この記事では、令和4年1月1日より変更となる「傷病手当金の支給期間の考え方」について、まとめています。
この改正により、多くの人が、傷病手当金を長く受給できるようになります。
ただ、制度を理解してないと、
「本来は受給できるのに、受給できないと思って申請しなかった」
みたいなことが起きちゃいます。
もしものときのためにも、ぜひ、チェックしてみてください。
傷病手当金は、「1年6ヶ月分」が支給されるようになる
まず、傷病手当金の支給期間の通算化におけるポイントです。
出典:厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」
これだけだと、ちょっとわかりづらいと思うので、詳しく説明していきます。
傷病手当金の支給期間の考え方
令和4年1月1日以前の傷病手当金の支給期間(1年6ヶ月)とは、次のようになっていました。
出典:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき」
注意する点としては、
「1年6ヶ月分の傷病手当金が支給されるということではない」
というところです。
あくまで、「支給開始から1年6ヶ月間の期間」ということで、「何ヶ月間分の傷病手当金の支給を受けたか」は関係ないってことです。
で、令和4年1月1日以降の傷病手当金の支給期間(1年6ヶ月)は、次のようになります。
出典:厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」
改正前は、出勤して給与支払いがあった期間も傷病手当金の支給期間に含まれていましたが、改正後は、出勤して給与支払いがあった期間が傷病手当金の支給期間に含まれなくなります。
つまり、傷病手当金を受給した期間が、1年6ヶ月分になるまで支給されるってことです。
傷病手当金の支給期間の通算化は、「令和2年7月2日以降」に傷病手当金の支給が開始された人に適用される
法改正は、令和4年1月1日からですが、傷病手当金の支給期間の通算化については、
「令和3年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6ヶ月を経過していない傷病手当金が対象」
とされています。
なので、令和2年7月2日以降に傷病手当金の支給が開始された人に適用されます。
たとえば、こんな感じです。
【支給を始めた日:令和2年7月1日】
- 令和2年7月1日から、1ヶ月ずつ数えていき、1年6ヶ月目(18ヶ月目)が、令和3年12月になります。
- 1日から支給を開始してますので、12月31日が支給期間が満了(経過)する日になります。
【支給を始めた日:令和2年7月2日】
- 令和2年7月2日から、1ヶ月ずつ数えていき、1年6ヶ月目(18ヶ月目)が、令和3年12月になります。
- 2日から支給を開始してますので、翌月の1月1日が支給期間が満了(経過)する日になります。
結果、令和2年7月2日以降から支給を始めた場合、令和3年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6ヶ月を経過していないため、傷病手当金の支給期間の通算化が適用されます。
健康保険傷病手当金支給申請書の様式は変更される
厚生労働省保険局保険課「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」によると、
となっているので、「健康保険傷病手当金支給申請書」の様式は変更される予定です。
ただ、まだ変わってないですね。(令和3年12月22日現在)
傷病手当金の支給期間(支給日数)の計算方法
令和4年1月1日以降、傷病手当金の支給期間が通算化されることにより、支給期間の管理が「月数から日数に変更」になります。
理由としては、実際に傷病手当金が支給された期間で、カウントをしていくので日数で管理しないとわからなくなるからです。
で、傷病手当金の最大支給日数は、次のように算出します。
【支給期間の計算方法】
たとえば、こんな感じです。
支給開始日 | 支給満了日 | 最大支給日数 |
令和4年3月4日 | 令和5年9月30日 | 549日 |
令和4年1月1日 | 令和5年6月30日 | 546日 |
令和2年7月2日 | 令和4年1月1日 | 549日 |
令和3年12月20日 | 令和5年6月19日 | 547日 |
令和4年5月15日 | 令和5年11月14日 | 549日 |
ちなみに、お役に立たないかもですが、「傷病手当金最大支給日数(期間)」を算出するエクセルファイルをダウンロードできるようにしておきます。
使えそうなら、使ってください。(かなり雑につくってありますが・・・)
こんな感じの表です。
黄色の支給開始日に年月日を入れると、支給最大日数等が自動で算出されます。
傷病手当金の支給満了日 = 支給日数が0日になる日
傷病手当金の支給期間の通算化により、支給満了日は、支給日数が0日になる日となります。
たとえば、次のような場合は、残支給日数の470日がなくなる日、つまりは、あと470日分の傷病手当金を受給する日ってことです。
【条件】
- 令和4年3月1日~4月10日労務不能(支給期間:38日間)
- 令和4年4月11日~4月20日労務不能(支給期間:10日間)
- 令和4年5月11日~6月10日労務不能(支給期間:31日間)
令和4年3月1日から3日までの3日間が待期期間となり、令和4年3月4日が傷病手当金の支給開始日となります。
なので、支給期間は令和5年9月3日までの549日間ってことになります。
こんな感じです。
出典:厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」
傷病手当金の一部でも支給された場合は、支給期間(日数)は減少する
傷病手当金が不支給となった期間は、支給期間(日数)は減りませんが、傷病手当金の一部でも支給された場合は、支給期間(日数)は減少します。
このとおり。
出典:厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」
まとめ
ここで、「傷病手当金の支給期間の通算化」について、ポイントをおさらいします。
- 傷病手当金を受給した期間が、1年6ヶ月分になるまで支給される
- 傷病手当金の支給期間の通算化は、令和2年7月2日以降に傷病手当金の支給が開始された人に適用される
- 支給期間の管理が、月数から日数に変更になる
- 傷病手当金の一部でも支給された場合は、支給期間(日数)は減少する
傷病手当金を含め、社会保険加入者って保障が手厚くなっています。
ただ、知らないと使えない制度も多いので、
「こんな制度あったよな~」
ぐらいには、理解しておくことをオススメします。
せっかく社会保険料を払っているのに、制度を利用しないのはもったいないので。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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