この記事では、男性の育児休業における
「パパ休暇(育児休業の再度取得の特例)」
について、紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 妻が妊娠している
- 子どもが生まれた
- 育児休業の取得を考えている
- 父親として積極的に子育てを楽しみたい
- 少しでも、妻の負担を減らしたい
【令和4年10月13日追記】
パパ休暇は、出生時育児休業(産後パパ育休)の新設および育児休業の分割取得化により、令和4年9月30日を以って、廃止となりました。
新しい制度については、こちらの記事で、詳しく説明しています。
パパ休暇とは、出産後のママをサポートするための育児休業
育児休業の取得は、特別な事情がない限り、1人の子どもにつき1回までとなっています。
ただし、子の出生後8週間以内の期間に取得した育児休業については、「育児休業の再度取得の特例」が適用され、特別な事情がなくても、再度、育児休業の取得が可能となります。
この「育児休業の再度取得の特例」のことを、「パパ休暇」といいます。
こんなイメージです。(厚生労働省の資料からの引用です)
パパ休暇は、「出生後8週間以内の期間」の取得に限定されることから、肉体的にも、精神的にも一番不安定になりやすい、出産後のママをサポートするための休暇という位置づけです。(と僕は思っています)
ちなみに、「なぜ、産後の8週間が一番不安定になりやすいのか?」については、
- 出産した体が、まだ元に戻ってない(2ヶ月ぐらいで元に戻る)
- 3時間ごとの母乳(ミルク)で、睡眠不足がスゴイ!
- 産後2ヶ月は、赤ちゃんのリズムがバラバラ
- 外出が、ほぼできない(監禁されてる感じがする)
という理由からです。(3度の出産を経験した妻から学びました)
パパ休暇の要件は、「出生後8週間以内の期間」に育児休業を取得・終了していること
育児休業の再度取得の特例(いわゆる、「パパ休暇」)の適用を受けるには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 子の出生後8週間以内の期間に育児休業を取得していること
- 子の出生後8週間以内の期間に育児休業が終了していること
つまり、「出生後8週間以内の期間に、1回目の育児休業を取得し、かつ、終了してね」ってことです。
根拠としては、このとおりです。
パパ休暇の対象となるためには、出生後8週間以内に育児休業が終了していることが必要です。
また、産後休業を取得した労働者には、この特例は適用されません。
ただし、例えば養子縁組をした場合など、法律の要件を満たす場合には、女性であっても当然に対象となります。
出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
ちなみに、「パパ休暇」の対象となる「出生後8週間以内の期間」とは、
「子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで」
となります。
出産予定日と出生日が違う場合の「出生後8週間以内の期間」の考え方
出産予定日と、実際の出産日は、異なる場合がほとんどです。
なので、
- 出産予定日より、実際の出産日が早まった場合
- 出産予定日より、実際の出産日が遅れた場合
の「出生後8週間以内の期間」については、次のように取扱いが定められてます。
パパ休暇の対象となる出生後8週間以内の期間とは、原則として出生日から8週間後までの間となりますが、
①出産予定日前に子が生まれた場合は、出生日から出産予定日の8週間後まで、
②出産予定日後に子が生まれた場合は、出産予定日から出生日の8週間後まで、
となります。
出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
なお、わかりやすく例えてみると、
- 出産予定日 4/1
- 実際の出生日 3/25
のように、出産予定日より実際の出産日が早まった場合は、特例期間(パパ休暇期間)は、「3/25~5/27」となります。
また、
- 出産予定日 4/1
- 実際の出生日 4/10
のように、出産予定日より実際の出産日が遅れた場合は、特例期間(パパ休暇期間)は、「4/1~6/5」となります。
つまり、「パパ休暇(男性の育児休業)」においては、出産予定日より、実際の出産日が早まっても、遅くなっても、その変更になった日数分が「出生後8週間以内の期間」にプラスされるってことです。
ただ、職場に「特別の有給休暇(出生時)」がある場合は、「特別の有給休暇」を優先的に使った方がいいと思います。
給与が全額保証されますので。
「育児休業期間」と「育児休業給付金の支給対象期間」は違う
男性の育児休業は、出産予定日から申出(取得)できますが、雇用保険における「育児休業給付金」については、実際の出産日(出生日)からしか支給されません。
つまり、「育児・介護休業法の育児休業期間」と、「育児休業給付における育児休業期間」は、違うってことです。
ですので、出産予定日から育児休業を申出(取得)し、出産予定日より実際の出産日が遅れた場合、
「育児休業はしたものの、育児休業給付金は支給されない」
という期間が発生することになります。
なお、根拠としては、次のとおりです。
質問:
育児休業給付における育児休業開始日とはいつですか。また、男性も育児休業給付を受給することは可能ですか。
回答:
