いきなりですが、
「転職するとき、ハローワークを利用していますか?」
もし、答えが「いいえ、使ってません」なら、雇用保険から貰えていたはずの給付金(再就職手当)を受け取っていないかもしれません。
雇用保険は、掛け捨ての保険みたいなもので、使わなければ保険料を一生払うだけです。
さらに言えば、制度を知らなければ、使うことのできない保険です。
行政さんは、聞かないと教えてくれませんし。(制度を知らないと、そもそも聞くこともできませんし・・・)
そこで、この記事では、転職を考えている有資格者さん(特に、看護師、薬剤師)にぜひ知っておいてほしい、
雇用保険(失業給付)の「再就職手当」
について紹介します。
看護師、薬剤師の転職こそ「再就職手当」をもらおう
再就職手当とは、退職した人がハローワークで雇用保険(失業保険)の手続きを行い、基本手当(失業保険)の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して再就職した場合に受け取ることのできる手当です。
再就職手当は、次の8つの要件を、すべて満たした場合に支給されます。
- ハローワークで手続きを行い、待機期間(7日間)後の就職であること
- 失業保険の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること
- 離職前の事業所(会社等)に再び就職したものでないこと
- 給付制限(3ヶ月)がある場合、待期期間(7日間)後の最初の1か月間については、ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介で就職したものであること
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
- 雇用保険の被保険者要件を満たす条件での雇用であること
- 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
見ていただいたとおり、
「こんなの満たせるわけないよ~」
というような、ハードルの高い要件はありませんので、雇用保険の被保険者であれば、結構な確率で支給が受けられると思います。
ちなみに、看護師さんや薬剤師さんの場合、早期の再就職がしやすいため、失業保険の所定給付日数分(給付最大日数)を「再就職手当」として受取れる可能性があります。
また、再就職手当の金額ですが、次のような条件で試算した場合、
- 離職時の年齢:30~34歳
- 離職前6ヶ月間の月額平均給与:300,000円
- 雇用保険加入期間:5年以上10年未満
- 退職理由:自己都合退職
- 支給残日数:90日(3ヶ月の給付制限中に就職)
再就職手当の支給額は、「376,362円」となります。
結構な金額ですよね。
【関連記事】
再就職手当の「支給要件、支給金額、申請手続き」について、詳しくは、こちらの記事を。


なぜ、看護師、薬剤師はハローワークを利用しないのか?
僕は、仕事柄、多くの職員さんの社会保険手続き(入職・退職など)を行います。
仕事が、医療・介護業界ということもあり、職種はさまざまです。
たとえば、
- 医師
- 看護師(准看護師)
- 介護福祉士(介護職員含む)
- 薬剤師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚氏
- 放射線技師
- 検査技師
- 管理栄養士
- 事務員
などなど。(きりがないのでこの辺で・・・)
こういった、色々な職種の採用活動を行っていて感じるのは、
「比較的、事務員や介護福祉士(介護職員含む)の場合は、ハローワークを利用されていますが、看護師や薬剤師(有資格者)でハローワークを利用している人は、ほとんどいない。」
ってことです。
つまり、看護師や薬剤師の場合、「再就職手当をもらっていない人が多い」ってこと。
そこで、看護師と薬剤師の友人に「ハローワークを利用しない理由」を聞いてみました。
- ハローワークより、人材紹介サービスの方が便利だから
⇒いい条件の求人も多い - 「3ヶ月(給付制限)」も休むつもりがない(失業保険をもらうつもりがない)
⇒すぐに次の職場を探す予定 - ハローワークで仕事を探す気がない
- 転職先を決めてからじゃないと仕事を辞められない(大学病院に多い???)
- 転職先を決めてからじゃないと不安という想い
はっきり言って、この5つの理由のうち、4の「転職先を決めてからじゃないと仕事を辞められない」以外の人は、ハローワークを利用したほうが、絶対にお得です!!
さらに言えば、ここで挙げた「ハローワークを利用しない理由」については、雇用保険制度を知らないことでおきている「勘違い」です。
それでは、「勘違いだという理由」を1つずつ説明していきます。
「ハローワークを利用しない理由」は、ほぼ勘違い!?
ハローワークより、人材紹介サービスの方が便利だから
これ、ほんと、そのとおりなんです。
ハローワークで仕事を探すより、民間の人材紹介サービスを使ったほうがぜんぜんいいと思います。
いい求人も多いですし。
でも、ハローワークを利用(登録)しながら、人材紹介サービスを使って就職した場合でも、「再就職手当」は支給されます。
なので、「ハローワークより、人材紹介サービスの方が便利だから」という理由では、ハローワークを利用しない理由にはなりません。
【関連記事】

