令和6年3月31日を以って、
「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」(令和5年9月15日厚生労働省保険局医療課事務連絡)
が廃止となります。
そして、令和6年4月1日より、新型コロナ患者を入院対応した場合の診療報酬の新たな算定ルールとして、
「令和6年度診療報酬改定による恒常的な感染症対応への見直しを踏まえた新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の取扱い等について」(令和6年3月5日厚生労働省保険局医療課事務連絡)
が適用となります。
そこで、この記事では、次の入院基本料・特定入院料における「新型コロナ患者に抗ウイルス薬(ラゲブリオやゾコーバなど)を処方した場合の、薬剤料の取扱い」について、まとめておきます。
【入院基本料・特定入院料(包括払いの入院料)】
- 認知症治療病棟入院料
- 精神療養病棟入院料
- 療養病棟入院基本料
- 回復期リハビリテーション病棟入院料
- 地域包括ケア病棟入院料など
入院患者に新型コロナウイルス感染症治療薬を処方した場合、「薬剤料」を算定できる
認知症治療病棟入院料や精神療養病棟入院料などの包括払いの入院料(いわゆる「マルメ」ってやつです)の場合、一部の薬剤を除き、薬剤に係る費用は入院料に含まれています。
つまり、基本、薬剤料は、入院料とは別に算定できないってことです。
新型コロナウイルス感染症治療薬は、上記告示の「別に算定ができる一部の薬剤」に含まれていないため、算定ができないものとされていました。(と思っていました)
がしかし、「令和6年度診療報酬改定による恒常的な感染症対応への見直しを踏まえた新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の取扱い等について」(令和6年3月5日厚生労働省保険局医療課事務連絡)により、入院患者に新型コロナウイルス感染症治療薬を処方した場合、「薬剤料」を算定できるようになりました。
新型コロナ感染症治療薬は、「別に算定ができる一部の薬剤」とみなされる
事務連絡の内容は、次のとおりです。
2.令和6年4月以降も当面の間継続する取扱いについて(抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)の特性を踏まえた対応)
② 地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料等の基本診療料の施設基準等(令和4年3月4日厚生労働省告示第55 号)別表第五の一の二、三、四及び五に規定されている入院料を算定している病棟に入院している新型コロナウイルス感染症患者については、抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)を療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行ったうえで投与した場合に、抗ウイルス剤(B 型肝炎又はC 型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV 感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)とみなして、本剤に係る薬剤料を算定できる。
なお、調剤料や注射実施料等の算定については特に定めのない限り、医科点数表等の取扱いに基づき取り扱うことに留意されたい。
はっきりと、
「入院している新型コロナウイルス感染症患者については、抗ウイルス剤を療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行ったうえで投与した場合に、抗ウイルス剤とみなして、本剤に係る薬剤料を算定できる。」
となってますよね。
ちなみに、上記、事務連絡における「別表第五の一の二、三、四及び五」とは、次のとおりです。
別表第五の一の二
特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6及び注12の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれない除外薬剤・注射薬並びに特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、認知症治療病棟入院料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の除外薬剤・注射薬
- インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 血友病の治療に係る血液凝固因子製剤及び血液凝固因子抗体迂回活性複合体
別表第五の一の三
地域包括ケア病棟入院料、特定一般病棟入院料及び短期滞在手術等基本料の除外薬剤・注射薬
- 抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)
- 疼痛コントロールのための医療用麻薬、エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)
- ダルベポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)
- エポエチンベータペゴル(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)
- HIF-PH阻害剤(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)
- インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)及び血友病の治療に係る血液凝固因子製剤及び血液凝固因子抗体迂回活性複合体
別表第五の一の四
精神科救急急性期医療入院料、精神科急性期治療病棟入院料及び精神科救急・合併症入院料の除外薬剤・注射薬
- インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 血友病の治療に係る血液凝固因子製剤及び血液凝固因子抗体迂回活性複合体
- クロザピン(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料を算定しているものに対して投与された場合に限る。)
- 持続性抗精神病注射薬剤(投与開始日から起算して六十日以内に投与された場合に限る。)
別表第五の一の五
精神療養病棟入院料及び地域移行機能強化病棟入院料の除外薬剤・注射薬
- インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)
- 血友病の治療に係る血液凝固因子製剤及び血液凝固因子抗体迂回活性複合体
- クロザピン(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料を算定しているものに対して投与された場合に限る。)
- 持続性抗精神病注射薬剤(投与開始日から起算して六十日以内に投与された場合に限る。)
新型コロナウイルス感染症治療薬(抗ウイルス薬)の薬価
新型コロナウイルス感染症治療薬(抗ウイルス薬)の薬価は、令和6年3月13日の中医協の資料では、次のようになっています。
出典:厚生労働省「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」
どれも高額ですよね・・・
なので、うちの場合は、医師が患者・家族の希望を聞きつつ処方を行うことにしています。
高額療養費制度等ありますが、場合によっては、患者負担がすごいことになっちゃうので。
まとめ
ここで、令和6年4月1日以降の「新型コロナ患者を入院対応したときの新型コロナ感染症治療薬の算定ルール(包括払い病棟の場合)」について、おさらいです。
「抗ウイルス剤とみなして算定可能」
ちなみに、「調剤料や注射実施料等の算定については特に定めのない限り、医科点数表等の取
扱いに基づき取り扱うことに留意されたい」となっているため、注意が必要ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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