま機器から取り外し、未使用のホイルシールをはがしたサンプルカートリッジに接続する。
接続したテストカートリッジと分注カートリッジは廃棄前にサンプルカートリッジに接続する必要があるため、新たな分注カートリッジに同梱されたサンプルカートリッジを使用する。
②青いサンプルカートリッジを慎重に機器から取り外す。
内容液がこぼれないよう直立に保持する。
③ホーム画面から、新しい検査を開始し 、 画面の指示に従う。
ただし、サンプルカートリッジを挿入する指示については 、 サンプルカートリッジを再使用し、綿棒検体の再溶出はしないこと。
出典:ID NOW 新型コロナウイルス2019 添付文書
「ID NOW」は、本体のサイズも、
- 幅 207mm
- 奥行 194mm
- 高さ 145mm
とコンパクトなので、結構、どこにでも置けて便利です。
こんな感じです。
「ID NOW」でのPCR検査は、保険請求が可能
厚生労働省保健局医療課の事務連絡(疑義解釈)に、はっきり書いてあるんですが、「ID NOW」でのPCR検査は、保険請求が可能です。
このとおり。
【SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出】
問1
令和2年3月6日付けで保険適用されたSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出を実施する際に用いるものとして、「体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2 の検出(COVID-19 の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているもの」とあるが、令和2年10 月20 日付けで薬事承認された「ID NOW 新型コロナウイルス2019」(アボット ダイアグノスティクス メディカル株式会社)はいつから保険適用となるのか。
(答)
令和2年10 月20 日より保険適用となる。
出典:厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その38)」
なので、条件を満たしている医療機関において、新型コロナウイルス感染の疑いがあると医師が判断すれば、1件15,000円が保険請求できます。
「ID NOW」でのPCR検査が、1回6,000円程度のため、単純計算ですが、9,000円の粗利が見込めるってことになります。
まぁ、検査を委託するより、「ID NOW」での検査のほうが、安い場合が多いと思いますので、「保険請求する・しない」に関わらず、費用的なメリットがあるかな?って思います。
もちろん、委託会社さんによって、違いはあると思いますが・・・
まとめ
ここで、PCR検査機器「ID NOW」の特徴について、まとめておきます。
- 13分以内の結果判定
- 陽性一致率「93.3%」、陰性一致率「98.4%」
- 検査機器代 150万円程度
- PCR検査 1回 6,000円程度
- 本体サイズ「幅207mm×奥行194mm×高さ145mm」
- 検体は、鼻ぬぐい液を使用
- 医師の判断により、保険請求が可能
院内でクラスターが発生した場合、業績の悪化は避けられません。
というか、ヒドイことになります。
それを思うと、「150万円ぐらいは、安いものかな?」って感じで、導入しました。
もちろん、PCR検査機器を導入したからって、クラスターが発生しないという保証はありませんが、感染拡大を少しでも抑えられるなら・・・という切実な想いです。
そんなことで、この記事が、PCR検査機器「ID NOW」の導入を検討している医療機関等の参考になったら嬉しく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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