精神科作業療法は、社会生活機能の回復を目的として、作業療法士1名が患者多数(集団)に対して行うものです。
1対1(個別)で行われるリハビリと違い、「大勢の人の前で話す」という、また違った緊張感があり、得意・不得意がかなり出ます。
また、精神科作業療法は、レクリエーション的な要素が強いため、毎回同じ内容というわけにもいきません。(患者さんが、飽きてしまって参加してくれなくなるからです)
そのため、リハビリの内容(何を実施するか?)は、バリエーションや工夫が必要となり、企画・立案が大変です。
なので、作業療法士さんによっては、「精神科作業療法がすごく負担!」という人も多いと思います。
そこで、この記事では、精神科作業療法の基準を整理しつつ、
「作業療法士の負担を軽減するツール(サービス)」
を紹介します。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 精神科病院で作業療法士として働いている
- 病院の管理者や事務責任者など
精神科作業療法の基準
まずは、精神科作業療法の算定基準と施設基準について整理しておきます。
診療報酬と算定基準
I007 精神科作業療法(1日につき) 220点
(1) 精神科作業療法は、精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日につき 2時間を標準とする。
なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能である。
(2) 1人の作業療法士が、当該療法を実施した場合に算定する。
この場合の1日当たりの取扱い患者数は、概ね25人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日2単位50人以内を標準とする。
(3) 精神科作業療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載する。
(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該保険医療機関の負担とする。
算定について、ポイントは次の3つです。
- 25人(患者):1(作業療法士)が基本
- 実施時間は、患者1人当たり、1日2時間
- 作業療法士は、1日2単位(患者50人以内)まで実施可能
精神科作業療法に関する施設基準
(1) 作業療法士は、専従者として最低1人が必要であること。
ただし、精神科作業療法を実施しない時間帯において、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケア及び重度認知症患者デイ・ケア(以下この項において「精神科ショート・ケア等」という。)に従事することは差し支えない。
また、精神科作業療法と精神科ショート・ケア等の実施日・時間が異なる場合にあっては、精神科ショート・ケア等の専従者として届け出ることは可能である。
(2) 患者数は、作業療法士1人に対しては、1日50人を標準とする。
(3) 作業療法を行うためにふさわしい専用の施設を有しており、当該専用の施設の広さは、作業療法士1人に対して50平方メートル(内法による測定による。)を基準とすること。
なお、当該専用の施設は、精神科作業療法を実施している時間帯において「専用」ということであり、当該療法を実施する時間帯以外の時間帯において、他の用途に使用することは差し支えない。
(4) 平成26年3月31日において、現に精神科作業療法の届出を行っている保険医療機関については、当該専用の施設の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、(3)の内法の規定を満たしているものとする。
(5) 当該療法を行うために必要な専用の器械・器具を対象患者の状態と当該療法の目的に応じて具備する。
代表的な諸活動:創作活動(手工芸、絵画、音楽等)、日常生活活動(調理等)、通信・コミュニケーション・表現活動(パーソナルコンピュータ等によるものなど)、各種余暇・身体活動(ゲーム、スポーツ、園芸、小児を対象とする場合は各種玩具等)、職業関連活動等
(6) 精神科病院又は精神病棟を有する一般病院にあって、入院基本料(特別入院基本料を除く。)、精神科急性期治療病棟入院料、精神療養病棟入院料又は精神科地域包括ケア病棟入院料を算定する入院医療を行っていること。
ただし、当分の間、精神病棟入院基本料の特別入院基本料を算定している場合も算定できることとする。
精神科作業療法の具体的な実施内容については、「(5)の代表的な諸活動」に示されています。
【代表的な諸活動】
- 創作活動(手工芸、絵画、音楽等)
- 日常生活活動(調理等)
- 通信・コミュニケーション・表現活動(パーソナルコンピュータ等によるものなど)
- 各種余暇・身体活動(ゲーム、スポーツ、園芸、小児を対象とする場合は各種玩具等)
