「介護医療院」
平成30年4月の介護保険法改正により新設された、この施設。
僕としては、相変わらず新設された意味が全く理解できない状態が続いています・・・(笑)
ただ、「介護医療院」が厚生労働省の政策(地域包括ケアシステム)の核になるんだとすると、
「僕は、知りましぇーーーーん!!」
じゃ済まなくなっちゃいそうなので、しょうがなく関係法令(通知)を読み漁り、少しつづですが、ブログに理解したことを綴ってます。
そんなことで、今回も「介護医療院」ネタから、
- 介護医療院って、そもそもどんな役割なの?
- 介護医療院って、Ⅰ型とⅡ型があるけど役割って違うの?
の2点について、まとめておきます。
介護医療院は「医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設」
介護医療院は、介護保険法上、次のように定義されています。
(定義)
「介護医療院」とは、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第百七条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護医療院サービス」とは、介護医療院に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。
出典:介護保険法「第8条第29項」
ポイントは、
「療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う施設」
ってところです。
わかりやすく言うと、
- 医療
- 看護
- 介護
- 機能訓練
- 日常生活の世話
の5つを行う施設ってことです。
そして、厚生労働省は、資料の中で「介護医療院」をこのように定義しています。
医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設
つまり、「介護医療院」とは、長期療養の生活施設であり、治療および在宅復帰を目指す施設ではないってことです。
特別養護老人ホームと介護老人保健施設との役割の違い
「長期療養の生活施設なんて、もう、いっぱいあるんじゃないの?」
と思われる方も多いと思いますので、介護施設の代表格である、次の2つの施設と比較してみます。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
特別養護老人ホームの定義(役割)
「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が三十人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。
出典:介護保険法「第8条第27項」
ポイントは、ここです。
「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う施設」
わかりやすく言うと、
- 入浴、排せつ、食事等の介護
- 日常生活(療養)上の世話
- 機能訓練
- 健康管理
って感じです。
介護医療院と比べてみると、「医療・看護」が入っていません。
つまり、介護医療院は、特別養護老人ホームに「医療・看護」をプラスした施設と言えそうです。
介護老人保健施設の定義
「介護老人保健施設」とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。
出典:介護保険法「第8条第28項」
ポイントは、ここです。
「主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援」
「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う施設」
わかりやすくすると、
- 心身の機能の維持回復
- 居宅における生活を営めるよう支援
- 医療
- 看護
- 介護
- 機能訓練
- 日常生活上の世話
って感じです。
介護医療院と比べてみると、「心身の機能の維持回復・居宅における生活を営めるよう支援」という機能が追加されています。
つまり、「介護医療院」とは、医療依存度が高く居宅での生活が難しい入居者を受け入れ、長期にわたり生活(療養)を支援していく施設と言えそうです。
Ⅰ型介護医療院とⅡ型介護医療院の役割の違い
介護医療院は、次の2つの種類(分類)があり、役割が分けられています。
- Ⅰ型介護医療院
- Ⅱ型介護医療院
Ⅰ型介護医療院は、介護療養型医療施設(療養機能強化型)と、Ⅱ型介護医療院は、介護老人保健施設とほぼ役割(機能)は同じです。
なので、「名前が変わっただけ」と覚えても支障はなさそうです・・・(笑)
なお、「施設・設備基準」については、Ⅰ型とⅡ型で違いはありませんが、人員基準については、一部違いがあります。
こんな感じです。
介護医療院の指定にかかる「人員基準」
職種等 | Ⅰ型介護医療院 | Ⅱ型介護医療院 |
医師 | 入居者48人に対し1名配置 (48:1) |
入居者100人に対し1名配置 (100:1) |
薬剤師 | 入居者150人に対し1名配置 (150:1) |
入居者300人に対し1名配置 (300:1) |
看護職員 | 入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
介護職員 | 入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
入居者6人に対し1名配置 (6:1) |
リハビリ専門職(PT/OT/ST) | 適当数 | 適当数 |
栄養士 | 入居定員100人以上で1名配置 | 入居定員100人以上で1名配置 |
介護支援専門員 | 入居者100人に対し1名配置 (100:1) |
入居者100人に対し1名配置 (100:1) |
放射線技師 | 適当数 | 適当数 |
調理員・事務員等 | 適当数 | 適当数 |
医師の宿直義務 | あり | なし |
なお、この人員基準の違いは、介護療養型医療施設(療養機能強化型)と、介護老人保健施設の基準を反映したものになっています。
つまり、
- Ⅰ型介護医療院 = 介護療養型医療施設(療養機能強化型)
- Ⅱ型介護医療院 = 介護老人保健施設
という人員配置基準ってことです。
介護医療院の指定にかかる「施設・設備基準」
そして、「施設・設備基準」の指定基準です。
Ⅰ型でもⅡ型でも違いはありませんので、参考程度にご覧ください。
なお、厚生労働省「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯」からの引用です。
Ⅰ型介護医療院とⅡ型介護医療院のサービス費(介護報酬)の違い
人員配置が厚いこともあり、介護報酬は「Ⅰ型介護医療院」の方が高く設定されています。
Ⅰ型介護医療院のサービス費(多少室)
(単位:単位)
要介護度 | サービス費(Ⅰ) | サービス費(Ⅱ) | サービス費(Ⅲ) |
要介護1 | 803 | 791 | 775 |
要介護2 | 911 | 898 | 882 |
要介護3 | 1,144 | 1,127 | 1,111 |
要介護4 | 1,243 | 1,224 | 1,208 |
要介護5 | 1,332 | 1,312 | 1,296 |
Ⅱ型介護医療院のサービス費(多少室)
(単位:単位)
要介護度 | サービス費(Ⅰ) | サービス費(Ⅱ) | サービス費(Ⅲ) |
要介護1 | 758 | 742 | 731 |
要介護2 | 852 | 836 | 825 |
要介護3 | 1,056 | 1,040 | 1,029 |
要介護4 | 1,143 | 1,127 | 1,116 |
要介護5 | 1,221 | 1,205 | 1,194 |
なお、サービス費ごとの施設基準および算定要件については、こちらの記事でまとめています。
まとめ
ここで、介護医療院の役割とⅠ型・Ⅱ型の違いについて、ポイントをまとめておきます。
介護医療院の役割
- 医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設
- 特別養護老人ホームに「医療・看護」をプラスした施設
- 医療依存度が高く居宅での生活が難しい入居者を受け入れ、長期にわたり生活(療養)を支援していく施設
Ⅰ型・Ⅱ型の違い(人員基準、施設・設備基準)
- Ⅰ型介護医療院 = 介護療養型医療施設(療養機能強化型)
- Ⅱ型介護医療院 = 介護老人保健施設
どうでしょうか、なんとなくイメージが固まってきませんか?
僕は、薄っすらですが、イメージができてきましたよ~(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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