「真面目に頑張っているのに、なぜか報われない…」
「部下やチームが思うように動いてくれない…」
「上司との関係がうまくいかず、仕事が進まない…」
もしあなたが、このように悩んでいるなら、それはあなたが「真面目すぎる」からかもしれません。
私たちは、往々にして、目の前のタスクや正論ばかりを追い求めがちです。
しかし、本当に成果を出し続ける「仕事ができる人」は、もっと別の次元で戦っています。
それは、人間心理と組織力学を深く理解し、さりげなく人を動かす「したたかさ」です。
この記事では、書籍「Deep Skill 人と組織を巧みに動かす深くてさりげない21の技術」の内容をもとに、単なる仕事のテクニックではない、チームや組織を動かすための具体的なヒント(したたかさの流儀)を紹介します。
そもそも「Deep Skill」とは何か?
「Deep Skill(ディープスキル)」とは、書籍「Deep Skill 人と組織を巧みに動かす深くてさりげない21の技術」で紹介されている、人と組織を巧みに動かすための、深くてさりげない技術です。
これは、表面的なコミュニケーション術やプロジェクト管理のスキルとは一線を画します。
ディープスキルの本質は、つぎの2つの能力を兼ね備えることにあります。
- 人間心理と組織力学に対する深い洞察力
- その洞察に基づいた的確な行動力
この2つが揃うことで、あなたは「仕事ができる人」として周囲から評価されるようになります。
たとえば、部下のモチベーションが低いとき、あなたは「がんばれ」と励ますだけではいけません。
その裏にある「何が原因でやる気が出ないのか」「チーム全体の力学はどうなっているのか」を深く洞察し、それに合わせた行動を取る必要があります。
ディープスキルは、真面目さや努力だけではたどり着けない、成果に直結する必須能力なのです。
信頼を資産に変える「したたかさ」を磨く
多くのマネージャーは、「公正でありたい」「部下全員に平等でありたい」と考えます。
しかし、それだけでは組織は動きません。
なぜなら、人は「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」で動くからです。
信頼を「コツコツ貯める」という視点
チームや組織を動かす上で、最も重要な資産は「信頼」です。
信頼できないリーダーの言葉には、誰も耳を傾けません。
信頼を築くための「ずるくない、したたかさ」とは、特別なことをするのではなく、つぎのような日々の誠実な行動の積み重ねです。
- 礼儀正しく、謙虚であること
- 嘘をつかず、約束やルールを守ること
- 誰とでも分け隔てなく接すること
- 間違ったときには素直に謝ること
これらは当たり前のことのように見えますが、忙しい日々の中で徹底するのは意外と難しいものです。
しかし、こうした地道な努力こそが「信頼資産」となり、あなたの言葉に重みを与えます。
目的合理性に徹し、味方を作る
「目的合理性」とは、目的を達成するために最も合理的な手段を選ぶ考え方です。
私たちは時に、感情や正義感から「これは間違っている!」と声を上げがちです。
しかし、それによって敵を作ったり、プロジェクトの進行を妨げたりしては、元も子もありません。
仕事を進めるうえで大切なのは、「誰が正しいか」ではなく「どうすれば目的を達成できるか」です。
時には、上司をうまく「利用」するという視点も必要です。
余計な波風を立てるよりも、味方につけておいた方が、最終的な目標達成にはるかに近づきます。
この「目的合理性」に徹する姿勢こそ、真のプロフェッショナルが持つ「したたかさ」なのです。
上司を味方につける「脚本家」の思考法と、はしごを外させないための戦略
多くのリーダーが陥りがちな罠が、「上司はチームの味方である」という幻想です。
実際には、上司はあなたやチームを助けるだけでなく、時には「はしごを外す存在」になります。
どうすれば、上司に責任を負わせ、プロジェクトの当事者として巻き込むことができるでしょうか。
それは、あなたが「舞台でスポットライトを浴びる俳優」になるのではなく、「筋書きをコントロールする脚本家」になることです。
プレゼンの場では、最初に上司に「このプロジェクト、ぜひ成功させましょう」といった一言を発してもらいましょう。
たったこれだけのことで、上司は「決意表明」をした当事者となり、後戻りできなくなります。
また、優柔不断な上司に決断を迫る際も、正論をぶつけるのは逆効果です。
上司が意思決定をためらうのは、失敗のリスクを恐れているからです。
「もし失敗しても、この対策があるので安心してください」
「選択を誤っても、すぐに軌道修正できます」
このように、上司の不安を先回りして取り除くことが、決断を引き出すための鍵となります。
「波風を立てない」真の実力【事前準備が成果を左右する】
「仕事ができる人」と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべますか?
