僕は、医療・介護業界で働いている「普通の会社員」です。
なので、人事異動を多かれ少なかれ、経験しています。
もちろん、納得感の高い前向きな異動だけじゃなく、ぜんぜん喜ばしくない不本意な異動もあります。
それは、僕だけではなく、一緒に働いてきた友人達もです。
そのたびに、僕が感じていたのは、
「なんで、職員一人ひとりのことを、もっと考えてあげないんだろう?」
でした。
そこで、この記事では、「異動人事を考えるときに大切な3つの視点」
- 会社の役割(本来の目的)
- 時間の大切さ(通勤時間の考え方)
- 職員一人ひとりの価値観
について僕の考えをまとめておきます。
こんな人の読んでいただけると嬉しいです。
- 会社(組織)の人事異動制度に疑問を感じる
- 人事異動の内容が納得できない
- 会社(組織)で人事を担当している
異動人事を考えるときに大切にしてほしい「3つの視点」
会社(組織)とは、「人(ヒト)」の集合体です。
そして、その一人ひとりの力の掛けあわせが「組織の力」になります。
会社(組織)として活動するメリットは、「ヒト」が集まった組織の力で、1人では難しい大きな目標を達成できることです。
そういう意味では、職員一人ひとりの力(パフォーマンス)を最大化することは、会社にとって、最も重要な使命となります。
だとすると、
「人事異動とは、職員の力(パフォーマンス)を最大化する手段として機能しなければならないもの」
ということになります。
逆に言えば、
「人事異動により、職員が力を発揮できなくなるなら、行う意味がない」
ってことです。
以上のことから、人事異動の際に、会社(組織)が考えなければならないのは、
- 会社の役割(本来の目的)
- 時間の大切さ(通勤時間の考え方)
- 職員一人ひとりの価値観
の3つだと僕は考えています。
それでは、1つずつ説明していきます。
会社の役割(本来の目的)
繰り返しにはなりますが、会社(組織)には、
「職員一人ひとりのパフォーマンスを最大化する」
という重要な役割があります。
なので、まず考えなければならないのは、
「その職員さんにとって、一番働きやすい環境とは、どういうものか?」
です。
「じゃあ、働きやすさって具体的になんなの?」ってことになりますが、
それは、
- 休みやすさ
- 人間関係
- 能力が一番発揮できること
などなど、職員ごとに変わってきます。
ただ、組織内の人事異動という意味では、
「その職員の能力(得意・好き)が一番発揮できること」
を重視するべきだと僕は思います。
要するに、「適材適所」を徹底するってことです。
全く違う環境で、全く違う内容の仕事をして、その職員の能力が最大化することはありません。
モチベーションだって、下がってしまうでしょうし。(本人がそれを望むなら別だと思いますが)
時間の大切さ(通勤時間の考え方)
人事異動により職場が変わると、通勤時間って、ぜんぜん変わっちゃいます。
通勤時間が短くなるなら、嬉しい限りですが、長くなることの方が多い印象です。(僕の場合です)
「通勤時間」って、労働基準法上、「労働時間」にカウントされませんので、会社側はぜんぜん考慮してくれませんが、職員側からすれば、働き続けるうえで、すっごく大きな要素です。
というのも、1日は「24時間」しかありませんので、「会社に通うという目的の時間」が長くなってしまうということは、実質、会社に1日の時間を奪われていることになるからです。
また、通勤時間が長くなるっていうのは、実質、給与が減っているのと同じです。
たとえば、通勤時間が1日(往復)2時間増えた場合、
「1ヵ月で40時間、1年で480時間(20日間)以上を、会社のために多く使っている」
ってことになります。
もし、その時間で副業(バイトなど)したなら、時給900円だとしても、月36,000円になります。
つまり、通勤時間の増加により、月間36,000円分の時間を、会社に奪われたということです。
ちなみに、1日2時間あれば
- 家族と過ごす
- 子育てを楽しむ(妻の負担軽減を含め)
- 本を読んだり、勉強したりする(自己研鑽)
- 趣味を楽しむ
- 副業を頑張る
など、色々することができます。
こういうプライベートな時間って、職員さんのパフォーマンスを上げるためにはなくてはならないものです。
色々な調査結果を見ても、
「充実したプライベートは、仕事のパフォーマンスに影響を与える」
とされていますし。
結果、
「職員の通勤時間を長くするってことは、その職員の人生における大切な時間を奪っている行為なんだ」
「そして、職員のパフォーマンスを下げることに繋がるんだ」
ということを意識することが必要なんです。
そういう意味では、単身赴任なんて、全くもって考えられません・・・
家族と離れ離れで暮らすことで、パフォーマンスって上がりますかね?
僕は、ぜんぜん逆効果だと思います。
まぁ、本人がそれを希望しているなら、いいんでしょうけど・・・(笑)
職員一人ひとりの価値観
人事異動の辞令(内示)を告げる「人事担当者」は、必ずと言っていいほど、
- 君のキャリアアップのため
- 頑張れば給与アップにつながる
- 昇格(昇進)のチャンス
みたいな綺麗ごとを並べます。
僕は、これについても、「すっごく間違っているな・・・」って思っています。
というのも、これって、その人事担当者の価値観を押し付けているだけですよね?
言い換えるなら、次の3つが「職員のインセンティブ」になると思い込んでいるってこと。
- 会社にとっての都合の良い「キャリアアップ」
- 社内でしか通用しない「役職」
- たかが知れている「給与アップ」
現在の若者の価値観は、多様化しています。
たとえば、
- 仕事より、家族との時間を大切にしたい
- 仕事はそこそこで、趣味を大切にしたい
- 役職(昇進)に興味はない
などなど。
要するに、「キャリア」「役職」「給与アップ」よりも、大切なものを持っている人が一定数いるってことです。
会社側は、本来、職員のパフォーマンスを最大化するために、一番大切にしないといけない
「職員一人ひとりの価値観」
を理解する努力を怠り、自分の時代の価値観(サラリーマンはこういうもの)を次の世代に押し付けているだけです。
これは、会社の役割(目的)から考えても、かなり逸脱した行為だと思います。
以上のことから、まずは、しっかりと職員と面談を重ね、
- 何を大切にしているのか?
- 何をやりたいのか?
- これから、どうなっていきたいのか?
をしっかり把握し、異動人事を考えるべきだと思います。
まとめ
人事異動って、職員およびその家族の人生を大きく変えてしまう影響力を持っています。
それは、単身赴任という最悪なパターンだけではありません。
事実、望まない人事異動で、次のようになった友人がいます。
- 独身だからという理由で、あちこちに異動になった
- 子どもが小さいのに(1~2歳)、単身赴任を命じられた
- 毎日5時間以上通勤(満員電車など)に費やすことになった
これって、本人の負担はもちろんですが、家族の負担もすごいですよね・・・
もし、「職員のパフォーマンスを最大化したい」「職員を大切にしよう」と思うなら、
- 会社の役割(本来の目的)
- 時間の大切さ(通勤時間の考え方)
- 職員一人ひとりの価値観
を意識し、考慮するべきです。
また、それが離職率の低下や会社の業績アップにも繋がると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
望まない人事異動が少しでも減ることを祈りつつ、この記事を終わりにします。
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