地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)は、
「リハビリテーションを提供する患者については、1日平均2単位以上提供しなければならない」
という施設基準があります。
単純に読んじゃえば、
「入院患者1人当たり、毎日2単位以上のリハビリをすればいいんでしょ?」
となりますが、
地域包括ケア病棟の場合は、そもそも、リハビリを必要としない患者もいますし、病状などによっては、リハビリができない(不可能な)患者もいます。
そこで、この記事では、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)における、
- リハビリテーションを提供する患者の定義
- 1日平均2単位以上の計算方法
について、疑義解釈通知や厚生局に確認した内容をまとめておきます。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)の届出を考えている
- リハビリ部門の管理を行っている
- 病院で施設基準の管理を担当している
リハビリテーションを提供する患者の定義
結論から言っちゃうと、
「リハビリテーションを提供する患者 = 医師がリハビリが必要と診断した患者」
となります。
なので、次のような場合は、「1日当たりリハビリテーション提供単位数」の計算対象から除くことができます。
つまり、「様式50の3 地域包括ケア病棟入院料等のリハビリテーションの基準に係る届出添付書類」の「②直近3ヶ月間における上記患者における当該病室又は病棟の入院延べ日数」に含めないということです。
【入院延べ日数に含めない期間】
- そもそも、リハビリが必要じゃないと診断された人(期間)
- 病状が悪化し、リハビリができないと診断された人(期間)
- インフルエンザやノロウイルスに感染し、リハビリができないと診断された人(期間)
1日平均2単位以上の計算方法(地域包括ケア病棟に係る)
地域包括ケア病棟における「1日当たリハビリテーション提供単位数」の算出は次の式で行います。
「②/① = 1日当たりリハビリテーション提供単位数」
たとえば、
- 直近3ヶ月間でリハビリを提供した患者 10人
- この患者が、全員10日間入院
- 毎日、リハビリを3単位実施
の場合は、
「②300 ÷ ①100日 = 3単位(1日当たりリハビリテーション提供単位数)」
となります。
なお、表にするとこんな感じです。(届出書類の様式50の3です)
【関連記事】
地域包括ケア病棟入院料の「1日平均2単位以上のリハビリの提供」に含めるリハビリテーション料について、厚生局に確認した内容をまとめています。
地域包括ケア病棟の施設基準(リハビリ提供体制に係る)
一応、法的根拠として、施設基準について載せておきます。
基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305 第2号平成30年3月5日)
第12 地域包括ケア病棟入院料
1 地域包括ケア病棟入院料の施設基準
(6) 心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、(Ⅱ)若しくは(Ⅲ)、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)若しくは(Ⅱ)、呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)又はがん患者リハビリテーション料の届出を行っていること。
(7) (6)のリハビリテーションを提供する患者については、1日平均2単位以上提供していること。
ただし、1患者が1日に算入できる単位数は9単位までとする。なお、当該リハビリテーションは地域包括ケア病棟入院料に包括されており、費用を別に算定することはできないため、当該病棟又は病室を含む病棟に専従の理学療法士等が提供しても差し支えない。
また、当該入院料を算定する患者に提供したリハビリテーションは、疾患別リハビリテーションに規定する従事者1人あたりの実施単位数に含むものとする。
疑義解釈資料の送付について(その9)事務連絡 平成26年9月5日
(問3)
地域包括ケア病棟入院料等のリハビリテーションの基準に係る届出添付書類(様式50の3)の②「直近3ヶ月間における上記患者における当該病室又は病棟の入院延べ日数」の算出について、入院途中からリハビリテーションが必要になった場合、リハビリテーションが必要なかった日数も含めて計算するのか。
(答)
入院後、途中からリハビリテーションが必要になった場合には、リハビリテーションの提供を開始した日以降の日数を計算に用いることで差し支えない。
全国保険医団体連合会の資料(Q&A)
(問)
リハビリ提供体制として、平均2単位の実施が求められるが、全ての当該病棟入院患者が対象となるのか。
(答)
「リハビリテーションを提供する患者」が対象となるため、リハビリテーションを提供していない患者は平均2単位実施の計算対象にはならない。
なお、平均提供単位数は直近3ヶ月の実績から算出する。
厚生局に、直接確認した内容
僕は、心配性なので、厚生局にも確認しちゃいました。
(質問)
地域包括ケア病棟入院料に、リハビリ提供体制として、「リハビリテーションを提供する患者に対し、1日当たり2単位のリハビリを実施すること」とされているが、「リハビリテーションを提供する患者」とは、リハビリが必要と医師が診断した患者という理解でよろしいか?
また、リハビリを行っている患者がインフルエンザやノロウイルスに感染した場合などで、リハビリ実施が不可能と医師が判断したときは、入院延べ日数の計算から除外していいのか?
(厚生局の回答)
- 「リハビリテーションを提供する患者」とは、医師がリハビリが必要と判断した患者という理解でよい。
- インフルエンザやノロウイルスなどに感染した場合で、医師がリハビリは不可能と判断したときは、入院延べ日数の計算から除外してよい。
まとめ
ここで、域包括ケア病棟における「リハビリ2単位以上」を計算するときのポイントについてまとめておきます。
- 入院時に、既にリハビリ終了となっている患者は計算に含めない
- 入院後、リハビリ開始となった場合は、リハビリ開始日から入院延べ日数にカウントする
- 入院中に、リハビリが中止や終了となった場合、それ以降は入院延べ日数に含まなくて良い
- これらの判断は、すべて医師が行う
リハビリテーションの平均提供単位数(2単位以上)の基準は、施設基準通知の届出受理後の措置等における、「1割以内の一時的な変動の場合は届出を要しない」の規定は適用されません。
なので、平均提供単位数が2単位を、ほんのちょっとでも下回るとアウトです。
根拠は、このとおり。
全国保険医団体連合会の資料(Q&A)
(問)
リハビリテーションの直近3カ月間の平均提供単位数が2単位を割った場合、1割以内の変動なら問題はないか。(答)
リハビリテーションの平均提供単位数は当該患者割合の変動には該当しないため、少しでも下回ると届出し直すこととなるので留意されたい。
入院基本料の届出は、結構手間なので、極力基準を下回りたくないですよね。
ぜひ、適正な取り扱いの中で、基準を死守していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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