医療事務(職員)が採用しやすくなった話【未経験OK・残業なしへの取り組み】

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医療事務、病院、受付

「医療事務」といえば、割と人気の職種で、求人を出せば応募が来るのがあたりまえのイメージがあるかと思います。

でも、これって完全に一昔前のイメージで、今は、少子高齢化の影響もあってか、求人募集を出しても、ほぼ応募いただけません。

 

もちろん、ぶっ飛んだ処遇(給料)を提示できれば、多くの応募がいただけると思いますが、ほとんどの医療機関はそうもいきません。

とはいえ、

「人材を確保できませんので、少ない人数でがんばりましょう!」

というわけにもいきません。(職員が疲弊しますし、業務が回らないからです)

 

そこで、「医療事務(職員)を採用しやすくするために、当院が行ったこと」について、参考程度にまとめておきます。

「医事課職員の採用に困っている」という人に読んでいただけると嬉しいです。

当院は、対策を講じたことで、だいぶ採用しやすくなりました。

医療事務(職員)を採用しやすくするためにやったこと

当院が行った対策は、次の3つになります。

  • 医療事務の経験がなくても活躍してもらえる仕組みづくり
  • 業務改善による残業0時間化
  • 属人的な業務分担の見直し(休みやすい職場づくり)

 

まとめちゃうと、これだけです。

逆に言うと、「これができていなかったから、採用に苦しんだ」ってことになります。

 

それでは、当院の状況を含め、詳しく説明していきます。

医事課職員の採用条件「経験があること・残業ができること」

まずは、対策を講じる前の当院の状況です。

  • 慢性期の患者さんをメインとした病院
  • 病床数 200床弱
  • 平均入院稼働率 99.0%
  • 外来患者数 1,300名/月
  • 電子カルテ未導入
  • 医事課職員数 5名(マネージャー含む)
  • 医事課職員の月平均残業時間 20~30時間
  • 業務マニュアルなし
  • 属人的な業務分担

 

こんな状況のなか、当時の医事課のマネージャーは、医事課職員の採用に対し、

  • 医療事務の経験があること
  • 残業ができること

を最優先事項(条件)としていました。

そのため、採用に、かなり苦労しました。

医療事務の経験がなくても活躍してもらえる仕組みづくり

「経験者しか採用しない」ってことは、次の2つの問題が生じます。

  1. 採用できる人材の選択肢が狭まる
  2. 人材育成の放棄

 

1つ目の「採用できる人材の選択肢が狭まる」というのは、組織にとって大きな問題です。

というのも、あたりまえのことではありますが、採用条件が厳しければ、厳しいほど、採用は困難となります。

「採用できる人材(対象者)」が減ることになるので当然ですよね。

 

なので、極力、採用のハードルは下げておいたほうがいいです。

人材の選択肢が増えますので。

 

また、採用条件が厳しく、応募者がほぼいない状況の場合、クセの強い人(人柄に問題がある人)でも、組織としては採用するしかありません。

これって、組織にとってはかなりマイナスです。

「悪貨は良貨を駆逐する」という、ことわざがあるように、混ぜちゃいけないものは混ぜちゃダメです。

組織全体に悪い影響が出ます。

「腐ったリンゴ理論」なんていうのもありますよね。

 

さらに言うと、一度採用してしまうと、事業者は、原則、解雇することはできません。

入職後、すっごく苦労することになります。

ムダなコストもかかります。

「選択肢がある」というのは、人材採用において、すっごく大切なことなんです。

 

そして、2つ目の「人材育成の放棄」ですが、

  • 人を育てられない
  • 人を育てたくない(面倒くさい)

ってことを公言しているのと同じです。

そんな、成長できない組織(環境)に、人は集まりません。

そもそも、「誰かに育ててもらって、育った人だけを採用したい」って、都合良すぎですし。

 

そんなことで、全くの「未経験・未勉強の人」でも医事課職員として活躍してもらえるように、仕組みをつくりました(変えました)。

 

具体的には、業務マニュアルの作成です。

もともと、うちの医事課には、業務マニュアルがなく、担当者によって、やり方にバラツキがありました。

そして、新入職員への説明が、すべて口頭でした。

なので、やり方を統一し、マニュアルとして、共有(配布)しました。

業務マニュアルを作成することで、専門的な知識がなくても、そのマニュアルを見ながら、作業として業務が行えるようになります。(もちろん、ちゃんと説明したうえです)

 

また、教育担当者を固定(任命)しました。

教える人が、都度変わってしまうことで、新入職員は混乱します。

うちの場合、「人によって、言うことが違う」ってこともおきていましたので、さらにです。

その対策として、教える人を固定し、そのほかの人は新人をフォローする形にしました。

 

そうすることで、どこまで教えたかや教える順番などが整理され、新入職員に仕事を覚えてもらいやすくなりました。

「人が育つ環境」「人を育てられる環境」って、組織においてすっごく大切です。

 

