組織やチームで仕事をするとき、一緒に働く仲間からの信頼はとても大切です。
それこそ、マネジメントの仕事をしている人(部下が1人でもいる人)にとっては、さらにです。
というのも、
- 仕事を円滑に進める
- 仕事で成果(結果)を出す
には、部下に動いていただき、活躍してもらわなければならないからです。
そのとき、信頼している人からの言葉と、信頼してない人からの言葉では、届き方がぜんぜん違います。
信頼している人からの言葉は、しっかり心に届き、納得度も高いです。
結果、部下の向きが揃い、仕事のパフォーマンスが変わってきますので、部下からの信頼は、マネージャーにとって必要不可欠です。
ただ、やっかいなことに、信頼って、手に入れるのには、コツコツと積み上げていかないといけないのに対し、失うのは、一瞬なんですよね。
そういう意味では、意識しないといけないのは、信頼の積み上げ方よりも、信頼を失わないことだと思います。
そこで、この記事では、
「どういう行動に気をつけて、信頼を失わないようにすればいいか?また、その対策はどうすればいいか?」
について、色々なマネージャーを見てきて感じたことと、また、僕自身が徹底していることをまとめておきます。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- チーム(部下)のマネジメントに悩んでいる
- マネージャー(上司)に悩んでいる
- マネージャーになったら(部下を持ったら)、何を意識したらいいの?
「忘れちゃう」が、部下の信頼を失う大きな要因!?
部下からの信頼を失わせる要因というと、
- 怒鳴る
- 人によって態度が変わる
- 責任を押しつける
など、特に考える必要もなく、思い浮かぶものってありますよね。
こういった「明らかにダメでしょ!?」みたいなのは論外として、まじめに一生懸命、頑張っているのに、部下から信頼されてない人っていますよね。
なかには、「仕事の能力が・・・」みたいに考える人もいるんですけど、はっきり言って、ぜんぜん違うと思っています。
「じゃあ、その原因って何なの?」ってことになるんですけど、僕としては、ほぼ、「忘れちゃう」だと思っています。
なぜ、「忘れちゃう」が部下からの信頼を失わせるのか?
僕らって、お願いしたことや話したことなど、忘れられちゃうと「ぜんぜん大切にされてない」って思いませんか?
たとえば、わかりやすいところだと、
- 結婚記念日
- デートした場所やそのとき話したこと
- 約束をすっぽかされる
などなど。
これって、仕事においても同じですよね。
また、「なぜ、仕事の能力よりも、忘れちゃうが部下からの信頼を失わせるのか?」ですが、そもそも、僕らって、上司(マネージャー)に対して何を求めてます?
高い能力って期待してますか?
もちろん、ないよりはあったほうがいいと思いますが、それって、結構、どうでも良くないですか?
それより、
- 働きやすい環境づくり
- 判断、承認、アドバイス
- 何かあったときに責任を取ってくれるか
の方が重要じゃないですか?
つまり、ちょっと嫌な言い方をすると「自分の仕事を進めるための邪魔をしないでほしい」ってことです。
これって、部下(どんな人)からしても同じですよね。
「忘れちゃう」って、大切にされてないと感じさせてしまうことは、もちろん、部下の仕事を邪魔している行為なんです。
「忘れちゃう」って、具体的にどういうこと?
