いきなりですが、あなたの病院は、宿直・日直勤務はありますか?
あるなら、労働基準監督署に「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」の提出をしてますか?
そして、許可を得ていますか?
もし、これらの質問の答えが、次のどれかなら、かなり危険です。
- 意味がわからん
- 宿直・日直があるけど、何も出してないよ
- 提出しないといけないのは、わかっているんだけどね・・・
これらに該当しちゃうと、労働基準監督署の立入検査が入ったら、完全にやられます!!
ですので、すぐに「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」の提出をしましょう。
そんなことで、この記事では、全国のほとんどの病院が苦しんでいると思われる「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」についてまとめておきます。
ちなみに、うちの病院・施設は、届出済みです。(もちろん、許可書もいただきました!)
断続的な宿直又は日直勤務許可申請書の様式
まず、申請書の様式です。
一応、「こんな様式です」ってことで、画像を張っておきますが、ワードとエクセルデータをダウンロードできるようにしていますので、そちらで確認いただいほうがわかりやすいと思います。
断続的な宿直又は日直勤務許可申請書
【ワードデータ】
断続的宿日直勤務許可申請添付書面
【エクセルデータ】
エクセルデータは、僕が作成したものなので、利用する際は、確認を徹底してください。
入力ミスなどがあって、ご迷惑をおかけしたら申し訳ないので。
断続的な宿直又は日直勤務許可申請って、そもそも何?
次に、この申請をする目的についてです。
この申請は、労働基準法における「労働時間」「休憩および休日」に関する諸規定の適用を除外するための申請です。
つまり、どういうことかって言うと、
宿直・日直の勤務時間について、
「労働時間にカウントしないでくださいよーーー」
って労働基準監督署へお願いをして、
「条件を満たしてるから、いいよーーーー」
という許可をもらうってことです。
具体的には、
「夕方17時00分~翌日9時00分まで」の宿直勤務の場合、この17時から翌9時までの16時間については、労働基準法でいう労働時間に含めないってことです。
この許可をもらうことで、初めて「宿直・日直勤務」が可能となります。
逆に言えば、許可を得ていない「宿直・日直」の勤務時間は、すべて労働時間ということになり、残業手当の支給が必要となります。
かつ、労働時間でのカウントなので、当然、労働基準法違反にもなります。
超長時間労働になっちゃいますので。
労働基準監督署の立入検査
現在、全国の病院に対し、労働基準監督署の立入検査が行われており、残業代の支給など、指導(是正勧告など)を受けた病院がニュースになっています。
そんなことになれば、未払い残業代1億円じゃ効かないです!!(病院の規模にもよりますが・・)
いつ労働基準監督署が、立入検査に来るか分かりませんから、立入検査に来る前に、きっちりと許可をもらっておきましょう。
ただ、注意していただきたいのは、
「許可があるからといって、宿直・日直の勤務がすべて労働時間から除外できるわけではない」
というところです。
宿日直業務に「該当する業務・該当しない業務」
じゃあ、どんな業務が、宿日直に該当し、どんな業務が労働時間になるのかを説明します。
宿日直に該当する業務
これが、労働基準法における「宿日直業務の定義」です。
一般の宿日直業務
(1)勤務の態様
常態として、ほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。
医師及び看護師の宿直勤務に係る許可基準に定められた事項の概要
(2)夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告あるいは少数の要注意患者の定時検脈、検温等特殊の措置を要しない軽度の、又は短時間の業務に限ること。
出典:医療機関における休日及び夜間勤務適正化(厚生労働省労働基準局)
簡単にまとめてみると、この5つです。
- 院内の見回り(巡視)
- 電話対応と緊急時の文書の受け渡し
- 非常事態に備えての待機
- 異常患者の報告
- 少数の患者の定期検脈・検温等(短時間の業務に限る)
これ以外は、原則、ダメ!ってことです。
なお、詳しくは、この通知を読んでください。
⇒ 医療機関における休日及び夜間勤務適正化(厚生労働省労働基準局)
どんな業務が、労働時間になるの?
次に、宿直・日直勤務中にさせてはいけない業務についてです。
医師の宿直・日直の場合は、少しアバウトですが、この5つです。
- 救急患者の診察
- 救急患者の入院手続き
- 急患の死亡対応
- 出産
- その他(宿日直に該当する業務以外の業務)
このような通常勤務と変わらない業務をさせていれば「断続的な宿直又は日直勤務許可書」があったとしても、労働時間に該当し、残業代の支給義務が発生します。
なぜ、この申請に、全国の病院が苦しんでいるのか?
それは、この医療法の規定によるものです。
【医療法における宿直の考え方(法的根拠)】
医療法 第16条
医業を行う病院管理者は病院に医師を宿直させなければならない。
この法令によって、すべての病院は、医師を宿直させなければならないわけです。
そして、宿直させるには、労働基準監督署へ「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」の提出をし、許可を得なければなりません。
実際のところ、「宿日直に該当する業務」だけで、宿直勤務をさせている病院は少ないと思いますので、許可をいただくのが大変になっています。
結果、この許可を受けるのに病院は苦しんでいるのです。
まとめ
「大変」とか、「大変じゃない」とか関係なく、宿直・日直勤務があるなら「断続的な宿直又は日直勤務許可申請手続き」を行わないという選択肢はありません。
労働基準監督署へ相談に行って、さっさと手続きしちゃいましょう。
なお、
「今まで、宿日直の許可申請書を出さずにやってきちゃったのに、どうやって相談したらいいの?」
とお悩みの方は、こう言ってみてください。
「宿日直の許可申請書を提出してあるとは思うんですど、控えを紛失しちゃったみたいで・・・」
そうすると、労働基準監督署の担当者が、優しく調べてくれますし、提出書類についても色々教えてくれますよ。(これは僕の体験談です)
ちなみに、医療法と労働基準法のバランスの悪さについて、文句言ってもしょうがないので、「いいかげん(良い加減)」で申請しちゃうことが大切だと思いますよ~!!(笑)
なお、詳細な「宿日直勤務に係る許可基準」と、申請書作成のポイントについては、こちらの2つの記事をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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