成長ややりがいを強要していませんか?【職員が定着しない理由と対策】

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成長、共用、成功

「成長できる労働環境 = 職員が望んでいる」

みたいな風潮ってありますよね。

 

その影響もあってか、職員のモチベーションアップや離職対策のために、

  • 職員一人ひとりの目標設定
  • 達成度の確認(定期的な)
  • 1on1(定期的な面談)
  • 人事考課

みたいなことをガチガチにやる組織(事業所)が増えているように思います。(実際に、僕のまわりでもあります)

 

たしかに、一部の成長欲求の高い人からすれば、モチベーションアップや離職防止(職員定着)につながるのかもしれませんが、僕としては、「成長は強要されるとストレスでしかない」と思っています。

つまり、逆効果ってことです。

 

そこで、この記事では、

「成長を強要する職場(組織)に、職員が定着しない理由と対策」

について、まとめておきます。

 

人材採用と離職対策に悩んでいる人に読んでいただけると嬉しいです。

成長は「強要」するものではなく、「支援」するもの

「成長」を、職員のモチベーションアップや離職対策に活用するには、次の4つ視点がすっごく重要になります。

理由としては、成長は「強要」するものではなく、「支援」するものだからです。

  1. 本当に成長したいと思っているか?
  2. 職員が希望する労働価値(成長)の提供が可能か?
  3. どんな働き方を望んでいるのか?(何を優先しているのか?)
  4. 職員が主体的に成長できる(学べる)環境になっているか?

 

これだけだと、わかりづらいと思いますので、1つずつ詳しく説明していきます。

本当に成長したいと思っているか?

「成長できる労働環境 = 職員が望んでいる」

って、「人は成長したいもの」というのが前提にありますよね。

 

でも、本当にそうでしょうか?

僕は、みんながみんな「成長」の優先度が高いとは思っていません。

 

もちろん、職員さんに聞けば、「成長したいです」みたいなことを言うかと思います。

でもそれは、仕事を続けていくうえで、「成長なんかしたいと思ってないんだよ」って言いづらい雰囲気があるからです。

 

また、質問のしかたにも問題があります。

一般的に、成長と負荷(ストレス)は、密接に関係していて、成長するためにはある程度の負荷(ストレス)を乗り越える必要があります。

新しいことを覚えたり、できなかったことをできるようにしたりするので、成長にはある程度の痛み(負荷)が伴います。

 

だとすれば、正しい質問のあり方は、

「成長したいですか?」

ではなく

「成長できるけど、ストレスや負荷が多いのと、ストレスや負荷は少ないけど、成長はできないでは、どっちがいいですか?」

だと思います。

 

この質問の場合、回答は、かなりバラけると思いませんか?

職員が希望する労働価値(成長)の提供が可能か?

事業所(職場)によっては、職員さんが望む成長に寄与できない場合があります。

たとえば、最先端の医療技術や看護技術を学びたくても、病院の種別によっては、学ぶことができません。

これは、配属先や担当業務によっても同様です。

 

なので、職員さんが希望する「成長」がどんなものなのか、しっかりと理解しておかないと、意味がないどころか、逆効果になってしまいます。

 

ちなみに、みんなの希望を確認し、うちの職場ではその労働価値を提供できないとなった場合は、「成長」を職員のモチベーションアップや離職対策に活用するのをあきらめて、他の方法を考えた方がいいです。

どんな働き方を望んでいるのか?(何を優先しているのか?)

僕たちは、人生のフェーズや価値観によって、働くということに対して優先するものが変わってきます。

たとえば、

  • 子育て中は、ライフワークバランスを重視
  • 成長なんかどうでもいいから、給料が多ければいい
  • ストレスがない環境で働きたい
  • 成長できる環境で、将来のために市場価値を上げたい

などです。

 

また、職種や業務内容によっても、優先するものが変わってきますので、そのあたりも考慮して、「成長」が職員のモチベーションアップや離職対策に効果的かどうかを検討する必要があります。

職員が主体的に成長できる(学べる)環境になっているか?

いくら成長欲求があったとしても、成長を強要され続けると嫌になっちゃいます。

学生時代、親から「勉強しろ!」って言われてやる気がなくなった経験は誰しもあると思います。

同じような原理ですよね。

 

なので、職員さんの「成長したい」をしっかりと支援できるように、組織としては、成長のため選択肢を用意し、職員さん自身が主体的に成長できるようにしたほうがいいです。

もちろん、マネージャーの関わり方も重要で、

  • 個々の職員が、その人のペースで成長できるように支援していく
  • 「成長したい」と思ってもらえるようなアプローチ

を心がけたほうがいいです。

 

具体的な「成長したい」と思ってもらえるようなアプローチとしては、

  • 「ありがとう」「助かります」をちゃんと伝える
  • 安心して働き続けられるという職場環境の整備(給料も大切な環境要因の1つ)
  • 信用、信頼を積み重ねる

が大切だと思います。

 

【関連記事】

マネージャーとして、信用、信頼を積み重ねる方法は、こちらの記事でまとめています。

マネージャーの教科書【はじめて部下を持ったときの行動指針】

 

