この記事では、毎月の給与から天引きされる
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
の「計算方法(手順)」と「月額給与別の社会保険料額早見表」を紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 社会保険への加入を考えている
- 大まかな社会保険料額を知りたい
- 毎月引かれている社会保険料の仕組みを知りたい
- 仕事で「社会保険手続き」を担当している
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健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の計算方法(手順)
「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」の計算手順は同じです。
唯一、違うのは「保険料率」となります。
【計算手順】
- 月額給与(報酬月額)を計算する
- 月額給与から「標準報酬月額」を決定する
- 健康保険、介護保険、厚生年金の保険料率を確認する
- 標準報酬月額に各種保険料率をかけ、「保険料の全額」を算出する
- 「保険料の全額」に2分の1をかけ、「被保険者負担分の保険料額」を算出する
なお、計算式にすると、
標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2 = 保険料額(被保険者負担分)
となります。
それでは、1つずつ説明していきます。
月額給与(報酬月額)を計算する
月額給与は、残業手当や通勤手当など、原則、すべての手当を含んだ総支給額のことです。
健康保険法では、この総支給額のことを「報酬月額」といいます。
「報酬月額」は、原則、すべての手当を含みますが、一部含めないものがありますので、大まかに分類しておきます。
月額給与(報酬月額)に含めるもの | 月額給与(報酬月額)に含めないもの |
基本給、残業手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、日直手当、夜勤手当など | 賞与(年3回以下支給のもの)、傷病手当金、労災の休業補償、退職手当、出張旅費、交際費、見舞金、結婚祝い金など |
ちなみに、社会保険の資格取得時については、まだ報酬(給与)が支払われていないため、今後受けるであろう「1ヶ月あたりの報酬の見込み額」を報酬月額とします。
月額給与から「標準報酬月額」を決定する
標準報酬月額は、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を使って決めていきます。
こんな表です。
使い方は、すっごく簡単で、「月額給与(報酬月額)」が当てはまるところを確認するだけです。
たとえば、
月額給与(報酬月額)が「250,000円」なら、標準報酬月額は「260,000円」となります。
健康保険、介護保険、厚生年金の保険料率を確認する
健康保険の保険料率は、都道府県によって変わってきますが、介護保険および厚生年金保険の保険料率は全国統一です。
各種保険料率は、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の赤く囲った所をチェックします。
この表では、
- 健康保険 9.90%
- 介護保険 1.73%
- 厚生年金保険 18.3%
となります。
なお、都道府県ごとの保険料率は、全国健康保険協会のサイトで確認できます。
⇒全国健康保険協会「平成31年度保険料額表(平成31年4月分から)」
標準報酬月額に各種保険料率をかけ、「保険料の全額」を算出する
次に、標準報酬月額に各種保険料をかけていきます。
標準報酬月額「260,000円」で、健康保険料率「9.9%」であれば、
260,000円 × 9.9% = 25,740円
となります。
この金額が、健康保険における事業主と被保険者(職員)が負担する「保険料の全額」です。
「保険料の全額」に2分の1をかけ、「被保険者負担分の保険料額」を算出する
「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」は、事業主との折半のため、最後に2分の1をかけます。
健康保険における「保険料の全額」が25,740円の場合は、
25,740円 ÷ 2 = 12,870円
となります。
この金額が、毎月の給与から天引きされる「被保険者(職員)負担分の健康保険料額」です。
ちなみに、計算結果に小数点以下が出た場合は、次のとおり処理します。
事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。
たとえば、
- 12,345.5000円なら、12,345円を控除
- 12,345.5001円なら、12,346円を控除
ってことです。(あえて、極端に例えています)
健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料額を試算してみる
次の条件で、計算してみます。
- 被保険者の年齢 40歳
- 月額給与(報酬月額) 295,800円
- 標準報酬月額 300,000円
- 健康保険(東京都) 9.90%
- 介護保険料 1.73%
- 厚生年金保険料 18.3%
計算式にあてはめてみると、
- 300,000円 × 9.9% ÷ 2 = 14,850円(健康保険)
- 300,000円 × 1.73% ÷ 2 = 2,595円(介護保険)
- 300,000円 × 18.3% ÷ 2 = 27,450円(厚生年金保険)
となります。
