入院中の患者が、本人や家族の希望で、自宅などに外泊することってありますよね?
このときの
- 外泊期間(日数)の数え方
- 外泊期間中の診療報酬の算定
について、当院で「あーでもない、こーでもない」と、ごちゃごちゃしたんです。
そこで、「診療報酬上の外泊」について、厚生局に確認しつつ、色々と調べてみましたので備忘録的にまとめておきます。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 医療事務の仕事をしている
- 医療機関で働いている
診療報酬上の外泊は、2泊3日から1日と数える【外泊の定義】
一般的に、外泊というと「1泊2日から1日」と考えますよね。
でも、診療報酬上の外泊は「2泊3日から1日」と数えます。
というのも、診療報酬上の外泊とは、「0時から24時までの24時間、全く病室を使用していない日」を1日と数えるからです。
なので、次のような場合、診療報酬上は外泊となりません。
【外泊とならない場合(1泊2日)】
- 5/1 10:00 病院を出発し自宅へ
- 5/2 16:00 病院へ戻り
言い換えるなら、外泊期間の初日と最終日は、外泊とはカウントしないってことですね。
外泊期間中の入院料等の算定【入院料の15%を算定】
外泊日については、入院料等は減算されます。
算定ルールは、次のとおりです。
- 外泊患者が入院している病棟の入院基本料または特定入院料の基本点数(注1の点数)の15%を算定する
- 精神及び行動の障害の患者における治療のために外泊は、さらに15%を算定できる(連続して3日以内、かつ月6日以内に限る)
- 外泊中の入院料等を算定する場合においては、その点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算する
- 外泊期間は、入院期間に算入する
もちろん、1泊2日は診療報酬上の外泊ではないため、2泊3日から入院料等が減算されることになります。
こんな感じです。
【外泊における算定例】
外泊期間中の加算は、「退院前在宅療養指導管理料」のみ
外泊日は、原則、入院基本料または特定入院料の基本点数(注1の点数)の15%または30%しか算定できませんが、要件を満たすことで算定できる加算もあります。
それは、「C100 退院前在宅療養指導管理料(120点)」です。
算定要件は、次のとおりです。
C100 退院前在宅療養指導管理料
(1) 入院中の患者に対して外泊時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、外泊の初日1回に限り退院前在宅療養指導管理料を算定する。
(2) 退院前在宅療養指導管理料を算定した同一月に他の在宅療養指導管理料を算定することができるが、退院前在宅療養指導管理料を算定した日には他の在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算は算定できない。
(3) 入院料の取扱い上は外泊とならない1泊2日の場合であっても、退院前在宅療養指導管理料の算定要件を満たせば当該指導管理料を算定することができる。
(4) 退院前在宅療養指導管理料を算定できるのは、あくまでも退院した場合であり、病状の悪化等により退院できなかった場合には算定できない。
また、外泊後、帰院することなく転院した場合には算定できない。
出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)令和4年3月4日保医発0304第1号」
ちなみに、退院前在宅療養指導管理料の算定要件(3)に、さらっと「1泊2日は、外泊にならない」との記載があります。
これが、診療報酬上の外泊の法的根拠と言えるかもしれませんね。
外泊期間に制限はあるのか?
外泊に、日数制限はありません。
なので、月に何日外泊してもOKです。
もちろん、連続日数の制限もないです。(入院料の30%を算定できる期間に制限はありますが)
ただ、病院としては、診療報酬が激減するので、極力、外泊してほしくないですけどね。
厚生局に、「外泊」について確認した内容
厚生局には、次のように質問し、回答をもらいました。
【質問】
診療報酬上の外泊は、「24時間部屋を空けたとき」と理解をしているが、この24時間とは、具体的にどういうことか?
たとえば、次の場合はどうなるのか?
- 5/1 9:00 病院を出発し自宅へ
- 5/2 18:00 病院に戻る
【回答】
診療報酬上の外泊とは、「0時から24時までの24時間病室を使用していない日」を1日と数える。
そのため、いわゆる、1晩を病院外で過ごす「1泊2日」の場合は、外泊とはならない。
この考え方により、上記の「5/1に病院を出発し、5/2に病院に戻ってくる」場合においては、外泊とはならない。
なお、この取扱いについて、明確な通知はない。
まとめ
外泊の取扱いに限ったことじゃなく、診療報酬の取扱い(通知など)って、わかりづらいものが多くて、結構、ごちゃごちゃしますよね。
ただ、保険医療機関としては、極力、算定誤りがないようにしたいところです。
そのためにも、制度の理解を深め、適切に判断していきたいですね。
わかりづらい通知が多いですけどね・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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