多様性より心理的安全性を優先しよう【集合知を得るために大切なこと】

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チームワーク、会議、コミュニケーション

「複雑な課題を解決するためには、集合知が大切。そして、集合知を活用するためには、多様性(ダイバーシティー)が大切。」

なんて言われてますよね。

たしかに、「そのとおりだな~」って思います。

 

だからといって、僕としては、

「集合知の活用 = 多様な人材を採用」

としちゃうのは、ちょっと乱暴だなって思っています。

 

というのも、どんなに多様性豊かな人材を集めたとしても、組織の文化やマネージャーのスタイルによっては、集合知は得られないからです。

 

そこで、この記事では、「組織が集合知を活用するために、多様性よりも大切なこと」について、まとめておきます。

僕が、仕事上、意識していることです。

集合知を活用するためには、多様性よりも心理的安全性を優先する

集合知を得るためには、職員一人ひとりに色々な意見やアイデアを出してもらう必要があります。

このとき、自由に意見(異見)することが、職員にとって、マイナスになってしまう場合、誰も意見したいとは思わないですよね?

そうなると、集合知を得ることはできません。

 

「なんで、意見するだけなのに、マイナスになるの?」

って思うかもしれませんが、結構、そういう組織って多いと思います。

 

たとえば、

  • 自分の意見が一番正しいと思っているマネージャー(リーダー)がいる
  • 「そんなことも知らないの?」と思われる不安がある
  • 「協調性がない、和を乱す」と評価される

みたいな環境(組織文化)の場合です。

 

こういう組織では、どんなに多様性豊かな人材を集め、1人ひとりが優秀であったとしても、集合知を活用することはできません。

なので、組織として集合知を活用したいと思うのなら、まずしなければならないのは、多様な人材を集めることではなく、組織における「心理的安全性」を高めることです。

心理的安全性とは、何なのか?

心理的安全性とは、自分の意見などを自由に発言できる雰囲気や信頼関係のことです。

心理的安全性が高い環境では、職員は自分の考えや提案を恐れずに伝えられます。

また、他者の考えや提案に対してもオープンに受け入れられます。

 

逆に、心理的安全性が低い環境では、職員は本音が言えないうえ、他者の考えや提案に対しても否定的になったりします。

 

心理的安全性を高めることで職員は、

  • どんな意見も素直に口にできる
  • 困ったときには何でも相談できる
  • 悪い知らせも包み隠さず報告できる

ようになります。

 

結果、心理的安全性を高めることで、組織としての知的財産が増え、集合知が活用できるようになります。

心理的安全性を妨げる大きな要因:権威型のマネージャー

組織の心理的安全性を妨げる大きな要因は、「権威型のマネジメントスタイル」にあると思っています。

権威型のマネージャーは、ヒエラルキーを重視する傾向が強いので「役職 = 偉い」を部下へ強要します。

また、権威型のマネージャーは、自分の意見が一番正しいとする傾向も強いため、部下の貴重な意見を否定的に捉えます。

 

部下としては、発言するだけでもエネルギーを使うのに、その意見に対して、いきなり否定されたら、嫌になっちゃいますよね。

なので、部下(職員)としては、意見をすること自体がマイナスとなり、

  • 本音が言えない
  • マネージャーの意見にあわせる
  • 言ってもムダだから言わない

となります。

 

こうなると、もはや集合知どころの話ではなくなります。

職員のモチベーションが下がり、最悪の場合、辞めちゃいます。

 

もちろん、経営者がとてつもなく優秀で、なんでも完璧というなら、ヒエラルキー重視の画一的な組織(トップダウン型の組織)のほうがいい場合もあると思いますが。

人材の多様性と心理的安全性の関係

次の図は、「人材の多様性と心理的安全性の関係」を表したものです。

人材の多様性と心理的安全性の関係(2×2マトリクス)

 

人材の多様性が高く、心理的安全性が高い場合は、①の「質の高い集合知」が得られます。

人材の多様性が低く、心理的安全性が低い場合は、④の「画一的な集団(組織)」になります。

①・④は、わかりやすいですよね。

 

次に、人材の多様性が低く、心理的安全性が高い場合は「質は低いが集合知が得られる」ので、③となります。

これも、なんとなくわかりますよね。

 

最後は、②の「人材の多様性が高く、心理的安全性が低い場合」です。

これは、権威型のマネージャーやヒエラルキー重視型の組織文化(トップダウン型の組織文化)が、心理的安全性を妨げてる状態を表しています。

どんなに優秀で多様性豊かな人材を集めたとしても、その人たちの知識を活用したり、意見を受入れる文化がないと多様性の意味がありません。

 

また、心理的安全性の低い環境の場合、「情報カスケード」という現象が起きやすくなり、さらに多様性は失われます。

「情報カスケード」とは、先行する人の意見や行動に影響されて、自分の判断や情報を無視してしまう現象のことです。

 

たとえば、会議などにおいて、リーダーやマネージャーの意見に合う情報や耳障りの良い情報ばかりが共有され、他の意見(異見)が全く出なくなることです。

言い換えるなら、リーダーやマネージャーの圧力によって、みんなが同じ判断をしちゃうってことです。

もちろん、同調圧力も働くので、多様性はどんどん失われます。

「多様性」が目的になってないか?【手段の目的化】

そもそも、組織(会社)が求めているのは、多様な人材ではなく、多様な人材の持つ知恵ですよね。

つまり、「質の高い集合知」ってやつです。

 

