「臨機応変」というと、割と良いイメージを持つ人が多いと思いますが、僕は、すっごくズルい言葉だと思っています。
というのも、臨機応変って、そもそも正解が明確じゃないうえに、相手の判断(気分)で正解にも不正解にもなるからです。
なので、マネージャー(管理職)としては、極力、使わない方がいい言葉の1つだと思っています。
部下(職員さん)を苦しめますし。
そこで、この記事では、
- なぜ、臨機応変はズルいのか?
- 臨機応変による職場への影響(デメリット)
- 臨機応変を求めるときの注意点
について、まとめておきます。
理不尽な職場で悩んでいる人に読んでいただけると嬉しいです。
なぜ、臨機応変はズルいのか?
臨機応変を辞書で調べると、
「その場のなりゆきに応じて、適切な手段をとったり対応を変えたりすること」
となっています。
この「適切な手段」ってやつが、クセものなんです。
理由としては、
- 適切な手段って、なんですか?
- 誰が、適切さを判断するんですか?
の2つです。
仕事に関しては、この適切さの判断(判断者)は、マネージャーや上司、先輩になると思います。
つまり、判断基準は、人によってまちまちです。
また、「その時の状況に応じて」なので、前提条件が常に変わってきます。
となると、もはや、正解は判断者の気分次第ってことになります。
だとすると、臨機応変では、次のようなことが起こります。(可能になります)
- マニュアルどおりにやったのに、上司の都合で怒られる
- 上司の指示通りにやったのに、それがうまくいかなかったとき、自分のせいにされる
- 上司に指示されてないことに対しても怒られる
このときの上司からの言葉は、
「そんなの臨機応変でしょ!?」とか
「臨機応変にやれないの!?」
ってやつです。
そうなんです、「臨機応変」って、マネージャーや上司たちからすれば、魔法の言葉なんです。
だって、なんでも「部下の責任」にできますので。
ただ、部下の立場からすれば、どうしようもなく理不尽で難易度が高く、かつ、ズルい言葉なんです。
だからこそ、マネージャー(管理職など)は、極力、使わない方がいいと思うんです。
臨機応変による職場への影響(デメリット)
「臨機応変」を多用するマネージャーの職場では、次のようなデメリットがあります。
- 生産性が上がらない
- 納得感が失われ、不公平感が生まれる
- 人材が育たない
これだけだと、わかりづらいと思いますので、1つずつ詳しく説明していきます。
生産性が上がらない
臨機応変とは、マネージャーの気分次第で判断が変わってしまうということなので、一言でいえば、「判断基準が不透明」ということです。
判断基準が不透明ってことは、「前回は①が正解だったのに、今回は①では不正解」ってことが起こります。
そんなことが度々起こると、一緒に働くチームメンバーは、混乱しちゃいます。
また、いちいち上司に確認しないといけなくなるので、仕事の効率が悪いです。
ちなみに、臨機応変という文化ができちゃうと、マニュアルが整備されづらくなります。
臨機応変を多用するマネージャーからすれば、マニュアルなんか整備しないほうが都合がいいからです。
マニュアルが整備されないということは、属人化も起きやすくなります。
そうなると、組織にとってのマイナスが大きいです。
納得感が失われ、不公平感が生まれる
マネージャーの気分次第で判断が変わってしまうということは、人によって判断が変わってしまうってことなので、人の好き嫌いが判断に影響することを意味します。
たとえば、「Aさんの場合は、①で正解だったのに、Bさんの場合は、①では不正解」みたいなことです。
当然、そんな不公平な状況では、職員さんは不満を感じます。
また、ルール(判断基準)がコロコロ変わる状況だと、仕事をしていて
「今回は、これで正しいのか?」
と不安になるので、仕事からのストレスが増えます。
そんな職場で長く働きたいという人は少ないと思います。
最悪、職員さんは、辞めちゃいます。
人材が育たない
「いちいち上司に確認しないといけない」となると、次のようなことがおきます。
- 自分の頭で考えない
- 言われたことしかやらない
- 仕事が他人事
結果、ぜんぜん人材が育ちません。
臨機応変を求めるときの注意点
「臨機応変」を求めるなら、まずは、次のことを明確にすべきです。
- 仕事の目的(なぜ、この仕事をやるのか?)
- 優先順位(何を優先すべきか?)
- 判断基準(仕事のルール)
そして、極力、業務マニュアルを整備し、「業務の見える化」をすべきです。
臨機応変を求めるなら、上記のことを明確化してあげないと、「臨機応変に判断するための材料」が足りません。
判断材料がないのに、「適切さ」を求めるのは、ちょっと残酷すぎますよね。
そもそも、「自由」だって、「規律(ルール)」があってはじめて成り立つものだと思います。
規律のない自由って、残酷なので。
まとめ
ここで、「臨機応変のズルさと難しさ」について、まとめておきます。
- 臨機応変とは、マネージャーにとって都合の良い言葉
- 職員さん(部下)にとって残酷な「臨機応変という職場」
- 臨機応変は、判断材料(ルール)があって成り立つもの
マネージャーとしては、部下の期待値や経験値によって、仕事の自由度をコントロールすることは大切だと思いますが、「臨機応変」とは別物です。
もし、「あいつは、臨機応変ができないんだよな・・・」って感じたとしたら、マネージャーとしては、「判断材料が足りないのかも?」を考えるようにするといいかもしれません。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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