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副業・兼業の禁止に法的効力(規制)ってないんだね!という話【モデル就業規則の改定】

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会社員、サラリーマン、嬉しい

厚生労働省では、「働き方改革」の1つとして、副業・兼業を推進しており、

  • 副業・兼業の促進に関するガイドライン
  • モデル就業規則

の作成および改定が、2018年1月に行われました。

 

そんな政府の方針もあって、

「うちの法人でも、副業・兼業の実施について、しっかり制度化していこう」

ということになり、就業規則を見直すことになりました。

うちの就業規則では、「モデル就業規則(旧)」のとおり、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と規定していました。

 

そこで、副業・兼業の実施を適正に制度化していくため、

  • 副業・兼業自体の法的な取扱い
  • 厚生労働省「モデル就業規則」の改定内容
  • 副業・兼業を禁止(制限)できる場合

について調べてみましたので、まとめておきます。

 

こんな人に読んでいただけると嬉しいです。

  • 社内で、副業・兼業の解禁を検討している
  • 副業・兼業をしたいと考えている
  • うちの会社にも、副業・兼業を認めてほしい

副業・兼業の許可や禁止について、法的根拠(規制)はない

まず、「副業・兼業自体の法的な取扱い」についてです。

 

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、

副業・兼業自体への法的な規制はないが、厚生労働省が平成29年12月時点で示しているモデル就業規則では、労働者の遵守事項に、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がある。

とされています。

 

つまり、法律的には、

「副業・兼業については、各企業にお任せで、許可しても、禁止しても、どっちでもいいよ~」

ってことです。

厚生労働省は、参考様式(モデル就業規則)として、「もし、他の会社などで働く時は、許可をもらってね~」としてましたが・・・

厚生労働省「モデル就業規則」の副業・兼業に関する規定については、2018年1月に改定になっています。(内容については、このあと説明しています)

 

ただ、「副業・兼業をめぐる過去の裁判例」では、次のようになっています。

裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩する場合、企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合と考えられる。

出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

 

要するに、副業・兼業を就業規則で禁止(制限)できるのは、

  • 労務提供上の支障となる場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により企業の利益を害する場合

だけだよってことです。

 

なので、この4つに該当しない場合においては、

「事業主は、副業・兼業の許可をしなければならない」

ってことになります。

 

ちなみに、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことで、有給休暇などを使った日(休暇日)は労働時間ではありません。

厚生労働省「モデル就業規則」では、副業・兼業は、原則可能と変更された

厚生労働省は、裁判例などを考慮してか、2018年1月に「モデル就業規則」を改定しています。

 

改定内容の一番のポイントは、

「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」

という言葉が、

「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」

に変わったところです。

 

こんな感じです。

変更前の「モデル就業規則」(2017年12月以前)

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

①許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。

②職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。

③勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。

④会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。

⑤在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。

⑥許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。

⑦酒気を帯びて就業しないこと。

⑧その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと

変更前の「モデル就業規則」(2018年1月以降)

(副業・兼業)

第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

①労務提供上の支障がある場合

②企業秘密が漏洩する場合

③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④競業により、企業の利益を害する場合

出典:厚生労働省「モデル就業規則(平成30年1月)」

「モデル就業規則」は、あくまでも副業・兼業に関する規定の一例であり、各企業において必ずこの規定例どおりの規定にしなければならないという性質のものではありません。

副業・兼業を禁止(制限)できる場合って、具体的にどんなとき?

かなり抽象的な表現で、わかりづらいので、

「副業・兼業を禁止していい場合って、具体的にどんなとき?」

を、僕なりに考えてみました。

労務提供上の支障がある場合

  • 疲労や睡眠不足により、業務に集中できない
  • 業務中の居眠りや遅刻が多い
  • 副業・兼業を始めてから、明らかにミス(失敗)が多くなった

とか、ですかね?

企業秘密が漏洩する場合

  • 公表されてない業務上の情報(プロジェクトとか?)の漏洩
  • 職員および顧客の個人情報の漏洩

って感じでしょうか。

うちの場合だと、患者さんの情報がメインになるのかもしれません。

会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

  • 犯罪などの違法行為や反道徳的なものでしょうか?
  • また、根拠なく、企業の悪いイメージを広めるとか・・・

競業により、企業の利益を害する場合

  • 顧客の誘導
  • 技術の流出

とかですか?

 

考えてはみたものの、判断が難しいですね・・・

 

できれば、企業ごとに明確な基準(範囲)を明示しておいたほうが、お互いに安心できそうです。

それこそ、「担当者によって、判断が変わっちゃう」なんてことがあっても困りますし。

まとめ

ここで、「副業・兼業の法的な取扱いについて」まとめておきます。

  • 副業・兼業自体に法的な規制はない(各企業の判断に委ねられている)
  • 裁判所の判断としては、「労働時間以外の時間をどのように利用するかは、原則、労働者の自由」とされている
  • 厚生労働省のモデル就業規則では、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」としている

 

「副業・兼業は、禁止なのがあたりまえ」だと思っていましたが、大きく解釈が変わってるんですよね。

 

企業としては、副業・兼業について、早めに制度化し、職員さんの希望にあわせた、多様な働き方に対応できるようにしていくことが大切かもしれません。

そうすることで、優秀な人材の流出を防ぐことにも繫がっていくでしょうし。

 

また、「副業をしたいんだけど、会社で禁止されてるんだよな~」って人は、会社に、副業・兼業の解釈(裁判例など)が大きく変わっていることを伝え、相談してみてはいかがでしょうか。

その行動が、あなたの会社の「就業規則見直し」のきっかけになるかもしれませんので。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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