ちなみに、「忙しくて育てられない(教えられない)」みたいなことを言う人がいますが、それは逆です。

「忙しいから、早く育てないと!(ちゃんと育成しないと)」が正解です。

じゃないと、永遠に忙しさから解放されません。

業務改善による残業0時間化

医療事務というと、「月初(毎月10日まで)は、残業があたりまえ」みたいなイメージがありますよね。

事実、残業している人も多いと思います。

 

僕としては、これが「採用の大きな阻害要因」になっていると考えました。

そこで、すべての業務を見直し、改善を行いました。

 

具体的には、次のようなことです。

  • エクセルによる業務の自動化と情報の共有
  • 診療報酬等の請求に係る、コスト表など院内帳票の様式変更
  • 慣例で行っていた不要な業務の廃止
  • オーダーリングなどのシステムの導入
  • 外線電話の自動振り分けなど

 

これらの取り組みにより、医事課の残業時間が、0時間となりました。

 

「残業なし」にすることで、子育て中の人(保育園の迎えがある人)など、勤務時間に制約がある人にも勤務いただくことができます。

つまり、人材の選択肢が一気に広がります。

 

ちなみに、うちの医事課は、8割が子育て中の方です。

属人的な業務分担の見直し(休みやすい職場づくり)

当時の医事課は、縦割りの業務分担で、業務が属人化していました。

属人的な業務分担(業務の属人化)は、職員同士が助け合えない仕組みのため、仕事を休みづらいです。

 

というのも、属人化とは、特定の業務について、その業務を担当している人しかやり方がわからない状態のことで、

  • 知識やノウハウが共有されない
  • 担当者がいないと誰も対応できない

ってことが起こるからです。

 

逆にいえば、業務の属人化がなくなれば、部署全体で仕事を休みやすくなります。

もちろん、突発的な休みにも対応できます。

仕事を休んだとしても、他の職員が代わりにやってくれるからです。(休んだ人のフォローが簡単)

 

特に、子育て中の人の場合、子どもの都合(病気やケガなど)で、突発的な休みが多くなります。

そのため、職員同士が助け合える、つまりは、「休みやすい環境」というのは、働きやすさに直結します。

属人的な業務分担を見直すことで、突発的に休まざるを得ない人材(小さな子どもを持つ人など)を、採用の選択肢に入れることができるようになります。

 

ちなみに、うちの医事課の有給休暇取得率は、98.7%です。

みんな、ちゃんと休んでくれています。

【関連記事】

「どうやって、属人化をなくしたか?」については、こちらの記事でまとめています。

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医療事務の難易度をむやみに上げさせない

ちょっと、余談ですが、僕が出会ってきた、医事課のマネージャーは、ほぼ例外なく医療事務の難易度を上げたがります。

 

つまり、どういうことかと言うと、

「医療事務という仕事は、経験者じゃないとできない」

みたいなことを発言するんです。

特に、医療事務一筋の人ほど、その傾向は強いです。

 

もちろん、自分のもっている知識や経験を高く見積もりたい気持ちはわかりますが、組織にとって、その考え方はマイナスにしか働きません。

経験者しか採用できなくなってしまうからです。

 

なので、医療事務の難易度をむやみに上げさせてはいけません。

そして、極力、業務をシンプルにして、誰にでもできる仕事に変えていきましょう。

じゃないと、今後、さらに採用が厳しくなります。

 

超売り手市場の世の中で、決して、待遇が良いとは言えない「医療事務」を選択する人は少なくなっていきます。

そのうえ、経験者しか採用できないってことになれば、ぶっ飛んだ処遇(給料)でしか、人を集まられなくなります。

診療報酬の仕組み上、事務員に強烈な人件費をかけることはできません。

経営が苦しくなりますので。

医療事務の採用は、「ジョブメドレー」がオススメ

当院では、医事課職員の採用は、「ジョブメドレー」を活用しています。

成功報酬型の求人サイトのため、採用するまで費用は発生しないし、何より、採用費用が安い。(常勤1名:8万円)

 

また、「ジョブメドレー」の登録者に対し、スカウトメールが送れるので、直接、求職者にアプローチできる。

これが、かなり効果的です。

ぜひ、お試しください。

求人を出して、約1ヶ月で、10名ほどの応募をいただきました。

 

【関連記事】

求人サイト「ジョブメドレー」の特徴については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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まとめ

ここで、「医療事務(職員)を採用しやすくするための対策」について、おさらいです。

  • 医療事務の未経験者でも活躍してもらえる仕組みをつくる
  • 残業を0にする
  • 休みやすい環境を整備する
  • 医療事務をシンプルにする

 

職員採用において、経験や勤務時間などの制約(条件)がなくなると、

「この人と一緒に働きたいか?(人柄)」

という1点のみで、採用ができます。

 

結局、大切なのは、「今、何を知っているか?」より、「これから何を学んでくれるか?」だと思います。

だからこそ、しっかりと学んでいってくれる人を採用することが大切だと思います。

 

ちなみに、良い人が入ることで、部署全体の空気が良くなったりします。

人柄は大事です!

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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