産後休業から引き続いて育児休業を取得した女性の場合は、出産日から起算して58日目となります。
また、男性も育児休業給付の対象となり、配偶者の出産日当日から支給対象となります。
「パパ休暇」で、育児休業をした場合、2回目の育児休業でも給付金が支給される
育児休業給付金については、原則、1人の子どもにつき1回までしか支給対象になりませんが、「パパ休暇(育児休業の再度取得の特例)」については、2回目の育児休業期間も支給対象になります。
また、2回目の育児休業を取得した場合の「育児休業給付金」の支給額と支給率については、次のようなルールとなっています。
- 1回目の育児休業で決定された「賃金日額」を2回目の休業期間でも使用する
- 支給率は、1回目、2回目の育児休業の日数を通算し計算する(給付支給日数が180日になるまでは67%が支給され、181日目からは50%となる)
一応、根拠です。
同一の子に係る再度の対象育児休業については、改めて受給資格の確認を行う必要はなく、当該再度の対象育児休業に係る支給単位期間は、当初の休業開始日の応当日ごとに区切られる期間となる。
当該再度の対象育児休業の最初の支給単位期間は、当該再度の対象育児休業の初日から直後にくる当初の休業開始日の応当日の前日までの期間となる。
出典:厚生労働省職業安定局雇用保険課「業務取扱要領雇用継続給付関係(育児休業給付)」
なお、育児休業給付金の支給条件や支給額については、こちらの記事を。
育児休業の再度の取得ができる「特別の事情」とは?
かなり、読みづらいので、興味がなければ飛ばしてください。(笑)
一度休業した後に再度の申出を行うことができる特別の事情は次のとおりです(則第5条)
① 産前産後休業又は新たな育児休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、産前産後休業又は新たな育児休業の対象となった子が死亡したとき又は他人の養子になったこと等の理由により労働者と同居しなくなったとき。(新たな育児休業の対象となった子が特別養子縁組の請求等の場合にあたるときは、その特別養子縁組の申立が成立しなかった場合又は養子縁組が成立することなく里親委託が解除された場合(以下「特別養子縁組の不成立等の場合」といいます。)も「特別の事情」にあたります。)
② 介護休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、介護休業の対象となった対象家族が死亡したとき又は離婚、婚姻の取消、離縁等により対象家族と労働者との親族関係が消滅したとき。
③ 配偶者が死亡したとき。
④ 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により子の養育が困難な状態となったとき。
⑤ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が子と同居しないこととなったとき。
⑥ 申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害(※1)により、2 週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき。
⑦ 保育所等(※2)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき。
※1 負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合を含みます。なお、通常の生育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は該当しません。
※2 当初入所を予定していた保育所等に入れない場合などが考えられます。なお「保育所等」とは児童福祉法に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する認定こども園及び児童福祉法に規定する家庭的保育事業等をいいます。なお、認可外保育施設は含みません。
出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
まとめ
ここで、「男性の育児休業(パパ休暇)」についておさらいです。
- 「パパ休暇」とは、出産後のママをサポートするための育児休業
- 「パパ休暇」の要件は、「出生後8週間以内の期間」に育児休業を取得・終了していること
- 男性の育児休業は、出産予定日から申出(取得)できる
- 育児休業給付金は、出生日(実際の出産日)からしか支給されない
- 「パパ休暇」で、育児休業をした場合、2回目の育児休業でも給付金が支給される
育児休業は、「育児・介護休業法」によって定められた、労働者の権利です。
ですので、たとえ、職場の就業規則に「育児休業に関する制度」がなかったとしても、取得することができます。
育児休業の要件を満たした職員の申出を、事業主は、拒むことはできないことになっていますし。
また、育児休業期間中については、
- 社会保険料の免除
- 税金の優遇
など、休業中の経済的な不安を軽減できるしくみもありますので、ぜひ、出産後のママの負担を軽減するためにも、「パパ休暇」を検討してみてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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