この記事では、在留資格「特定技能」制度の介護分野おける、
「特定技能所属機関(外国人受入れ機関)に追加される特有の基準」
について紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 介護職員さんの人材確保(採用)に苦労している
- 外国人労働者の受入れを考えている
- 法務省入国管理局の「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(介護分野の基準について)」を読まずに各基準のポイントだけ知りたい
「そもそも、特定技能制度ってなんなの?」という人は、こちらの記事をどうぞ。
介護分野における特定技能所属機関(外国人受入れ機関)の追加基準
まずは、基準の項目からです。
「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(介護分野の基準について)」から項目だけを抜き出すと、次の4つになります。
- 特定技能外国人が従事する業務(介護業務の内容)
- 特定技能外国人が有すべき技能水準(介護技術と日本語能力の水準)
- 特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準(受入れ機関の基準)
- 上陸許可に係る基準(労働者派遣の対象外)
それでは、1つずつ説明していきます。
特定技能外国人が従事する業務
特定技能「介護」における業務内容は、
- 身体介護等(入浴、食事、排せつの介助、整容、衣類着脱、移動の介助等)
- 身体介護等に付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)
- 日本人が通常従事する関連業務(掲示物の管理、物品の補充等)
となっています。
なので、一般的な介護業務って感じです。
注意点としては、
「いくら日本人が通常従事する関連業務がOKだとしても、それだけを専門に行うことは認められていない」
ってことですかね。
つまり、あくまでも、「身体介護等の業務を主として、関連業務を行っていいよ」ってことです。
また、特定技能外国人の就業場所は、
「介護業務の実施が一般的に想定される範囲」
とされており、具体的には、次のような施設(事業所)となります。
【特定技能「介護分野」における事業所の種類】
- 指定発達支援医療機関
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 保育所等訪問支援
- 短期入所
- 障害者支援施設(施設入所支援)
- 療養介護
- 生活介護
- 共同生活援助(グループホーム)
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 福祉ホーム
- 日中一時支援
- 地域活動支援センター
- 第1 号通所事業
- 通所介護(療養通所介護、老人デイサービスセンターを含む)
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 老人短期入所施設
- 短期入所生活介護
- 介護予防短期入所生活介護
- 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設(地域密着型介護老人福祉施設も含む))
- 小規模多機能型居宅介護・介護予防小規模多機能型居宅介護
- 複合型サービス
- 認知症対応型共同生活介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 通所リハビリテーション
- 介護予防通所リハビリテーション
- 短期入所療養介護
- 介護予防短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 介護予防特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 救護施設
- 更生施設
- 地域福祉センター
- 隣保館デイサービス事業
- 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
- ハンセン病療養所
- 原子爆弾被爆者養護ホーム
- 原子爆弾被爆者デイサービス事業
- 原子爆弾被爆者ショートステイ事業
- 労災特別介護施設
- 病院
- 診療所
特定技能外国人が有すべき技能水準
介護分野における「特定技能外国人」になるには、
- 介護技能
- 日本語能力
- 介護分野における日本語能力
がある程度の水準に達している必要があります。
「特定技能外国人」に求める水準としては、次のように定められており、試験等の合格により判断されることになります。
技能水準(介護技能)
- ア 「介護技能評価試験(仮称)」に合格したもの
- イ アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの
「アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの」とは、介護福祉士養成施設修了者のことをいい、試験が免除されます。
日本語能力水準
- ア 「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」に加え、「介護日本語評価試験(仮称)」に合格したもの
- イ アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの
「アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの」とは、介護福祉士養成施設修了者のことをいい、試験が免除されます。
ちなみに、介護技能評価試験・介護日本語評価試験の内容については、こちらのサイトで、サンプル問題がチェックできますよ。
⇒厚生労働省「介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について」
特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準
介護分野における、特定技能所属機関(受入れ機関)になるには、次の5つの基準を満たす必要があります。
- 特定技能外国人を受入れる事業所は、介護等の業務を行うものであること
- 事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人などの常勤介護職員の総数を上限とすること
- 特定技能所属機関は、厚生労働省が設置する「介護分野における特定技能協議会」の構成員になること
- 特定技能所属機関は、「介護分野における特定技能協議会」に対し、必要な協力を行うこと
- 特定技能所属機関は、厚生労働省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと
それでは、1つずつ説明していきます。
事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人などの常勤介護職員の総数を上限とすること
特定技能外国人の受入れ人数の上限は、
「日本人等の常勤の介護職員数まで」
とされています。
なので、「日本人等の常勤の介護職員の人数が30人の事業所の場合は、30人まで特定技能外国人を受入れてよい」ということになります。
なお、ここで言う「日本人等」とは、次のような外国人材が含まれます。
- 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
- 在留資格「介護」により在留する者
- 永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留する者
【関連記事】
EPA(特定活動)、技能実習、外国人留学生については、こちらの記事を。
特定技能所属機関は、厚生労働省が設置する「介護分野における特定技能協議会」の構成員になること
介護分野における特定技能外国人を受入れるには、「介護分野における特定技能協議会」の構成員にならなければなりません。
加入手続きについては、こちらのサイトで案内されるそうですが、まだ詳細は決まっていないようです。
⇒厚生労働省「介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について」
ただ、初めて「介護分野における特定技能外国人」を受入れる場合は、
「特定技能外国人の入国後4ヶ月以内に協議会へ加入すること」
とされていますので、あんまり焦らなくてもいいと思います。
また、初めて「介護分野における特定技能外国人」を受入れる場合で、在留資格「特定技能」を取得するための「在留資格認定証明書交付申請」を行う時は、「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(分野参考様式第1-1号)」にて、協議会の構成員となる旨の誓約が必要となります。
こんなやつです。
【介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書】
特定技能所属機関は、「介護分野における特定技能協議会」に対し、必要な協力を行うこと
「協議会に協力することは、義務ですよ」ってことですね。
特定技能所属機関は、厚生労働省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと
これも、同じく、「厚生労働省などに協力することも義務だよ」ってことです。
上陸許可に係る基準
介護分野における「特定技能外国人」について、
- 派遣労働者として入国させること
- 派遣労働者を受入れること
は禁止となっています。
なので、特定技能(介護)については、直接雇用のみってことになりますね。
まとめ
ここで、「介護分野における特定技能所属機関(受入れ機関)の追加基準」について、ポイントをまとめておきます。
- 特定技能外国人の業務は、「身体介護等」を主とすること
- 訪問介護等の訪問系サービスに従事することはできない
- 「介護技能」「日本語能力」「介護分野における日本語能力」において、一定の水準以上の人が、特定技能外国人として活動できる
- 特定技能外国人の受入れ人数の上限は、日本人等の常勤の介護職員数まで
- 特定技能所属機関は、「介護分野における特定技能協議会」に加入し、必要な協力行わなければならない
- 介護分野の特定技能制度においては、派遣労働者の受入れはできない
介護分野の追加(特有)基準については、そんなに難しいものはないと思います。
なので、「特定技能所属機関(受入れ機関)」が満たすべき共通の基準さえ、クリアできれば、特定技能外国人の受入れはできそうですよね。
【関連記事】
あとは、いかにして「日本で介護の仕事がしたい~」と外国人に思ってもらうか!?って感じでしょうか・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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