そういう意味では、心理的安全性が確保されてないのに、「多様性が大切だから、多様な人材を採用しよう」というのは、安易すぎます。

本来、手段であるはずの「多様性」が目的になっちゃってます。

つまり、「手段の目的化」が起きてるってことです。

 

手段が目的になっちゃうと、本来の目的を見失い、効果が出づらくなります。

なので、まずは、

「うちの組織(会社)は、多様性を受入れる体制が整っているのか?」

を考えることが大切だと思います。

 

そして、その体制というのが「心理的安全性」なんです。

心理的安全性は、リーダーやマネージャーの行動で高められる

「じゃあ、心理的安全性を高めるには、どうすればいいのか?」

ですが、僕としては、リーダーやマネージャーが、次のような行動を意識することが大切だと思っています。

【心理的安全性を高める行動】

  • 「ありがとう」を口癖にする
  • 常に、ご機嫌でいる
  • 部下への報連相を心がける
  • 共感と理解を分ける
  • 犯人探しをしない

 

それでは、1つずつ説明していきます。

「ありがとう」を口癖にする

僕は、「ありがとう」って魔法の言葉だと思っています。

理由としては、

  • 言われて嫌な人はいない
  • どんな場面で使える万能な言葉
  • あいての承認欲求を満たし、行動を促せる

からです。

 

なので、マネージャーとしては、どんどん使ったほうがいいです。

 

それこそ、

  • 報告してくれたとき
  • 相談してくれたとき
  • 書類を届出くれたとき
  • 電話をつないでくれたとき
  • 聞いたことに、答えてくれたとき(仕事の進捗や確認など)

など、良し悪しに関わらず、どんな些細なことでも「ありがとう」を伝えましょう。

常に、ご機嫌でいる

マネージャーには、常に、ご機嫌でいる責任があります。

機嫌の悪い人に、報告や相談をしたい人はいません。

特に、悪い報告の場合、なおさらです。

 

なので、マネージャーは、どんなときでも「ご機嫌でいること」を心がけ、報告や相談のハードルを下げておく必要があります。

部下への報連相を心がける

「報告・連絡・相談(報連相)は、部下が上司にするもの」と思っている人が多いのですが、心理的安全性を高めたいなら、逆を意識したほうがいいと思います。

つまり、「報告・連絡・相談(報連相)は、上司が部下にするもの」と意識するってことです。

 

部下は、上司から相談されると嬉しいものです。

そして、相談されると、部下は、上司から信頼されていると感じます。

その関係づくりが、心理的安全性を高めてくれます。

 

【関連記事】

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共感と理解を分ける

「共感」と「理解」は、似て非なるものです。

「共感」は、相手の意見や感情などに、そのとおりだと感じることです。

「理解」は、相手の意見や感情などがわかる(意味や内容がわかる)ことです。

 

なので、「共感はできないけど、理解はできる」ってことがありえます。

ここをしっかり理解して分けておくと、相手の話を聞くのが、かなり楽になります。

 

というのも、「意識が理解することに向く」からです。

つまり、「共感しなくていい」と割り切ることで、感情を揺さぶられることが少なくなり、第3者的に、相手の話を理解することだけに集中できるようになるってことです。

 

「しっかりと話を聞いてくれた」というのは、信頼関係を築くうえで、大きな要素となります。

そして、その関係づくりが、心理的安全性を高めてくれます。

 

ちなみに、「共感と理解の関係」をわかりやすく図にすると、つぎのようになります。

共感と理解(2×2マトリクス)

③「共感できないけど、理解できる」が大切です。

犯人探しをしない

仕事上のミスについて、「犯人探し」が大好きな人っていますけど、組織にとって、メリットはないと思います。

なので、やめたほうがいいです。

 

理由としては、

  • 職員さんのやる気がなくなる
  • ウソが増える
  • 隠ぺいが増える
  • 仕組みの改善が行われない

からです。

ウソや隠ぺいが行われる職場に、心理的安全性なんてありません。

 

【詳細記事】

「犯人探し」の悪影響については、こちらの記事で詳しく説明しています。

「犯人探し」をやめたほうがいい理由と効果【誰がミスしたかは問題じゃない】
仕事をしていて、「ミスをしたい!」って人、いないですよね。もちろん、「わざとミスをする」って人もいないと思います。(特別な事情を除きますが・・・)でも、ミスは必ず起きます。そういう意味では、ミスには「悪意」や「悪気」はないってことになります...

まとめ

ここで、「組織が集合知を得るために大切なこと」について、おさらいです。

  • 多様性よりも心理的安全性を優先する
  • 心理的安全性とは、自分の意見などを自由に発言できる雰囲気や信頼関係のこと(職員が安心して働ける心理状態)
  • 権威型のマネージャーが心理的安全性を妨げる
  • 「質の高い集合知」が目的、「多様性」は1つの手段
  • リーダーやマネージャーの行動で心理的安全性は高まる

 

組織で働く主なメリットは、

  • 他者の知恵を活用できるところ
  • 他者の経験からも学べるところ

だと思うので、集合知が得られない環境というのは、職員が本来得られるはずの労働価値が減ることを意味します。

そうならないためにも、組織の心理的安全性を高めていくというのは、すっごく大切なことだと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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