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【衝撃の改定】訪問リハビリテーション費の算定基準が変わった!!(平成30年度介護報酬改定)

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病院、リハビリ

平成30年度の介護報酬改定は、訪問リハビリテーション事業所に衝撃が走ったんじゃないでしょうか。

そう、「訪問リハビリテーションにおける専任の常勤医師の配置の必須化」によって。

 

まー、もともと、訪問リハビリの事業所は、病院や診療所、老健などが基の事業所になっていますから、専任の医師については配置に困ることはないでしょう。

 

しかし、問題点は、そこではなくて、

「当該事業所の医師の診療に基づき、リハビリテーション計画を作成し、サービスを行う」

ってところが問題なんです。

さらに言えば、「当該事業所の医師の診療に基づき」の部分が、衝撃の改定です。

 

今回は、このあたりについて、解説してみます。

「当該事業所の医師の診療に基づき」の何が問題なの?

平成30年度の改定前は、「当該事業所の医師の診療に基づき」という文言ではなく、「主治医の指示の下」という算定基準でした。

つまり、今までは、自分の事業所の医師が診療しなくても、別の診療所等の主治医の指示があれば、訪問リハビリテーションの実施ができたわけです。

 

でも、これからは、別の診療所の主治医が患者の診療を行い、訪問リハビリテーションの指示を行った上で、自分の事業所の医師が診療を行い、「訪問リハビリテーション計画」の作成をしなければならなくなったのです。

つまり、2重に診療しなければならないってことです。

 

ちなみに、訪問リハビリテーションは、「訪問リハビリテーション計画」の作成をしなければサービス提供できません。

 

これは、患者にとっても、事業所にとっても、大きな負担になります。

 

なお、主治医が自分の事業所の医師の場合は、全く問題ありません。

もともと、普段から患者を診てますから。

そもそも「診療」ってなんなの?

で、思ったんです。

「当該事業所の医師の診療に基づき」の「診療」って、どういう定義なんだ?って。

そして、「もし、診療の定義において、患者と直接対面する必要がない」なら、随分、話が変わってくるよね?って思ったんです。

 

そこで、調べてみました!!(僕、納得するまで調べちゃう性格です)

「診療」の定義

医師法、医療法、健康保険法などには、はっきりと「診療の定義」について記載はありませんでした。

が、厚生労働省の通知にはっきりと明記されていました。

診療は、医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本であり・・・

出典:情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について

この通知は、遠隔診療に関する通知ですが、診療は医師と患者が直接対面して行うものであるとされています。

ただ、例外として「遠隔診療で診療していい場合があるよ」って内容の通知です。

 

気になる人は、こちらの通知をご覧ください。

いわゆる「遠隔診療」(厚生労働省)

 

つまり、訪問リハビリテーションを提供するには、当該事業所の医師が、患者と直接対面して診療しなければならないってことです。

「診察」の定義

はい、これはオマケです。

通知文章を読んでいると、診療という言葉のほかに、診察という言葉が出てきます。

違いって、わかります?

 

僕は、わからなかったので、調べちゃいました。

  • 診察とは、医師が患者の病状・病因などをさぐること。
  • 診療とは、診察・診断・治療をひとくくりにした総称。

 

このことから、「診察」も「診療」も、原則は「患者と直接対面で行え!」ってことですね。

診療をしたときの取り扱い「医師法」

次は、「診療」をしたときにしなければならないことについてです。

訪問リハビリテーション計画の作成においては、当該事業所の医師が診療を行うことをされています。

 

つまり、医師は「訪問リハビリテーション計画の作成のため」とは言え、診療を行うわけです。

なので、当然、記録は必須です。

 

このとおり。

無診察治療等の禁止(医師法 第20条)

医師が自ら診察しないで治療をし、もしくは診断書もしくは処方せんを交付してはならない。(保険診療としても当然認められない。)

(無診察治療とは)

例えば定期的に通院する慢性疾患の患者に対し、診察を行わず処方せんの交付のみをすること。実際には診察を行っていても、診療録に診察に関する記載が全くない場合や、「薬のみ」等の記載しかない場合には、後に第三者から見て無診察治療が疑われかねない。このようなことを避けるためにも診療録は十分記載する必要がある。

 

診療録の記載及び保存(医師法 第24条)

医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

出典:厚生労働省

当該事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合

続いて、もし、当該事業所の医師が、やむを得ず診療を行えなかった場合についてです。

 

診療を行わなくても、訪問リハビリテーションのサービス提供ができないわけではありませんが、減算になります。

で、「どのくらい減算になるの?」については、次のとおりです。

訪問リハビリテーション費(平成30年4月より)

1回(20分)につき 290単位

事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合

1回につき -20単位

つまり、1回(20分)ごとに、-20単位ってことです。

 

例えば、

月300回の訪問リハを提供しているなら、月60,000円減収ということになります。(1単位10円にて試算)

 

当然ですが、提供しているサービス件数が多ければ多いほど、減収額も大きくなりますので、地味に効きますね・・・

医師の診療頻度(リハビリテーション計画の作成に係る診療)

「じゃあ、どのくらいの頻度で診療すればいいの?」という質問が来そうなんで、先回りして答えを!

最低でも、3ヶ月に1回は診療すること!!

 

診療の頻度については、平成30年度の改定前と変わっていません。

根拠は、通知(算定の基準)を読んでください。

リハビリテーション計画の作成に係る医師の診療って、往診料や訪問診療料って算定できるの?

訪問に行かなければならない患者って、原則、外来に通えないから訪問するんですよね。

だとすると、医師が診療するってことは、往診か訪問診療ってことになります。

 

でも、診療報酬上の算定基準を読む限りでは、「リハビリテーション計画の作成に係る診療」においては、往診も訪問診療も該当しないんですよね。

つまり、算定できないってこと?(これは、僕の解釈です)

 

そうなると、医師の投下する時間と人件費を考慮すると、メリットあるのかな~って思っちゃいます。

その分、外来診療してもらったほうがいいような・・・

 

ただ、「事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合」の減算って、かなり微妙な経過措置(1年間)が付いていることを考えると、診療しないという選択肢はないんだろうな・・・って思います。

 

なお、経過措置については、こちらの記事をご覧ください。

訪問リハビリテーション費の減算に係る経過措置を読み込む【リハ計画作成時の診療をしない場合】
平成30年度の介護報酬改定において、訪問リハビリテーション費に「事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合」の減算が新設されています。 これ、すっごく曲者(くせもの)で、通知を、よーーーーく読んでみると「減算して...

まとめ

ここで、訪問リハビリテーション費の算定に係るポイントをまとめておきます。

  • 診療は、患者と直接対面で行うこと
  • 診療したら、しっかり記録すること
  • 診療は、最低でも3ヶ月に1回はすること

 

なんか、この改定って、地域包括ケアシステムの構築に逆行してる気がするんだけど、国の意図が見えないっす。(笑)

 

あなたは、どう思いますか?

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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