保険医療機関(病院や有床診療所)に入院している人が外来受診した場合、通常の外来患者とは診療報酬の取り扱いが変わり、算定できる項目と算定できない項目が決められています。
これは、
「原則として、入院している保険医療機関にて診療を行う」
という考え方がもとになっているからです。
で、その取扱いが、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の「第2部 入院料等 5 入院中の患者の他医療機関ヘの受診」に定められています。
ただ、これがすっごく読みづらくて、わかりづらい…(僕だけではないはず)
そこで、
「入院している患者が外来受診(他科受診)したときの算定と請求方法について」
自分用に一覧表(エクセル)にまとめましたので紹介します。
使っていただけそうなら、ご活用ください。(逆に、間違いがあれば、ご指摘ください)
入院している患者が外来受診(他科受診)した時に、医療保険で算定・請求できる項目等一覧表
こんな表です。
【無料ダウンロード(エクセルファイル)】
⇒takajyusinnsannteiitiran20220401
外来受診した患者さんが入院している病棟の種類(入院料)によって、外来で算定できる項目が変わってくるので、「算定可否」を次の3つに分けています。
- 出来高病棟の患者
- 包括病棟の患者(他科受診の取り扱いでいう、特定入院料等)
- DPC病棟の患者
病棟の種類(入院料)の定義
他科受診時に算定できる項目が変わってくる病棟の種類は、具体的には次のようになります。
出来高病棟の患者
次の入院料を除く入院基本料が、出来高病棟となります。
- A300救命救急入院料
- A301特定集中治療室管理料
- A301-2ハイケアユニット入院医療管理料
- A301-3脳卒中ケアユニット入院医療管理料
- A301-4小児特定集中治療室管理料
- A302新生児特定集中治療室管理料
- A303総合周産期特定集中治療室管理料
- A303-2新生児治療回復室入院医療管理料
- A305一類感染症患者入院医療管理料
- A306特殊疾患入院医療管理料
- A307小児入院医療管理料
- A308回復期リハビリテーション病棟入院料
- A308-3地域包括ケア病棟入院料
- A309特殊疾患病棟入院料
- A310緩和ケア病棟入院料
- A311精神科救急入院料
- A311-2精神科急性期治療病棟入院料
- A311-3精神科救急・合併症入院料
- A311-4児童・思春期精神科入院医療管理料
- A312精神療養病棟入院料
- A314認知症治療病棟入院料
- A317特定一般病棟入院料
- A318地域移行機能強化病棟入院料
- A319特定機能病院リハビリテーション病棟入院料
- A100一般病棟入院基本料、A104特定機能病院入院基本料、A105専門病院入院基本料において、90日超入院患者を療養病棟入院基本料1で算定する場合
- A101療養病棟入院基本料
- A106障害者施設等入院基本料において、注6、注12で算定する場合
- A109有床診療所療養病床入院基本料
- A106障害者施設等入院基本料において、特定入院基本料を算定する場合
包括病棟(特定入院料等)の患者
次の入院料が、包括病棟(他科受診の取り扱いでいう、特定入院料等)となります。
- A300救命救急入院料
- A301特定集中治療室管理料
- A301-2ハイケアユニット入院医療管理料
- A301-3脳卒中ケアユニット入院医療管理料
- A301-4小児特定集中治療室管理料
- A302新生児特定集中治療室管理料
- A303総合周産期特定集中治療室管理料
- A303-2新生児治療回復室入院医療管理料
- A305一類感染症患者入院医療管理料
- A306特殊疾患入院医療管理料
- A307小児入院医療管理料
- A308回復期リハビリテーション病棟入院料
- A308-3地域包括ケア病棟入院料
- A309特殊疾患病棟入院料
- A310緩和ケア病棟入院料
- A311精神科救急入院料
- A311-2精神科急性期治療病棟入院料
- A311-3精神科救急・合併症入院料
- A311-4児童・思春期精神科入院医療管理料
- A312精神療養病棟入院料
- A314認知症治療病棟入院料
- A317特定一般病棟入院料
- A318地域移行機能強化病棟入院料