- 職業関連活動等
かなり、レクリエーション的な要素が強いですよね。
ちなみに、当院の場合は、
- 体操
- 歌、カラオケ
- 書道
- 創作
- 卓球
- 風船バレー
- 映画鑑賞
- クイズ、脳トレ
- ゲーム
- 茶話会
- 園芸
- 傾聴(会話)
- 身体機能訓練など
を精神科作業療法として行っています。
作業療法士の負担軽減ツール「オンラインレクちゃんねる」
当院は、作業療法士の負担軽減のため、「オンラインレクちゃんねる」を導入しました。
うちの場合は、精神科作業療法の補助ツールとして、かなり好評です。
特に、新卒者や経験年数が少ない職員さんに喜ばれています。
サービス概要「オンラインレクちゃんねる」
「オンラインレクちゃんねる」は、いつでも好きなときに、介護施設向けのレクリエーション動画が見放題のサービスです。
Zoomやユーチューブによる生配信のイベントに参加することもできます。(有料会員の場合)
動画数は、50以上あり、種類も割と豊富です。(どんどん増えています)
具体的には、
- 映画
- 体操(介護予防、ヨガ、ダンス、口腔体操)
- 音楽・歌(昭和ヒットパレード、バイオリン演奏)
- 観光スポット散策
- 漫談・ものまね
- リトミック
- 脳トレクイズ
などです。
介護施設などでの利用が多いと思いますが、精神科作業療法の補助ツールとしても充分に活用できる内容です。
費用等「オンラインレクちゃんねる」
オンラインレクちゃんねるは、次の2つのプランがあります。
- 無料会員
- 有料会員「月額3,500円(税別)」
無料会員と有料会員の違いは、毎日「14:00」から行われる生配信のイベント(レクリエーション)に参加できるかどうかです。
【無料・有料会員一覧表】
プラン | 無料会員 | 有料会員 |
料金 | 無料 | 3,500円(税別)/月 |
いつでも見れるレク動画 | ○ | ○ |
毎日生配信レクへの参加 | × | ○ |
無料でレク動画が見放題というのもすごいですが、有料会員でも「月額3,500円」なので、かなりお得ですよね。
毎日、生配信のイベント(レクリエーション)に参加できるので。
ちなみに、生配信のイベント(レクリエーション)の内容は、こんな感じです。
出典:エブリ・プラス「オンラインレクちゃんねる」
【公式サイト】
プラン変更と解約手続き
「オンラインレクちゃんねる」は、1ヶ月単位で契約の変更が可能です。
なので、
- とりあえず、有料会員になって、サービスを試す(使い倒す)
- 次月から無料会員に変更する
ってことができちゃいます。(解約も自由です)
プラン変更や解約手続きも、すっごく簡単です。
【解約の手順】
- 「マイアカウント」の画面から、「アカウント削除」ボタンを押す
- 登録してある「メールアドレス」を入力する
- 「削除」ボタンを押す
【プラン変更の手順】
- 解約手続きをする
- 加入したい会員登録を新規で行う
サービス開始までの流れ「オンラインレクちゃんねる」
サービスの申込みから使用開始までの流れは、こんな感じでした。
当院の場合は、申込みから2日で使用開始となりました。
「オンラインレクちゃんねる」の運営会社
サービスを利用するにあたり、「オンラインレクちゃんねるの運営会社って、どんな会社なの?」が気になると思いますので、まとめておきます。
会社名 | 株式会社 エブリ・プラス |
所在地 | 〒453-0012 愛知県名古屋市中村区井深町1番地1号新名古屋センタービル・本陣街2階241-1号室 |
電話番号 | 050-5306-7767 |
法人番号 | 7180001128618 |
インボイス登録番号 | T7180001128618 (2023年10月01日に適格請求書発行事業者として登録) |
設立 | 2017年7月6日 |
厚生年金保険・健康保険適用 | 有 |
事業内容 | 介護施設向けレクリエーション・イベントプラットフォームの運営 介護施設向けレクリエーション配信チャンネルの運営 |
まとめ
「スマート介護」のサービスを展開している「プラス株式会社」が行った「デイサービスでのレクリエーションに関する実態調査」によると、
- 約9割の人が、レクリエーションの企画・実施に苦労している
- 苦労した内容は、「毎回異なった企画を考える必要がある」が約7割
- レク業務が原因での退職検討者は44%
となっており、かなりの人が、レクリエーション業務を負担に感じています。
病院は、採用困難職種の集まりです。
どの職種もギリギリの人員の中で、がんばってくれています。
「オンラインレク」は、職員さんの負担軽減に効果的です。
ぜひ、試してみてください。
患者さんも喜びますし。
【公式サイト】
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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