この記事では、精神科の作業療法士における、
- リハビリの内容
- 対象患者
- やりがい
- キャリアプラン
について、まとめています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 精神科で働こうか悩んでいる
- 精神科の作業療法って、具体的にどんなことをするの?
- どんな患者さんが対象になるの?
- どんなやりがいがあって、どんな経験ができるの?
精神科病院の作業療法は、レクリエーション的なリハビリがメイン
まず、結論です。
- 精神科の作業療法は、体操、歌やカラオケ、ゲームなどのレクリエーションが多い
- 対象患者は、統合失調症などの精神疾患とうつ病や認知症の人
- 精神障害のリハビリでは、患者とゆっくりペースで長く関われる
- 身体障害領域を学んでから、精神障害領域をやるほうがスキルアップしやすい
それでは、1つずつ説明していきます。
精神科の作業療法は、体操や歌、カラオケ、ゲームなどのレクリエーションが多い
精神科のリハビリは、急性期や回復期における、身体障害領域のリハビリとは違い、レクリエーション的なものが多いです。
具体的には、次のようなものです。
- 体操
- 歌、カラオケ
- 書道
- 創作
- 卓球
- 風船バレー
- 映画鑑賞
- クイズ、脳トレ
- ゲーム
- 茶話会
- 園芸
- 傾聴(会話)
- 身体機能訓練 など
精神科における、作業療法の主な目的は、
- 生活の中で親しんでいる作業に取り組むことで、症状の軽減や生活の幅を広げ、健康な自分を取り戻す
- 色々な作業、活動の特色や対人交流の密度の違いなどにより、集中力、持続力、充実感や自己肯定感、困ったときの対処の仕方など心と体のコンディションを整える力をつける
となりますので、必然的にレクリエーション的なものが増えていきます。
もちろん、医師の指示のもと、作業療法が行われます。
対象患者は、統合失調症などの精神疾患とうつ病や認知症の人
「どの入院基本料を算定しているか?」
によっても変わってきますが、精神科の作業療法を行う患者さんは、次のような疾患の人たちです。
- 統合失調症
- 気分障害(感情障害)
- 認知症
ご存じかもしれませんが、一応、1つずつ紹介しておきます。
統合失調症とは?
統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかると言われている頻度の高い病気です。
主な症状については、次のとおりです。
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。
それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、という特徴を併せもっています。
多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。
新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました(WHO 2001)。
以前は「精神分裂病」が正式の病名でしたが、「統合失調症」へと名称変更されました。
出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
気分障害(感情障害)とは?
気分障害には、大きく分けて、「うつ病」と「双極性障害」に分けられます。
うつ病
「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。
抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。
うつ状態という用語のほうが日常生活でよく用いられますが、精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。
このようなうつ状態がある程度以上、重症である時、うつ病と呼んでいます。
出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
双極性障害とは
双極性障害は、精神疾患の中でも気分障害と分類されている疾患のひとつです。
うつ状態だけが起こる病気を「うつ病」といいますが、このうつ病とほとんど同じうつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁状態も現れ、これらをくりかえす、慢性の病気です。
出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
認知症とは?
認知症とは、脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になる疾患です。
最近は、結構、なじみがある言葉ですよね。
厚生労働白書(平成28年版)によると、2012年の65歳以上の認知症患者数と有病率は、
- 認知症患者数 462万人
- 有病率 15.0%(65歳以上の7人に1人)
となっており、2025年には約700万人、5人に1人になるとされています。
つまり、認知症は、今後ますます、増えていく疾患です。
こんな感じの予想です。
出典:厚生労働省「厚生労働白書 平成28年版」
精神障害のリハビリは、患者とゆっくりペースで長く関われる
精神科のリハビリは、急性期や回復期における超ハイペースなリハビリとは違い、患者1人ひとり、ゆっくりじっくりと向き合い、共に目標を設定し関わっていきます。
診療報酬上の算定期間が長く設定されているというのも、1つの理由です。(精神科作業療法や認知症患者リハビリテーション料など)
精神障害領域のリハビリは、身体障害のリハビリと違い、リハビリの効果(成果)という「やりがい」は、感じづらいかもしれません。
ただ、長い期間、関わる中で、
- 患者と、いい関係を築けたときの喜び
- 薬剤による治療で、なかなか状態が改善されなかった患者さんが、リハビリ活動
を通じ、症状(不穏状態など)が安定してくる喜び - 患者さんの良い所を、「引き出せた」ときの喜び
などに「やりがい」を感じることができます。
このあたりは、作業療法士さん、1人ひとりの価値観に左右される部分も大きいと思いますので、
「自分は、どういう部分に、やりがいを感じるか?」
で、選択してもいいかもって思います。
身体障害領域を学んでから、精神障害領域をやるほうが、スキルアップしやすい
作業療法士としての「キャリアを考える」という意味では、「身体障害領域」を経験してから「精神障害領域」をやるほうがいいかもしれません。
というのも、
「リハビリ技術の応用ができるのは?(経験を活かせるか?)」
という質問を、うちの作業療法士にしたところ、ほとんどの人が、
- 精神障害領域から身体障害領域は、かなり厳しい
- 身体障害領域から精神障害領域は、結構いける
との回答だったからです。
逆に言うと、「身体障害領域」の経験があるなら、精神科の作業療法士として働くハードルは、そんなに高くないってことです。
結構、即戦力かも!?
なので、興味があるなら、ぜひ、精神障害領域へ飛び込んでみてください。
ちなみに、
- 目に見えない「心を扱うということ」に興味がある
- 「心の病を抱えている人に、どんなことをしてあげられるのか?」という好奇心が強い
- 身体障害領域のリハビリに自信がない(向いてない気がする)
みたいな人は、精神科の作業療法士を強くオススメします。
まとめ
ここで、「精神科病院の作業療法士の仕事」について、おさらいです。
- 精神科におけるリハビリは、レクリエーション的なものが多い
- 主な対象者は、「統合失調症」「気分障害」「認知症」
- やりがいは、患者1人ひとり、じっくりと向き合えること
- 身体障害領域の経験は、精神障害領域でも活きてくる
- 「心に興味がある」「身体障害のリハビリが不向き」という人は、精神科がオススメ
精神科で働く「作業療法士」は、比較的数が少ないため、精神科病院としては採用に苦労しています。
もし、「精神障害領域」のリハビリに興味があるなら、ぜひ、精神科での勤務を考えてみてください。
結構、ウェルカムな病院が多いと思いますので。
ちなみに、「どうやって探したらいいの?」という人は、無料で利用できる転職エージェント(マイナビコメディカル やPT・OT・ST WORKER など)の利用をオススメします。
人材紹介サービスなら、各事業所の情報が豊富のため、あなたの希望条件にあった事業所をいくつも探してくれます。
また、
- 面接などの日程調整
- 給与額の交渉
- 有給休暇の取得状況
などの「面倒な手続き」や「気になったことの確認(情報収集)」も、あなたの代わりにやってくれます。
もちろん、途中で利用をやめても、キャンセル料などが発生することもありません。
なので、
「今すぐ、転職する気はないんだけど・・・」
という人でも、情報収集という意味で、登録しておいて損はないと思いますよ。
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転職エージェントについて、詳しくは、こちらの記事を。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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