老健入所者が外来受診したときの算定と請求方法【算定可否一覧(エクセル)】

スポンサーリンク

医師、外来診察

介護老人保健施設(老健)に入所している人が外来受診した場合、通常の外来患者とは診療報酬の取り扱いが変わり、算定できる項目と算定できない項目が決められています。

 

これは、

「常勤医師の配置が義務となっている老健施設においては、比較的病状が安定している入所者の医療行為については、老健施設の医師が対応する」

という考え方がもとになっているからです。

 

さらに言うと、

「老健施設の入所費用(介護報酬)に、比較的病状が安定している入所者の医療行為分の報酬が含まれている」

ってことです。

 

で、その取扱いが「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の「第3章 介護老人保健施設入所者に係る診療料」に定められています。

ただ、これがすっごく読みづらくて、わかりづらい・・・(僕だけではないはず)

 

そこで、

「介護老人保健施設の入所者が外来受診した場合の費用の取り扱いについて」

自分用に一覧表(エクセル)にまとめましたので紹介します。

使っていただけそうなら、ご活用ください。(逆に、間違いがあれば、ご指摘ください)

この記事で紹介している診療報酬(点数)は、令和4年4月時点のものです。

老健入所者に対して医療保険で算定・請求できる項目等一覧表

こんな表です。

介護老人保健施設の入所者が外来受診した場合の費用の取扱い(令和4年)

 

併設保険医療機関と併設保険医療機関外の保険医療機関で、算定できる項目が変わってくるので、「算定可否」を分けています。

併設保険医療機関とは、「併設保険医療機関の取扱いについて」(平成14年3月8日保医発 第0308008号)に規定する保険医療機関をいいます。

 

【無料ダウンロード(エクセルファイル)】

roukengairaisannteiitirann20220401

介護老人保健施設の入所者における往診・通院の考え方

厚生省老人保健福祉局企画課長通知「介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)について」に、基本的な考え方が示されています。

こんな感じです。

介護老人保健施設入所者に係る医師たる保険医の往診又は保険医療機関への通院については、次のように取り扱うこと。

1 基本的考え方

(一) 介護老人保健施設は常勤医師が配置されるので、比較的安定している病状に対する医療については施設で対応できることから、入所者の傷病等からみて必要な場合には往診、通院を認めるが、不必要に往診を求めたり通院をさせることは認められないものであること。

(二) 介護老人保健施設が、介護老人保健施設入所者の診療のため保険医の往診を求めたり、保険医療機関へ通院させる場合は、施設の医師と保険医とが協力して入所者の診療に当たるべきであること。

2 介護老人保健施設の入所者の対診

(一) 介護老人保健施設の入所者を保険医療機関等へ通院させる場合には、提供している介護保健施設サービスについて必要な事項が記載されている入所者の健康手帳及び介護保険法第一二条第三項に規定する被保険者証を携えて受診させること。

(二) 保険医療機関等においては、入所者の健康手帳等により、介護老人保健施設の入所者であることを確かめなければならない。

3 情報提供

施設医師と保険医とが協力して入所者の診療に当たるためには、相互の情報提供が十分なされることが必要であることから、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成一一年厚生省令第四〇号)及び老人保健法の規定による医療及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準(昭和五八年一月厚生省告示第一四号)において次のように規定したものであること。

(一) 介護老人保健施設の医師は、入所者のために往診を求め、又は入所者を病院若しくは診療所に通院させる場合には、当該病院又は診療所の医師又は歯科医師に対し、診療状況に関する情報の提供を行うこと。(別記様式参照)

(二) 医師又は歯科医師である保険医は、施設入所者を診療する場合には、当該介護老人保健施設の医師から当該介護老人保健施設の診療状況に関する情報の提供を受けるものとし、その情報により適切な診療を行わなければならないこと。

(三) 医師又は歯科医師である保険医は、施設入所者を診療した場合には、当該介護老人保健施設の医師に対し当該施設入所者の療養上必要な情報提供を行わなければならないこと。

(四) 介護老人保健施設の医師は、入所者が往診を受け、又は入所者が通院した病院若しくは診療所の医師又は歯科医師から当該入所者の療養上必要な情報の提供を受けるものとし、その情報により適切な診療を行わなければならないこと。

 

ポイントとしては、次の3つです。

  • 入所者の傷病等からみて必要な場合には往診、通院を認めるが、不必要に往診を求めたり通院をさせることは認められない
  • 老健の医師は、病院等の医師に対して、診療状況に関する情報の提供を行うこと
  • 保険医は、当該介護老人保健施設の医師に対し、外来受診した入所者の療養上必要な情報提供を行わなければならない

 

ちなみに、老健の医師が、診療状況に関する情報提供を行うときの様式(書式)は、次のとおりです。

別記様式 老健情報提供

介護老人保健施設の入所者における往診・通院の診療報酬の算定方法

通知上は、次のようになっています。

(一) 保険医が介護老人保健施設の入所者を往診・通院により診療した場合、介護老人保健施設の医師への入所者の療養に関する情報の提供について情報提供料が設けられている。

(二) したがって、介護老人保健施設で対応できる医療行為については、保険医からの情報提供により施設の医師が対応することとなるので、当該医療行為に係る保険請求は認められない。
なお、介護老人保健施設で通常行えない医療行為については保険請求が認められる。

(三) 介護老人保健施設に併設して設置されている保険医療機関等における保険請求は、それ以外の保険医療機関等と異なる取扱いとなっている。

出典:厚生労働省「介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)について」

 

わかりやすく言うと、

  • 老健入所者(外来受診者)に保険請求できるものは、入所者が一部負担金を支払う
  • 保険請求できないもの(投薬など)は、全額自費となり、老健施設が費用負担する義務がある

って感じです。

 

ちなみに、うちの場合、保険請求できない自費分の請求は次のようにしています。

  • 受診時に、患者に払ってもらい、老健に戻ったときに精算してもらう
  • 病院から老健へ直接請求する
事前に老健施設の担当者と相談して決めています。

混合診療にならないのか?

老健健入所者が外来受診した場合、

  • 保険請求できるものは、入所者が一部負担金を支払う
  • 保険請求できないもの(投薬など)は、全額自費となり、老健施設が費用負担する

と説明しましたが、「これって、混合診療にならないのか?」と思うかもしれません。

 

結論から言うと、混合診療にはなりません。

 

考え方としては、「特定入院料等の他科受診のイメージ」と同じです。(と思っています)

つまり、保険請求できない分を老健施設からもらって精算するってことです。

老健施設は、その分の介護報酬を入居費用としてもらっているわけなので。

 

ちなみに、保険請求できない分を老健入所者に請求しちゃうと、2重払いになってしますので、入所者さんがかわいそうなことになっちゃいます。

まとめ

ここで、「老健入所者が外来受診したときの算定と請求方法」について、おさらいです。

  • 保険請求できるものは、老健入所者(患者)に一部負担金を請求する
  • 保険請求できないもの(投薬など)は、全額自費となり、老健施設に請求する
  • 老健入所者の外来診療は、混合診療にはならない

 

考え方としては、老健入所中は老健にて治療を行い、対応できないものは老健を退所して、病院に入院(転院)するってことなんだと思います。

その中で、一部の医療行為(往診・外来)については、保険請求してもいいよみたいな感じですかね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

【あわせて読みたい】

法令遵守
スポンサーリンク
こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

こうをフォローする
よろしければシェアお願いします
こうをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました