先日、職員さんから、こんな相談を受けたんです。
「育児休業中って、働いてもいいのかな?」
というのも、その職員さんは、職員数の少ない部署に所属しているため、
「どうしても人が足りない時は、働けますよ。」
という有難い申出だったんです。(もちろん、所属長と相談のうえです)
ただ、育児休業中に働くというイメージが僕には全くなかったので、即答できませんでした・・・
そこで、職員さんへの案内(回答)を含め、育児休業中に働いた場合の
- 育児休業給付金の支給要件
- 育児休業給付金の支給額
- 育児休業給付金が減額されない限度額(月額収入)
- 社会保険と税金(所得税、住民税)の取扱い
について調べてみましたので、まとめておきます。
月80時間までの勤務なら「育児休業給付金」は支給される
育児休業給付金の支給を受けるには、
支給単位期間において、就業していると認められる日が、10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であることが必要です。
出典:厚生労働省「育児休業給付金の案内及び支給申請手続きについて」
とされています。
つまり、
- 月10日以下の勤務
- 月80時間以下の勤務
のいずれかを満たせば、育児休業給付金は支給されるってことです。
ちなみに「支給単位期間」とは、育児休業開始日から1ヶ月ごとに区切った期間のことで、次のようになります。
【育児休業開始日が「11月15日」の場合】
- 11/15~12/14
- 12/15~1/14
- 1/15~2/14
- 2/15~3/14
育児休業期間中に給料が支払われた場合の育児休業給付金の支給額
育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金の支給額は、
「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 支給率(67% or 50%)」
で計算されます。
なお、
- 休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前6ヶ月間の賃金合計額を180で割った額
- 支給日数は、育児休業期間(支給単位期間)1ヶ月を30日として計算
- 支給率とは「育児休業開始日から180日までは67%」「181日から職場復帰前日までが50%」
となります。
詳しくは、こちらの記事を。
育児休業給付金の支給調整(減額)
育児休業給付金は、
- 月10日以下の勤務
- 月80時間以下の勤務
であれば支給されますが、収入額によっては、次のような支給調整(減額)が行われます。
【育児休業給付金の支給パターン(支給額の基準)】
- 満額支給
⇒給与額が、賃金月額の13%(または30%)まで - 支給額の調整(減額)
⇒給与額が、賃金月額の13%(または30%)超え、80%未満 - 支給停止
⇒給与額が、賃金月額の80%を超える場合
なお、賃金月額のパーセンテージ(%)については、
- 支給率が67%の期間は13%
- 支給率50%の期間は30%
となります。
また、賃金月額とは「休業開始時賃金日額×支給日数」のことです。
【支給額の計算例】
出典:厚生労働省「育児休業中に就業した場合の育児休業給付金の支給について」
育児休業給付金が減額されない限度額(月額収入)
「賃金月額の13%(または30%)」って・・・
ちょっと計算が、面倒じゃないですか?
なので、育児休業給付金が減額されない限度額を早見表(概算)にしておきます。
参考程度にご覧ください。
【育児休業給付金が減額されない月額収入】
育児休業開始前の月額給与が「30万円」の場合、
- 育児休業開始日から180日まで「月額39,000円」
- 181日から職場復帰前日まで「月額90,000円」
稼いでも、育児休業給付金は減額されません。
月80時間以内の勤務でも、定期的に働くのはダメ!
育児休業中の就労は、あくまでも一時的・臨時的なものでなければなりません。
ですので、「定期的に毎週3日」みたいな働き方は、職場復帰とみなされる場合があるみたいです。
もし、結構な日数を働く場合は、注意してください。
「職場復帰」になっちゃうと、育児休業給付金の支給が受けられなくなりますので。
他の事業所で働いた場合の育児休業給付金の取扱い
育児休業中に、「育児休業を取得した事業所」とは別の事業所で働くことも可能です。
もちろん、その際にも、
- 月10日以下の勤務
- 月80時間以下の勤務
という受給要件のいずれかを満たさなければ、育児休業給付金は支給されなくなります。
ただ、育児休業給付金の支給調整(減額)する際の収入計算には、他の事業所で働いた分の給料は含めないみたいです。
ちょっと、理解不能ですね。(笑)
まぁ、このあたりは経験がないので、よくわかりませんが・・・
社会保険と税金(所得税、住民税)の取扱い
健康保険・厚生年金保険
育児休業中に働き、給料支払いがあったとしても、職場復帰していなければ「健康保険料・厚生年金保険料」は免除されます。
ただ、定期的に就労するような場合だと職場復帰とみなされ、保険料が免除されなくなる場合があるみたいです。
雇用保険
育児休業中であっても、給与支払いがあれば、その金額に応じた「雇用保険料」の支払いが発生します。
所得税
育児休業中であっても、給与支払いがあれば、その金額に応じた「税額」が徴収されます。
なお、最終的には、年間所得に応じて年末調整で精算されることになります。
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住民税
育児休業中であっても、給与支払いがあれば、その金額に応じた「税額」が徴収されます。
ただ、住民税は、前年(1~12月)の所得によって支払額が決まるため、翌年以降(育児休業復帰後)の徴収額の計算に反映されます。
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まとめ
ここで、「育児休業中に働いた場合の育児休業給付金等の取扱い」についてまとめておきます。
- 月80時間までの勤務なら「育児休業給付金」は支給される
- 1ヶ月の収入が「賃金月額の13%(または30%)」までは、育児休業給付金は減額されない
- 月80時間以内の勤務でも、定期的に働くのはダメ
- 育児休業中に「育児休業を取得した事業所」とは別の事業所で働いてもOK
- 健康保険料、厚生年金保険料は免除される
- 雇用保険料、所得税、住民税は徴収される
「育児休業中の就労」とは、原則、次のような考え方みたいです。
「育児休業期間中、たまたま子を養育していない日に、臨時的に働いた。」
そして、こういう状態の場合において「育児休業は継続している」と判断されるってことです。
結果、
「いくら育児休業給付金の受給要件を満たしているからって、ガツガツ働いちゃダメだよ」
ってことですね~
ちなみに、育児休業の取得を考えている男性(パパ)の場合、この制度をうまく利用することで、仕事への影響を最小限に抑えたり、育児休業中の収入を増やすことができます。
もし、育児休業の取得を
- 職場に迷惑をかけちゃうかな
- 休業中の収入が不安だな
と躊躇しているなら、完全休業ではなく、育児休業と仕事を両立するという発想をしてみると、休業しやすくなるかもしれませんね。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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