この記事では、
- 有効求人倍率の意味と見方
- 有効求人倍率からみる「転職のしやすさ」と「人手不足の職種」
について紹介しています。
有効求人倍率は、厚生労働省が毎月発表している「雇用状況を表す1つの指標」で、労働市場の傾向(人手不足や仕事不足)を把握するのに非常に役立ちます。
転職を考えているなら、ぜひ、チェックしてみてください。
有効求人倍率とは、労働市場の「需給バランス」を表している
有効求人倍率とは、次の計算で算出されます。
有効求人数 ÷ 有効求職者数 = 有効求人倍率
【用語説明】
- 有効求人数:ハローワークにおける求人数(仕事の数)
- 有効求職者数:ハローワークにおける求職者数(仕事を探す人の数)
つまり、有効求人倍率とは、ハローワーク(公共職業安定所)で仕事を探す人1人に対し、何人分の求人(仕事)があるかを表している指標です。
有効求人倍率の具体的な見方
わかやすく一覧表にしておきます。
有効求人倍率 | 有効求人数 (何人分の仕事) | 有効求職者数 (仕事を探す人数) | 労働市場の動向 |
1.0 | 100人分 | 100人 | ちょうどいい |
1.5 | 150人分 | 100人 | 人手不足 |
0.5 | 50人分 | 100人 | 仕事不足 |
つまり、有効求人倍率が、
- 1.0を超えると、人手不足(労働者が足りない状態)
- 1.0を下回ると、仕事不足(失業者が増えていく状態)
となります。
2019年4月の有効求人倍率は「1.63」
2019年5月31日に厚生労働省が発表した有効求人倍率は「1.63」となっており、かなり高い数値となっています。
⇒厚生労働省「一般職業紹介状況(平成31年4月分)について」
「1.63倍」ということは、100人の求職者に対し、163人分の仕事がある状態です。
すっごい人手不足ですね・・・
ちなみに、有効求人倍率は、景気などの影響を受けるため、
- バブルと言われた1973年は「1.76倍」
- リーマンショックがあった2009年は「0.47倍」
となっており、次のように大きく変動します。
職業別の有効求人倍率から「転職のしやすさ」と「人手不足の職種」がわかる
厚生労働省は、職業別の有効求人倍率も発表しています。
「2019年4月」は、こんな感じです。
職 種 | 有効求人倍率 (パートを含む) |
管理的業務 | 1.47 |
専門的・技術的職業 | 1.99 |
事務的職業 | 0.48 |
販売の職業 | 2.22 |
サービスの職業 | 3.38 |
保安の職業 | 7.02 |
農林漁業の職業 | 1.50 |
生産工程の職業 | 1.74 |
転送・機械運転の職業 | 2.49 |
建設・採掘の職業 | 4.84 |
運搬・清掃等の職業 | 2.30 |
「事務的職業」以外は、すべて1.0を超えています。
つまり、「事務的職業」以外は、人手不足ってことになります。
逆にいえば、「事務的職業」は、超人気の職業と言えます。
だって、ほぼすべての職種で労働者が足りないのに、事務職だけは労働者(希望者)が溢れてるんですから。
なお、グラフにすると職種による違いが、もっとはっきりします。
人手不足が深刻な医療・介護業界の「有効求人倍率」
次に、僕が仕事をしている「医療・介護業界の有効求人倍率」を見てみます。
【2019年4月分】
職 種 | 有効求人倍率 (パートを含む) |
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 | 3.77 |
保健師、助産師、看護師、准看護師 | 2.07 |
医療技術者(理学療法士・作業療法士など) | 2.95 |
介護サービスの職業(施設介護員・訪問介護員) | 3.94 |
どの職種も、凄まじい人手不足です・・・
ちなみに、割合ではなく実数で見てみると。
職 種 | 有効求人数 | 有効求職者数 |
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 | 15,838 | 4,197 |
保健師、助産師、看護師、准看護師 | 100,377 | 48,441 |
医療技術者(理学療法士・作業療法士など) | 40,027 | 13,590 |
介護サービスの職業(施設介護員・訪問介護員) | 223,075 | 56,663 |
実数で見ると「介護サービスの職業」の人手不足が際立ちますね・・・
介護職の場合、有効求人倍率「3.94」ですので、100人の介護職員に対し、394人分の仕事があるってことになります。
もうちょっと、わかりやすく言うと、
「1人の介護職員を、4つの事業所で取り合っている」
って感じです。
前向きに考えれば、「超人気の転職し放題の職種」となりますが、その反面、超激務になってしまう可能性を秘めています。
介護職員さんの場合、事業所(就職先)選びは、慎重に行ったほうが良さそうですね・・・
まとめ
ここで、「有効求人倍率」と「現在(2019年)の労働市場」についてまとめておきます。
- 有効求人倍率とは、仕事を探す人1人に対し、何人分の求人(仕事)があるかを表している指標
- 有効求人倍率が、1.0を超えると人手不足となり、1.0を下回ると仕事不足となる
- 現在の有効求人倍率は「1.63」であり、強烈な人手不足となっている
- 「事務的職業」は超人気の職業
- 医療・介護業界は、ほぼすべての職種で強烈な人手不足となっている
結果、「事務的職業」以外の職種は、転職しやすい状況だと言えます。
もし、現在の職場に不満を感じているなら「転職もその不満を解消する有効な手段の1つ」になりますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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