一応、いくつか具体例をあげておきます。
僕が意識して、忘れないようにしていることです。
- 依頼されたこと(どんなに些細なことでも)
- 相談してくれたこと
- 報告してくれたこと
- 依頼、指示したこと(締め切りも含め)
- 教えてもらったこと
- 判断したこと
- 1on1で話した内容
- 打ち合わせの内容
- 部下が仕事で頑張ったこと(プロセス、成果)
まぁ、仕事に関係するコミュニケーション全般ですね。
これらは、忘れちゃうことで「大切にされてない」とか「部下の仕事の邪魔」になっちゃう行為です。
依頼されたことを、忘れちゃえば、部下の仕事は滞るし、同じことを何度も聞くっていうのは、部下の時間を奪っちゃいます。
また、以前に、判断、指示したことを忘れちゃえば、全く違う判断、指示をしちゃうかもしれません。
わかっていて判断を変えたんなら部下も納得できますが、「そんなこと言ってない」みたいなことを言っちゃうと、部下の時間を奪うだけじゃなく、あなたの発言は全く信用されなくなります。
だから、忘れちゃダメなんです。
「忘れない」と「能力の高さ」は関係ない
「忘れないってことは、能力が高いってことじゃないの?」って思う人がいるかもしれません。
でも、それは勘違いです。
もちろん、試験やテストなどの記憶力勝負の世界なら能力が高いと言えるかもしれませんが、仕事に関していえば、「忘れないように記録すればいい」だけなので能力の有無は関係ないです。
カンニングも自由ですし。
さらに言うなら、「忘れないような仕組みをつくる、そして習慣化する」だけなんです。
つまり、「やるか・やらないか」ってことです。
「忘れちゃう」をなくすためには、メモ書きを徹底するしかない
僕は、忘れちゃうをなくすために、徹底的にメモをしています。
そうです、超メモ魔です。
僕は、そもそも書いておかないと、すぐ忘れちゃう人で、結構、それで失敗しました。
そこで、
- 打合せ内容
- 教えてもらったこと
- 依頼したこと
- テレビや本から得た言葉や考え方
- 仕事関係で、日々あった出来事
- 頭の中に浮かんだこと
- 思いついたこと(アイデアとか)
などなど、メモを残すようにしました。
すると、メモを書くことが習慣化されて忘れちゃうこともなくなり、何より仕事のスピードと精度が格段に上がりました。
また、メモをすることは、情報を頭の中からアウトプットするってことなので、頭の中がすっきりし、忘れちゃう不安もなくなりました。
まぁ、「書くのが、めんどくさい」っていうのはありますが、メモすることを習慣化すると、メモしないことが不安になるので「書くのが、めんどくさい」という感覚はなくなります。
「メモを書く」の定義と手順・活用方法
僕がやっている、メモのしかたと活用方法を紹介します。
参考になれば、嬉しく思います。
「メモを書く」の定義
まずは、「メモを書く」について、定義しておきます。
【メモを書くの定義】
- すべての情報を書き出すこと
- 書き出した情報を整理し、まとめておくこと。
「え!?メモに定義が必要なの?」って思いますよね?
でも、結構、仕事の仲間(部下など)から聞かれるんです。
「メモって、何を書けばいいんですか?」って・・・
つまりこれって、何が重要なのかがわかっていないから「何を書いていいのか・・・」って、悩んじゃうんだと思うんですよね。
なので、この質問に対する、僕の答えは、「すべて書く」としています。
意味を理解することは、後回しにして、まず、すべて書いてから、そのメモを見ながら何が重要かを考えればいいのです。
そして、わからない言葉は、グーグル先生で調べます。
で、その調べた言葉と内容もメモしておきます。
「メモ作成」の手順・やり方
僕が、15年以上続けている「メモ作成」という習慣です。
- 手書きで、メモ帳やコピー用紙に、すべての情報を書き出します
打合せ(会議含む)の内容、仕事の引継ぎ、相談されたこと、指示したこと、資料を読んだ自分の考察などすべてです - 書き出したメモを見ながら、「エクセル」へ、情報を整理して入力します
※この作業が、とても重要です!!