ちなみに、わざわざこんな計算をしなくても、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を見れば、保険料額がわかるようになってるんですけどね・・・(笑)
こんな感じで。
雇用保険料の計算方法(手順)
雇用保険料は、月額給与(総支給額)に保険料率をかけ計算されます。
【計算手順】
2.事業の種類に応じた、保険料率を確認する
3.月額給与(総支給額)に保険料率をかける
なお、計算式にすると、
月額給与(総支給額)× 保険料率 = 保険料額(労働者負担分)
となります。
それでは、1つずつ説明していきます。
月額給与(報酬月額)を計算する
月額給与は、残業手当や通勤手当など、原則、すべての手当を含んだ総支給額です。
基本的には、「健康保険、介護保険、厚生年金保険の報酬月額」と同じだと思ってください。
なお、厚生労働省では「雇用保険料の対象となる賃金」を次のように分類しています。
事業の種類に応じた「保険料率」を確認する
雇用保険は、「事業の種類」よって、保険料率が変わってきます。
このとおり。
2019年度(4月~3月)における、労働者負担の保険料率は、
- 一般の事業 0.3%
- 農林水産・清酒製造の事業 0.4%
- 建設の事業 0.4%
となります。
月額給与(総支給額)に保険料率をかける
「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」では、「保険料の全額」を折半しましたが、雇用保険の場合「労働者負担の保険料率」が明示されていますので、そのまま保険料率をかけていきます。
月額給与(総支給額)「260,000円」で、雇用保険料率「0.3%」であれば、
260,000 × 0.3% = 780円
となります。
この金額が、「月額の雇用保険料」となります。
雇用保険の保険料額を試算してみる
次の条件で、計算してみます。
- 月額給与(総支給額) 295,800円
- 雇用保険料率(一般の事業) 0.3%
計算式にあてはめてみると、次のようになります。
295,800 × 0.3% = 887円(雇用保険)
ちなみに、計算結果に小数点以下が出た場合は、次のとおり処理します。(基本的には、健康保険料等と同じです)
被保険者負担額を源泉控除する場合
被保険者負担額の端数が、50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げとなります。
出典:和歌山労働局「雇用保険の被保険者負担額の端数処理について」
社会保険料は、原則、1年間変わらない
毎月の給与は残業手当等により変動しますが、社会保険料は、原則1年間変わりません。
改定時期は、「毎年9月分の保険料から」となっており、4~6月の給与(実際に支給された給与)をもとに「標準報酬月額」の見直しが行われます。
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ただ、雇用保険料については「毎月の給与総額」に「保険料率」をかけて算出するため、給与額の変動にあわせ、雇用保険料も変わってきます。
月額給与別 社会保険料額 早見表【概算】
社会保険料額が、パッと見でわかるように「早見表」にしておきます。
参考程度に、ご覧ください。
ちなみに、こんな条件でつくってあります。
- 被保険者(社会保険に加入している人)の負担額を表示
- 健康保険料率は、全国健康保険協会の平均値「10%」を使用
- 雇用保険料率は、「一般の事業」を使用
- 月額給与88,000~620,000円の範囲で作成
総支給額(月額給与)88,000円~300,000円
総支給額(月額給与)320,000円~620,000円
まとめ
ここで、「社会保険料額を計算するときのポイント」をまとめておきます。
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の計算
- 健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料額の計算手順は同じ
- 計算式は、「標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2 = 保険料額」
- 「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を使って、標準報酬月額と保険料率を確認する
- 「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」は、事業主との折半
雇用保険料の計算方法
- 雇用保険料の計算式は、「月額給与(総支給額)× 保険料率 = 保険料額」
- 雇用保険は「事業の種類」よって、保険料率が変わる
- 雇用保険に「標準報酬月額」という言葉はない
社会保険料の計算って、複雑で難しそうに感じるので敬遠しがちですが、1つずつ順を追って計算してみると結構単純なしくみなんですよね。
四則計算(足し算・引き算・かけ算・割り算)しか使いませんし。
興味があれば、給与明細を見ながら、社会保険料が間違っていないか計算してみてください。
結構、スッキリしますよ~(笑)
なお、
「賞与(ボーナス)の社会保険料って、どうやって計算するの?」
という人は、こちらの記事を。
⇒【賞与(ボーナス)】社会保険料の計算方法(手順)と保険料額早見表
また、「社会保険料の徴収ルール」については、こちらの記事をご覧ください。
⇒社会保険料の支払いルールとは?【入職月、退職月、2ヶ月分控除、日割り計算の有無】
⇒退職日と社会保険料(健康保険・厚生年金)の関係【いつ辞めるとお得?】
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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