意見をはっきり主張し、反対意見にも臆さず立ち向かう人でしょうか?
もちろんそれも大切ですが、本当に成果を出し続ける真の実力者は、「不要な波風を立てない」ことを徹底します。
そのため、本当に仕事ができる人は、プロジェクトが始まる前から、関係者一人ひとりと丁寧に合意形成を図ります。
「この件、ご意見いただけますでしょうか?」
「〇〇さんの部署への影響も考慮して、このように進めたいのですが、よろしいでしょうか?」
このように、先を読んで抵抗が起きないように事前に手を打つことで、プロジェクトは驚くほどスムーズに進みます。
一見、何もしていないように見えて、実は水面下で根回しや調整を完璧に行っているのです。
会社で深刻になるほどのことはないという「達観」
リーダーは、時にチームの失敗やトラブルの責任を負い、深刻な状況に追い込まれることがあります。
しかし、そこで過剰に反応してはいけません。
人生は一度きりですが、仕事は何度でもやり直せる「RPGゲーム」のようなものです。
「どうやって彼ら(メンバーや上司、関係者)を動かして、このクエスト(仕事)を成し遂げるか」
このようなゲーム感覚で戦略を練ることで、あなたは感情的にならず、冷静に状況を分析できるようになります。
「9回裏ツーアウト」だと思うと、精神状態が歪み、思考も歪んでしまいます。
達観した視点を持ち、客観的に自分の状況を見つめることで、冷静な判断が可能になり、最善の一手を見つけ出すことができます。
普通の人の「不満」に耳を傾ける(人の気持ちを武器にする)
ビジネスの本質は、世の中の「不満」を取り除くことです。
どれほど高度な理論や専門知識を持っていても、それが「普通の人の普通の気持ち」からかけ離れていたら、価値を生み出すことはできません。
本当に大切なのは、「人の気持ちを慮る力」、つまり「他者への想像力」です。
どんな人が、どんな場面で、どんな不満を感じているのか?
どうすれば、その不満を解消できるのか?
この問いを常に持ち続けること。
そして、一方の手に「専門性」を持ち、もう一方の手には「感情」を持つこと。
これが、時代を動かす真のリーダーに求められる能力です。
最強の「思考ツール」は他者の脳を借りること。「壁打ち」は最強の根回し
「壁打ち」とは、誰かに自分の考えを話すことで、フィードバックをもらい、新しい視点を得るコミュニケーション手法です。
プライドを捨てて人に頼ることで、あなたは自分一人ではたどり着けない、より良い答えを見つけ出すことができます。
さらに、この「壁打ち」には、もう一つの強力な効果があります。
それは「根回し」です。
事前に自分の考えを壁打ちした相手は、そのプロセスに「一緒に参加した」という感覚を覚えます。
結果として、その人はあなたの「仲間」となり、あなたがプロジェクトを進める際の強力な味方になってくれるのです。
誰かと話すことこそが、最強の「考える技術」であり、最強の「根回し」となります。
まとめ
ここで、「人と組織を巧みに動かす「したたかさの流儀」」について、おさらいです。
- 信頼という資産を築くこと
- 目的合理性に徹すること
- 上司を味方につけ、波風を立てずにコトを進めること
- 深刻にならず、達観した視点で仕事を楽しむこと
- 専門性だけでなく、人の気持ちを深く洞察すること
- 他者の力を借りて、より良い答えを導き出すこと
どんなに素晴らしいアイデアでも、人や組織を動かし、実行できなければ、ただの「絵に描いた餅」です。
「したたかさの流儀」で、あなたの「やりたいこと」を実現していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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