2.の「なぜ、エクセルに入力するか?」ですが、手書きで書き出したメモは、ぜんぜん整理されてない情報です。
エクセルにまとめる作業は、頭の中からアプトプットした情報を、構造化(論理的に整理)することであり、言い換えれば「自分の頭で考える」ということです。
この作業を行うことで、頭の中に情報が定着します。
また、エクセルデータにしておくことは、忘れても、すぐに検索できるというメリットもあります。
ちなみに、僕は、メモ帳の代わりに、「コクヨ セクションパッド 薄口タイプA4」を使用しています。
薄い方眼紙で、図も描きやすく、情報の繋がりを書き込みやすいです。
また、1枚1枚切り取れるので、便利だと思います。
もしよければ、使ってみてください。
スケジュール管理表の作成で、仕事の漏れをなくす
仕事を漏れをなくすため、作成したメモ(エクセル)を見ながら、
- やらないといけないこと
- やったほうがいいこと
- やりたいこと
みたいのを抜き出し、スケジュール表に落とし込みます。
スケジュール表は、手帳でもなんでもOKで、現在使用しているものでいいと思います。
これをしておくことで、「やること」が明確になるので、仕事の漏れがなくなります。
また、自分の中で期限を設定することになるので、後回しにしてしまうことを防ぐという効果もあります。
つまり、仕事に対して、先回りできるようになるってことです。
なので、必ず、メモを作成したら、スケジュール表に落とし込みましょう。
色々な書籍で推奨されている「メモを書くこと」の効果
メモを書くことって、ほんといいことばかりで、色々な効果が期待できます。
ここでは、以前、読んだ書籍から、メモを書くことの効果について紹介します。
速さは全てを解決する「ゼロ秒思考」の仕事術(著者:赤羽雄二)
- メモ書きは、頭が良くなる世界一シンプルなトレーニングである
- コミュニケーション力が上がる
- 不安と、もやもやが無くなる
- 悩んでいる時間が無駄なので、頭の中の情報を書き出すことで、情報が整理され、何からやったらよいか判断ができるようになる
あの人はなぜ、東大卒にかてるのかー論理思考のシンプルな本質ー(著者:津田久資)
- 論理的に考えることができるようになる
- 人は、書いているときだけ、考えている
- 優れた思考力がある人ほど、膨大に書いている
- 一流のビジネスパーソンは、ことごとくメモ魔である
- 天才ですら書かないと考えられない
- 「発明王エジソン」も、書くことにより考える人だった
- 書かずに考えるのは、一握りの天才だけである
メモの魔力 The Magic of Memos(著者:前田裕二)
【メモによって、鍛えられる5つのスキル】
- アイデアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)
- 情報を素通りしなくなる(アンテナを張る)
- 相手のより深い話を聞き出せる
- 構造化能力の向上
- 言語化能力の向上
「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術(著者:齋藤 孝)
- 「書く力」とは、つまり「考える力」である
- 日頃から自分の言葉で、考え、書くようにすることが大事である
ムダにならない勉強法(著者:樺沢紫苑)
- 書くことで、圧倒的に自己成長する
- 毎日、文章を書いていると、「書く力」が向上する
- 「書く力」とは、イコール「考える力」であるため、思考力、洞察力が向上する
ハーバードの人生を変える授業(著者:タル・ベン・シャハー)
- 感謝できることを、毎日、書き出すことで、人生を肯定的に評価できるようになり、幸福感が上昇し、人に対してもっと優しくなれるようになる
- そして最終的に、よく眠れるようになり、より多く運動するようになり、身体的な不調も減る
- 人は、怒りやトラウマなど(傷ついたこと)を完全に表現して、はじめて癒される
- 心に感じたことを、すべて書き出すことは、心の最も深いところにある感情や思いと向き合うことである
一瞬でYESを引き出す心理戦略(著者:DaiGo)
- 書き出すことは、怒りを消す技術である
- ムカついたことを、紙にすべて書き出すことで、怒りは消える
- 感情と客観的な事実、論理的に間違ってないことを視覚化していくことで、冷静さを取り戻ことができる
まとめ
ここで、「メモを書くことの効果」をまとめておきます。
- 「忘れちゃう」をなくすことができる
- 信頼されるようになる
- 思考力、洞察力の向上(考える力が上がる)
- 論理的思考ができるようになり、仕事の速度や精度が上がる
- コミュニケーション力が上がる
- 人生を肯定的に評価できるようになる
- 怒りを消すことができる(冷静さを取り戻す)
すべてをメモするようにすると、部下の話を聞くときにも、しっかりメモを取ることになります。
部下からすると、
- 自分の話をしっかり聞いてくれる
- メモまでしてくれている
- 自分の話を大切だと思ってくれている
と思ってもらえて、重要感を持ってもらえます。
メモを書くというのは、「忘れちゃう」をなくすためのものですが、一生懸命聞くという行為が、部下からの信頼を高めてくれます。
ぜひ、「メモ書き」をお試しください。
効果は絶大だと思います。
ちなみに、徹底的に「メモを書く」ことで、その整理された情報は、あなただけのマニュアルになりますので、マニュアル作成も楽々になりますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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