この記事では、訪問看護ステーションにおける、
- 離職率の推移
- 離職率の比較(対、産業平均、病院看護職員)
- 主な退職理由
- 働きやすい「訪問看護ステーション」の探しかた
について紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 訪問看護に興味がある
- 訪問看護で、働きたいと思っているんだけど・・・
- 訪問看護って、どうやって探したらいいの?
なお、この記事で紹介している各種データは、
- 神奈川県「看護職員就業実態調査結果(訪問看護ステーション)」
- 日本看護協会「2018年病院看護実態調査」
- 厚生労働省「雇用動向調査」
の結果をもとに作成したものです。
また、引用させていただきました表などについては、記事の中で明記しています。
訪問看護ステーションの離職率は、「19.1%」とかなり高め!!
まず、結論です。
- 訪問看護STの離職率は、2017年度で「19.1%」
- 産業別の離職率では、「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」に次いで3位
- 病院看護職員の離職率と比べ、倍近い水準になっている
- 退職理由の1位は、「他施設(病院等、訪問看護ST以外)に転職」
それでは、1つずつ説明していきます。
訪問看護STの離職率は、2017年度で「19.1%」
訪問看護ステーションの離職率は、次のような推移となっています。
一覧にすると、こんな感じです。
年 | 常勤 | 非常勤 | 全体 |
2013年 | 12.4 | 16.0 | 14.2 |
2014年 | 18.0 | 20.4 | 19.1 |
2015年 | 15.2 | 18.7 | 16.8 |
2016年 | 15.0 | 18.0 | 16.4 |
2017年 | 18.1 | 20.4 | 19.1 |
年によって、バラつきが激しく、「16~20%」で変動しています。
2017年の全産業平均の離職率が、「14.9%」であることを思うと、かなり高い水準であると言えます。
産業別の離職率では、「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」に次いで3位
次に、産業別の離職率と比較してみます。
産業別の離職率ですが、
- 1位は、ダントツで、宿泊業、飲食サービス業「30.0%」
- 2位は、生活関連サービス業、娯楽業「22.1%」
となっています。
そのあとは、
- サービス業(他に分類されないもの) 18.1%
- 不動産業、物品賃貸業 16.5%
- 卸売業、小売業 14.5%
- 医療、福祉 14.5%
と続きます。
訪問看護ステーションは、離職率「19.1%」であるため、堂々の3位入賞です。
産業別で見てみても、訪問看護ステーションの離職率は、かなり高めということになります。
病院看護職員の離職率と比べ、倍近い水準になっている
続いて、
- 病院(看護職員の代表的な勤務先)
- 訪問看護ステーション
で、「常勤職員の離職率は、どう変わるのか?」について、比べてみます。
すると、びっくりすることに、病院看護職員「10.9%」に対し、訪問看護ステーションの看護職員「18.1%」で、倍近くの数値となっています。
こんな感じです。
ただ、訪問看護師の離職率が、病院看護師よりダントツで高いのはわかりましたが、それより気になるのは、
「なぜ、2014年から急激に離職率が上がっているのか?」
ではないでしょうか?(2013年までは、離職率「12.4%」と比較的低いのに・・・)
これは、おそらく、営利法人(株式会社など)が運営する訪問看護ステーションの割合が急増した時期と近いことが関係していると思われます。
というのも、そもそも、訪問看護ステーションというのは、社会福祉法人や医療法人による運営が多かったのですが、2014年からは、営利法人(株式会社など)による運営が多くなっています。
こんな感じに。
結果、2017年の経営(運営)主体別の割合は、次のとおり、営利法人が「49.6%」とダントツ1位になっています。
【詳細記事】

つまり、何が言いたいかというと、
「営利法人による、事業所の乱立により、劣悪な労働環境である事業所が増えたのでは!?」
ということです。
事実、厚生労働省「介護事業経営実態調査」によると、社会福祉法人や医療法人に比べ、営利法人(株式会社など)が運営する訪問看護ステーションの方が、
- 給与額が低い
- 看護師1人あたりの訪問件数が多い
となっています。
もちろん、「すべての事業所が・・・」というわけではありませんが、比較的、そういった事業所が多いということなんだと思います。
【関連記事】
社会福祉法人、医療法人、営利法人(株式会社など)の比較については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

退職理由の1位は、「他施設(病院等、訪問看護ST以外)に転職」
データ紹介の最後は、
「訪問看護ステーションを退職した人は、どんな理由で辞めているのか?」
についてです。
出典:神奈川県「看護職員就業実態調査結果(訪問看護ステーション)」
わかりやすく一覧にすると、1位から5位は、こんな感じです。
- 他施設(病院等、訪問看護ST以外)に転職 22.8%
- 他の訪問看護STに転職 15.5%
- ご自身の体調不良 11.1%
- 転居 6.9%
- 結婚・出産・子育て 6.1%
1位の「他施設(病院等、訪問看護ST以外)に転職」だけを見ちゃうと、
「やっぱ、訪問看護は大変なんだ・・・」
となっちゃいますよね。
でも、退職理由の2位に「他の訪問看護STに転職」が入っていることを思うと、
「訪問看護師という仕事は、合う合わないが激しく、また、事業所による労働環境の違いが大きい」
ということなんだと思います。
ちなみに、僕の回りでは、「訪問看護ステーション職員の定着率は高い」というイメージです。
そして、
「1回、訪問看護やっちゃうと、もう、病院じゃ働けないよね~」
と言っている看護師さんが、結構多いです。
ほんと、訪問看護って、向き不向き(合う合わない)が激しい職場なんですよね。
働きやすい「訪問看護ステーション」の探しかた
この記事で紹介したとおり、訪問看護ステーションは、事業所による労働環境の違いが激しいです。
なので、情報収集をしっかり行い、事業所選びを慎重に行うことが大切になります。
そうじゃないと、
「こんなはずじゃなかったのに・・・」
となっちゃいます。
ただ、情報収集をしっかりすると言っても、なかなか個人では難しいですよね。
そんなときは、無料で利用できるエージェントサービス(看護のお仕事 や
マイナビ看護師
など)を活用しましょう。
エージェントサービスなら、各事業所の情報が豊富のため、あなたの希望条件にあった事業所をいくつも探してくれます。
また、
- 面接などの日程調整
- 給与額の交渉
- 職員数やオンコール体制
- 有給休暇の取得状況
などの「面倒な手続き」や「気になったことの確認(情報収集)」も、あなたの代わりにやってくれます。
もちろん、途中で利用をやめても、キャンセル料などが発生することもありませんので、登録しておいて損はないと思いますよ。
【関連記事】
エージェントサービスについて、詳しくは、こちらの記事を。

まとめ
ここで、「訪問看護ステーションの離職率から考える、働きやすい事業所の探し方」についてまとめておきます。
- 訪問看護ステーションは、労働環境の違いが激しい
- 情報収集をしっかり行い、事業所選びを慎重に行うことが大切
- 社会福祉法人か医療法人が運営する事業所を探す
- 事業所探しは、エージェントサービス(看護のお仕事
やマイナビ看護師
など)を使う
在宅サービスは、社会保障費の問題(財政状況の悪化など)もあり、国が強烈に推進しています。
そういった背景からしても、訪問看護ステーション(訪問看護師)の需要は増え続けていきます。
ただ、離職率を見ていただいたとおり、訪問看護ステーション探しは、病院以上に、慎重に行う必要があります。
せっかくの「訪問看護への興味」を失ってしまわぬよう、働きやすく、やりがいを持って働ける事業所を探してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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