- A319特定機能病院リハビリテーション病棟入院料
- A100一般病棟入院基本料、A104特定機能病院入院基本料、A105専門病院入院基本料において、90日超入院患者を療養病棟入院基本料1で算定する場合
- A101療養病棟入院基本料
- A106障害者施設等入院基本料において、注6、注12で算定する場合
- A109有床診療所療養病床入院基本料
- A106障害者施設等入院基本料において、特定入院基本料を算定する場合
DPC病棟の患者
DPC制度とは、急性期入院医療を対象とする、1日あたり包括払い制度のことです。
この制度を導入している病棟の患者が「DPC病棟の患者」となります。
そのまんまですね・・・
他科受診(外来側の医療機関)で算定できない診療報酬がある場合の取り扱い
この記事内でダウンロードできる「他科受診時に医療保険で算定・請求できる項目等一覧表」において算定可否が「×」になっている項目を外来側の医療機関が行った場合は、費用の取り扱いについて、その患者さんが入院している医療機関と相談して決めることになります。
いわゆる、合議精算ってやつです。
一般的には、「医科点数表に則って算定した点数を、全額、入院医療機関に請求し、支払ってもらう」ってことになると思います。
ちなみに、うちの場合は、次のような内容で院内に周知しています。
【他科受診時における費用請求の考え方】
- 外来受診した患者(入院中)に保険請求できるものは、外来患者が一部負担金を支払う
- 保険請求できないもの(医学管理等や投薬など)は、全額自費となり、患者が入院している医療機関が費用負担する
- 算定できない診療報酬は、入院している医療機関の入院料に含まれていると考えるため、双方で保険請求はできない。(そのため、合議精算とする)
- 保険請求できないものは、患者さんに負担させることはせず、入院している医療機関(当院)に請求してもらうよう依頼する
- 当院が他科受診患者を受ける場合は、入院している医療機関へ確認を行う
入院患者が他の医療機関を受診した日の入院医療機関における診療報酬の算定
他科受診日の入院料は、次のとおり控除して算定することになります。
【他科受診日における入院料の控除割合一覧】
ちなみに、他科受診先(外来側の医療機関)で保険請求しない場合は、入院医療機関側の入院料は控除せず、合議精算として、他科受診先(外来側の医療機関)が入院医療機関へ請求することになります。
入院料における基本点数とは?
「他科受診日に控除される入院料の基本点数ってなんなの?各種加算も含めるの?」
って思うかもしれません。
結論としては、入院料等の各項目にある加算は含まれません。
なので、控除するのは、入院料の本体部分のみです。
一応根拠です。
疑義解釈資料の送付について(その5)
事務連絡(平成22年6月11日)
【他医療機関の受診】
(問16) 出来高病棟に入院中の患者が他医療機関で受診をした場合には、入院医 療機関は基本点数の30%を控除することとなるが、一般病棟入院基本料 等の注加算は基本点数に含まれるのか。
(答) 注加算は基本点数に含まれない。
まとめ
ここで、「入院している患者が外来受診(他科受診)したときの算定と請求方法」について、おさらいです。
- 保険請求できるものは、他科受診患者に一部負担金を請求する
- 保険請求できないものは、全額自費となり、入院医療機関に請求する(合議により)
- 他科受診日の入院料は、控除して算定する
他科受診の取り扱いは、制度が複雑で混乱しがちですよね。
ただ、入院中の患者が他の医療機関を外来受診するときは、
「入院医療機関は、その外来医療機関に対し、当該診療に必要な診療情報(当該入院医療機関での算定入院料及び必要な診療科を含む。)を文書により提供する(これらに要する費用は患者の入院している保険医療機関が 負担するものとする。)とともに、診療録にその写しを添付すること」
と定められています。
つまり、他科受診時においては、外来受診した患者さんが入院している病棟の種類(入院料)がわからないってことは原則ないはずです。
なので、制度をしっかり整理して、確認を徹底するようにすれば、あたふたすることなく適正な算定ができると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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