ちなみに、劣悪な労働環境で、「成長したい」と思う人はいません。

なので、みんなに成長してほしいと思うなら、「ここで働き続けたい」と思ってもらえる労働環境を整えることが最優先です。

「ここで働き続けたい」という環境があって、はじめて、職員さんに主体性が生まれます。

Googleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」に聞いた「成長を強要する職場(組織)に職員が定着しない理由」

成長を強要する職場(組織)に職員が定着しない理由について、「Gemini(ジェミニ)」に聞いてみました。

すると、回答は、こんな感じでした。

1. 職員の心身の負担が大きい

  • 常に高い目標を達成することを求められ、精神的なプレッシャーが大きい
  • 長時間労働や休日出勤が多く、ワークライフバランスが崩れやすい
  • ミスに対する寛容度が低く、常に緊張感の中で仕事をする必要がある

2. 職員の成長意欲が低下する

  • 自分のペースで成長することができず、主体性を持てない
  • 上司からの評価ばかりを気にするようになり、本来の仕事への意欲が低下する
  • 失敗を恐れてチャレンジすることができず、成長の機会を逃してしまう

3. 組織への信頼感が失われる

  • 「成長」という名目で、無理なノルマや目標を押し付けられる
  • 職員の意見やアイデアを軽視する
  • 成果主義的な評価制度により、人間関係が悪化する

4. 優秀な人材が流出する

  • 常に高いプレッシャーの中で働くことに疲れ、転職を考える
  • ワークライフバランスが取れる職場を求めて、転職する
  • 自分の能力を十分に発揮できる職場を求めて、転職する

5. 組織全体の活力が低下する

  • 職員のモチベーションが低下し、生産性が落ちる
  • イノベーションを起こすような新しいアイデアが生まれにくくなる
  • 顧客満足度が低下し、業績が悪化する

成長と負荷(ストレス)の関係【どういう職場を目指すのか?】

「成長」と「負荷(ストレス)」で職場を分類すると、次の4つになります。

  1. 成長できるけど、ストレスが多い
  2. ストレスが少なく、成長できる
  3. ストレスが多いのに、成長もできない
  4. 成長はできないけど、ストレスが少ない

 

成長とストレスの関係(2×2マトリクス)

 

②が理想ですが、ハードルが高いです。

③は、論外ですね。

なので、①or④が現実的です。

 

あなたの事業所は、どっちに向いていて、どういう職場を目指すべきかを検討してみてください。

もちろん、部署や職種ごとに細分化してもOKだと思います。

 

ちなみに、うちは、完全に④の職場です。

なので、「成長」を売りにせず、「働きやすさ・休みやすさ」を前面に出しています。

「成長」は、完全に組織(事業所)側の都合

職員さんの「成長」って、そもそも、何のために促すかというと、

  • 売上を増やしたい
  • 生産性を上げて、人件費を抑えたい
  • 組織としての利益を増やしたい

などの組織(事業所)側の都合です。

 

なので、組織側が間違っちゃいけないのは、

「職員が成長したがっているから、成長させてやっている」

という立ち位置ではなく、

「成長してくれて、ありがとう」

という立ち位置だということです。

 

つまり、「成長する・成長しない」は、職員さんの自由であり、強要されるべきものではないってことです。

変化の激しい職場でなければ、「決められたことを、日々、きちんとやってくれる」という現状維持で、合格点なんです。

 

もちろん、組織に対し、貢献度が高い人が評価されるのは、公平な判断なので成長度(伸び率)が高い人は、しっかりとプラス評価するべきだと思います。

「成長搾取」になっていないか?

「やりがい搾取」なんて言葉がありますよね。

やりがい搾取とは、「やりがい」のみで仕事をさせ、労働者に長時間労働や低賃金を強いて、利益を搾取することです。

これって、「成長」にも、あてはまるかも?って思っています。

 

つまり、

「成長できるよ」

「いい経験になるから」

「勉強になるよ」

って言って、やりたくもない仕事をやらせるってことです。

 

結構、これらのフレーズって、労働市場に溢れてると思うんですけど、僕としては、「勉強になりました」「いい経験になりました」は、職員さん本人が自ら発する言葉であって、他人から強要されるものではないと思っています。

なので、仕事を依頼するときには、極力、使わないようにしています。

まとめ

成長は「強要」するものではなく、「支援」するものです。

成長を強要された側は、ほとんどの場合、ストレスでしかありません。

 

もし、成長してほしいと思うなら、「ここで働き続けたい」と思ってもらえる労働環境を整え、職員さんが、自ら「成長したい」と思ってもらるようにしましょう。

成長に対する「支援」は、そこからがスタートです。

 

ちなみに、医療・介護業界においては、比較的、「成長はできないけど、ストレス(負荷)はないという職場に、人が集まっている気がしています。

そして、やりがいや成長を強要する職場(組織)から人がいなくなってると感じています。

職員さんが、希望する働き方、また、何を優先するのか?の理解は大切ですね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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