「3ヶ月(給付制限)」も休むつもりがない(失業保険をもらうつもりがない)
再就職手当は、給付制限(3ヶ月)中に再就職しても支給されます。
ですので、
「失業保険は、3ヶ月間は支給されないから、ハローワークの手続きをする必要はない」
と考えているのだとしたら、それは勘違いです。
確かに、失業保険(基本手当)は、自己都合退職の場合、3ヶ月間支給されません。
でも、ハローワークの手続きをするのは、失業保険(基本手当)をもらうためだけではありません。
ぜひ、「再就職手当」を受給するために、ハローワークの手続きをしましょう。
なので、「3ヶ月(給付制限)も休むつもりがない(失業保険をもらうつもりがない)」から、ハローワークを利用しないというのは、「う~ん・・・」って感じです。
ハローワークで仕事を探す気がない
いいんです!!
ハローワークで仕事を探さなくても。(笑)
ハローワークの手続き(登録)を行い、便利な人材紹介サービス(エージェントサービス)で再就職しましょう。
そして、「再就職手当」をもらいましょう。
【関連記事】
再就職手当が支給される「人材紹介サービス(エージェントサービス)」は、こちらの記事で紹介しています。

転職先を決めてからじゃないと仕事を辞められない
こういうセリフを、大学病院で看護師をされている方に良く聞くんですが、こういうルールがあるんですかね???
あとは、「3月31日付じゃないと辞められない」とか・・・
そういう事情もあってか、妙に、夏ぐらいから来年4月の転職(入職)の相談が多くなるんですよね~
こういう人の場合は、「再就職手当」をもらうのは難しいかもしれませんね。
円満退職が、一番ですからね。
どうしても、「再就職手当」が欲しいなら、職場に熱意を伝えるしかないですね。(笑)
転職先を決めてからじゃないと不安という想い
こういう人、すっごく多いと思います。
僕も、激しく同意しますし。
でも、看護師、薬剤師の場合は、超人材不足の業界ということもあり、
「なかなか次の職場が決まらない」
ということは、ほぼありません。
人材紹介サービスを利用すれば、あなたの希望に合った職場をすぐに探してくれますし。
なので、不安を感じることなく「まず退職」という選択をし、「再就職手当」をもらいましょう。
【関連記事】

ハローワークを利用しない理由で正しいのは?
大きなお世話ですが、僕が思う「ハローワークを利用しない正しい理由」とは、
- 手続きするのが面倒だから、お金はいらない
- そもそも、お金に興味がない
ぐらいでしょうか。(笑)
まとめ
ここで、看護師さんや薬剤師さんが、「再就職手当」の支給を受けるための注意点をまとめておきます。
- 現在の職場を退職する前に、転職先(次の職場)を決めないこと
⇒就職の内定をもらわないこと - 退職時に、「離職票」を必ずもらうこと
- 「離職票」が届いたら、ハローワークへ失業保険の手続きに行くこと
- 民間の人材紹介サービス(エージェントサービス)を利用し、待機期間(7日間)以降に入職すること
- 就職後(入職後)に、「再就職手当支給申請書」をハローワークに提出すること
手続きについては、ハローワークの担当者が色々と案内してくれますので、
「離職票を持って、まず、ハローワークに行く」
ということが大切だと思います。
手続きが面倒かも知れませんが、「再就職手当」は、結構な金額になりますので、ぜひ、利用してみてください。
なお、補足ですが、「再就職手当」は、退職日までに次の職場の内定をもらわなければ受給できるので、事前に、人材紹介サービス(エージェントサービス)に登録して、色々な事業所(病院など)の情報を集めておくことは全く問題ありません。
また、内定をもらわなければいいので、面接を受けても平気ですよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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