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育児休業・休職者への健康診断と、妊娠者への胸部エックス線検査の取扱い

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理学療法士、セラピスト、健康診断

この記事では、労働安全衛生法第66条に基づく「定期健康診断」における、

  • 育児休業等により休業(休職)している職員の健康診断の実施
  • 妊娠している職員への胸部エックス線検査の取扱い

についてまとめています。

 

こんな人に読んでいただけると嬉しいです。

  • 仕事で労務管理を行っている
  • 育児休業中の職員にも、わざわざ健康診断を受けてもらわないといけないの?
  • 妊娠中でも胸部エックス線検査は、受けないといけないの?(医療被ばくが心配)
この記事は、医療・介護施設で、労務管理を10年以上担当してきた経験をもとに書いています。

育児休業者等(休業中の職員)への定期健康診断の実施は不要

まず、「休業中の職員にも、わざわざ健康診断を受けてもらわないといけないの?」からです。

結論から言うと、

  • 定期健康診断の実施は不要
  • 休業から復帰した際には、速やかに、定期健康診断を実施する

となります。

 

根拠としては、この通達です。

育児休業等により休業中の労働者に係る健康診断の取扱いについて(平成4年3月13日 基発第115号)

育児休業、療養等により休業中の労働者に係る労働安全衛生法第66条第1項から第3項まで(労働安全衛生規則第44条第1項、第45条第1項、第48条、有機溶剤中毒予防規則第29条第2項、鉛中毒予防規則第53条第1項、四アルキル鉛中毒予防規則第22条、特定化学物質等障害予防規則第39条第1項及び第2項、高気圧作業安全衛生規則第38条第1項並びに電離放射線障害防止規則第56条第1項)並びにじん肺法第8条第1項に規定する定期健康診断(以下「定期健康診断」という。)及び指導勧奨による特殊健康診断の取扱いについては、下記によることとされたい。

1 休業中の定期健康診断について

事業者は、定期健康診断を実施すべき時期に、労働者が、育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくてもさしつかえないものであること。

2 休業後の定期健康診断について

事業者は、労働者が休業中のため、定期健康診断を実施しなかった場合には、休業修了後、速やかに当該労働者に対し、定期健康診断を実施しなければならないものであること。

3 指導勧奨による特殊健康診断について

休業中及び休業後の指導勧奨による特殊健康診断については、上記1及び2に準じて実施するよう事業者等を指導すること。

 

僕だけかもしれませんが、「休業から復帰した際の健康診断の実施」って、結構、忘れやすいので、しっかり管理しておいた方がいいと思います。(笑)

胸部エックス線検査は、医師の判断により省略できる

次に、「妊娠中でも胸部エックス線検査は受けないといけないの?」についてです。

妊娠している職員さんから、この相談を受けることって多いです。

胸部エックス線検査の人体への影響は、ほとんどないと言われてますが、やっぱり不安を感じたりしますよね。

 

労働安全衛生規則では、事業者に1年以内ごとに1回、定期に健康診断の実施を義務付けています。

ただ、一部の検査項目については、医師が必要でないと認め、一定の条件を満たした場合に、省略することができます。

「医師が必要でないと認める」とは、自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し、医師が総合的に判断することをいいます。

 

このとおり。

労働安全衛生法

(定期健康診断)

第四十四条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

一 既往歴及び業務歴の調査

二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

四 胸部エックス線検査及び喀(かく)痰(たん)検査

五 血圧の測定

六 貧血検査

七 肝機能検査

八 血中脂質検査

九 血糖検査

十 尿検査

十一 心電図検査

2 第一項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号までに掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。

3 第一項の健康診断は、前条、第四十五条の二又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から一年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。

4 第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

 

そして、胸部エックス線検査の実施を省略できる条件としては、次のように定められています。

 

【胸部エックス線検査の省略できる人】

40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない人

  1. 20歳、25歳、30歳、35歳の人(5歳毎の節目年齢の人)
  2. 感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている人
  3. じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている人

 

なので、この条件に該当する人は、法的に胸部エックス線検査を省略することができます。(つまり、受けなくて良い)

 

「じゃあ、この条件に当てはまらない人は、胸部エックス線検査を受けないといけないってこと?」となっちゃいそうですが、そうでもありません。

というのも、明確な法的根拠があるわけではありませんが、僕が担当する医療・介護施設では、行政機関に相談したうえで、妊娠している職員さん(疑いを含む)の胸部エックス線検査を省略してきたからです。

 

うちの場合は、胸部エックス線検査を省略できない「感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設」となっていますが、保健所等の立入検査でも、問題はありませんでした。(指導を受けたこともありません)

このあたりは、行政機関の担当者によっても違いがあるかもしれませんので、参考程度としてください。

 

なので、

「どうしても、定期健康診断で、胸部エックス線検査を受けたくない」

という場合は、職場の担当者さんに相談して、行政機関へ確認してもらうといいと思います。(結構、省略できるかも)

 

ちなみに、「感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設」については、こちらのサイトを。

⇒東京都福祉保健局「結核の定期健康診断について」

まとめ

ここで、「休業者への健康診断と、妊娠者への胸部エックス線検査の取扱い」についておさらいです。

  • 休業中の職員への定期健康診断の実施は不要
  • 休業から復帰した際には、速やかに、定期健康診断を実施する
  • 胸部エックス線検査は、医師の判断により省略できる(条件あり)
  • 妊娠中の職員については、定期健康診断の省略基準に該当しなくても、胸部エックス線検査を省略できる場合がある

 

職員の健康状態の把握と健康管理に努めることは、事業者(企業)の義務です。

また、職員の健康は、健全な経営を行うために必要不可欠なものです。

 

ぜひ、職員のため、組織(会社)のため、適切な健康診断を行っていきましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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