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病院における定数超過入院(オーバーベット)の取扱い【保健所の回答・厚労省の通知】

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ルール、法律、制度、改正、ペン

病院は、許可病床数(ベット数)が決まっているので、その病床数を超えて入院患者さんを受入れることは、原則、認められていません。

ただし、地域の救急医療体制が厳しく、緊急時の対応ということであれば、許可病床数を超えて入院患者さんを受入れることができます。

 

そこで、この記事では、「病院における定数超過入院(オーバーベット)の取扱い」について、まとめておきます。

 

こんな人に読んでいただけると嬉しいです。

  • 病院の病床管理を担当している
  • 病院の経営管理を担当している
  • 地域連携を担当している

病院における定数超過入院(オーバーベット)の法的取扱い

オーバーベットになってしまった場合は、次のような点に気をつけなければなりません。

  • 一時的なものであり、常態化しないこと
  • できる限り短期間のうちに定員超過入院の解消を図ること
  • 病院日誌などに、オーバーベットとなった患者の受入状況を記録し、保存すること
  • 原則として、病室に入院させること
  • 入院基本料の減額は、原則しない

 

それでは、1つずつ説明していきます。

一時的なものであり、常態化しないこと

  • 「一時的」って、どのくらいの期間?
  • 具体的に何日までOKなの?

みたいなことを思いませんか?

 

僕はそう思って、保健所の担当者に確認したんですが、明確な日数は、絶対に言いませんでした。

ただただ、

「極力、短期間で解消し、常態化しないように気をつけてください」

って言われるだけです。

 

なので、患者さんの状態にあわせて、ある程度柔軟に対応できると理解しています。

できる限り短期間のうちに定員超過入院(オーバーベット)の解消を図ること

厚生労働省の通知には、次にように書いてあります。

入院患者の症状、近隣の医療機関の空床情報等を把握した上で、入院患者を転院させる等により、できる限り短期間のうちに定員超過入院等の解消を図る必要があること

出典:厚生労働省「救急患者の受入れに係る医療法施行規則第10条等の取扱いについて」

 

これは、つまり、「早く転院などしてもらい、オーバーベットの解消をしましょう」ってやつです。

病院日誌などに、オーバーベットとなった患者の受入状況を記録し、保存すること

オーバーベットになったとき、医療法における保健所等への届出は必要ありません。

ただ、入院患者台帳や病院日誌などに、オーバーベットとなった救急患者の名前や受入状況を記録し、保存する必要があります。

 

この記録は、「医療法第25条に基づく立入検査」の際に、確認されることがあるので、しっかり整備しておきましょう。

原則として、病室に入院させること

オーバーベットとなった場合でも、病室以外での入院は、原則禁止です。

たとえば、

  • 廊下
  • 食堂
  • 談話室
  • デイルーム
  • ナースステーション

などなど。(病室以外は、全部ダメです)

 

なので、4人部屋に、5人の患者さんに入ってもらうとかするってことです。

 

ただし、厚生労働省の通知で、

病室以外の場所への救急患者の入院については、他の入院患者の病室移動が困難である夜間において、病室以外の場所で診療し、療養させなければ、当該救急患者の生命や身体に危険を生じさせるおそれがある場合等に行うこととすること

出典:厚生労働省「救急患者の受入れに係る医療法施行規則第10条等の取扱いについて」

とされていますので、夜間においては、一部認められています。

入院基本料の減額は、原則しない

診療報酬における、定員超過入院(オーバーベット)の取扱いですが、原則、入基本料の減額はありません。

 

ただし、次の条件にあてはまる場合は、減額となります。

「月の平均入院患者数が、病床種別ごとの許可病床数に100分の105を乗じた数以上となる場合」

 

入院患者数に係る平均入院患者数の計算方法

  1. 1月間の平均入院患者数は、当該月の全入院患者の入院日数の総和を当該月の日数で除して得た数とする。
  2. 入院日数には、当該患者が入院した日を含む。ただし、退院した日は含まない。
  3. 精神病院における措置入院患者、緊急措置入院患者及び鑑定入院患者については、当該入院した月においては1の入院患者数に算入しない。

出典:厚生労働省「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」

 

たとえば、療養病床の許可病床数60床の病院の場合、

  • 当該月の平均入院患者数 60人
  • 60床 × 105 ÷ 100 = 63人

であれば、平均入院患者数未満のため、入院基本料の減額はないということになります。

当該月の平均入院患者数と許可病床数に100分の105を乗じた数に、端数が生じた場合、その端数については、四捨五入などの処理の必要はありません。(端数処理しない)

 

ちなみに、「月の平均入院患者数が、病床種別ごとの許可病床数に100分の105を乗じた数以上」となったとき、入院基本料の減額は、次のとおりとなります。

【入院基本料の計算方法】

当該保険医療機関に入院する患者について算定すべき入院基本料の種別ごとに次のとおりとする。

  1. 療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料及び老人特定入院基本料の場合 診療報酬の算定方法別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)又は別表第二 歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という。)に規定する入院基本料の所定点数の100分の9 0に相当する点数
  2. 1以外の入院基本料の場合 医科点数表又は歯科点数表の所定点数の100分の80に相当する点数
  3. 災害等やむを得ない事情の場合には、当該入院した月について、減額しない。
入院基本料の計算において、1点未満の端数があるときは、小数点以下第1位を四捨五入する。

まとめ

ここで、「病院における定数超過入院(オーバーベット)の取扱い」について、おさらいです。

  • 一時的なものであり、常態化しないこと
  • できる限り短期間のうちに定員超過入院の解消を図ること
  • 病院日誌などに、オーバーベットとなった患者の受入状況を記録し、保存すること
  • 原則として、病室に入院させること
  • 入院基本料の減額は、原則しない

 

安定した病院経営をするためには、高い平均入院患者数(入院稼働)を維持する必要があります。

その中で、どうしても定数超過入院(オーバーベット)せざるを得なくなることがあると思います。

 

そんなとき、法的な取り扱いがわかっていると、安心して対処できます。

もしものときを考慮した上で、満床稼働を目指せますからね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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