医師が、外来などの患者さんへ、次のような処方(投薬)した場合、向精神薬多剤投与として、
- 処方料
- 薬剤料
- 処方箋料
- 通院・在宅精神療法
- 精神科継続外来支援・指導料
が、減算または算定不可となります。
【向精神薬多剤投与となる場合(1回の処方に対して)】
- 抗不安薬を3種類以上処方
- 睡眠薬を3種類以上処方
- 抗うつ薬を3種類以上処方
- 抗精神病薬を3種類以上処方
- 抗不安薬と睡眠薬をあわせて4種類以上処方
このときの「減算にするのか、しなくていいのか?」のルールが複雑で、うちの場合、大概「あーでもない、こーでもない」とごちゃごちゃします。
そこで、パッと見で簡単に判断できるように「向精神薬多剤投与にかかる算定判断フローチャート」を作成してみましたので紹介します。
使っていただけそうなら、ご活用ください。(逆に、間違いがあれば、ご指摘ください)
向精神薬多剤投与にかかる算定判断フローチャート(エクセル)
こんな感じの表になっています。
【無料ダウンロード(エクセルファイル)】
⇒psychotropic-drug-polypharmacy-flowchart2022
【関連記事】
「向精神薬多剤投与における減算って何ですか?」という人は、こちらの記事をまとめていますので、チェックしてみてください。
その方が「向精神薬多剤投与にかかる算定判断フローチャート」を使いやすいと思います。
⇒処方料・処方箋料の「向精神薬多剤投与」の算定ルール【臨時の投薬等・経験のある医師】
⇒通院精神療法の多剤投与(抗うつ薬・抗精神病薬)の減算ルール
向精神薬多剤投与にかかる算定判断フローチャートの見方
説明の必要はないかもですが、一応です。
向精神薬多剤投与がされたら、まず、どの薬を処方したのかを確認します。
このとき、「睡眠薬3種類以上」が処方されていたら、減算されない要件は、
- 転医時多剤投与
- 薬剤切替時の一時的な新旧薬の併用
になるので、該当するかどうかを確認します。
で、該当するか、しないかで、減算されるもの(処方箋料など)確認します。
ちなみに、処方された薬が「抗うつ薬3種類以上」または「抗精神病薬3種類以上」の場合、減算されない要件は、
- 転医時多剤投与
- 薬剤切替時の一時的な新旧薬の併用
- 臨時投与
- 届出した医師による処方(3種類に限る)
となります。
そして、減算されるものに「通院精神療法」が入ってきます。
睡眠薬と抗うつ薬が、それぞれ多剤投与されていた場合の算定
患者さんによっては、
- 抗不安薬を3種類以上処方
- 睡眠薬を3種類以上処方
- 抗うつ薬を3種類以上処方
- 抗精神病薬を3種類以上処方
が複数該当することがあると思います。
たとえば、睡眠薬を3種類、抗うつ薬を3種類の同時の処方などです。
このときの処方理由が、「転医時多剤投与」または「薬剤切替時の一時的な新旧薬の併用」であれば、睡眠薬3種類、抗うつ薬3種類の両方が減算されない要件に該当しますので、処方箋料も通院精神療法も減算対象にはなりません。
ただ、このときの処方理由(除外要件)が「厚生局へ届出した医師による処方」の場合、抗うつ薬3種類は減算されない要件に該当しますが、睡眠薬を3種類は減算されない要件に該当しません。
そのため、処方料・処方箋料は減算対象となります。
また、通院精神療法は、そもそも睡眠薬3種類以上の処方に対して減算されません。
なので、通院精神療法は、減算対象とはなりません。
結果、睡眠薬3種類、抗うつ薬3種類を同時に処方した場合は、
- 処方料、処方箋料 減算あり
- 通院精神療法 減算なし
となります。
まとめ
向精神薬多剤投与の算定ルールって、ほんと複雑でわかりづらいですよね。
ただ、保険医療機関としては、極力、減算せずに算定したいところです。
そのためにも、1つのツールとして、「向精神薬多剤投与にかかる算定判断フローチャート」を活用していただけると嬉しく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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