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社会保険料の支払いルールとは?【入職月、退職月、2ヶ月分控除、日割り計算の有無】

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この記事では、

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料

の支払いのルールについてまとめています。

 

こんな人に読んでいただけると嬉しいです。

  • 今月の給料って、何月分の社会保険料を払っているの?
  • 社会保険料って、日割り計算があるの?(月の途中入職、途中退職など)
  • 退職月に、2ヶ月分の社会保険料が取られてるんだけど・・・
この記事は、医療・介護施設で、社会保険手続きを10年以上担当してきた経験をもとに書いています。

支払いルールは、「健康保険・厚生年金保険・介護保険」と「雇用保険」で分けて考える

社会保険加入者の場合、毎月の給与より「健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料」が、まとめて引かれています。

なので、

「4つとも同じ支払いルールなのかな?」

と思いがちですが、実は、支払いルールが違います。

 

そして、次の2つに分けられます。

  1. 健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料
  2. 雇用保険料
わかりやすくするため、分けて説明していきます。

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料の支払いルール

ポイントは、次の3つです。

  • 保険料は、今月支給される給与から、前月分が徴収される
  • 社会保険料は、日割り計算はなく、月単位で計算される
  • 保険料の支払いが発生するかどうかは、月末日の加入状況で判断する

 

それでは、1つずつ説明していきます。

保険料は、今月支給される給与から、前月分が徴収される

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、毎月の給与から、原則、前月分のみが徴収されています。

たとえば、「10/25の給与支給であれば、保険料は、9月分」ということです。

社会保険料の徴収については「何月分の給与か」は関係なく、「何月に支給された給与か」で判断されます。

 

ただし、月末に退職する場合には、一部例外(特例)があります。

 

それは、

「退職月の保険料は、その月の給与から徴収することができる」

ってことです。

 

わかりやすく、言い換えると、

「退職月の給与からは、前月分・当月分の2ヶ月分の保険料を徴収できる」

ってこと。

 

なので、基準内賃金が当月に支給されている会社などの場合で、

  • 10/31 退職
  • 10/25 給与日

という人は、「10/25の給与から、9月分・10月分の社会保険料を徴収してもいい」ということになります。

保険料を2ヶ月分徴収するかどうかは、会社ごとの給与規定などによって変わりますので、すべての月末退職者が対象になるわけではありません。(うちの場合は、最終給与の金額が少ない場合、2ヶ月分控除するようにしています)

 

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ちなみに、法的根拠は、次のとおりです。

健康保険法

(保険料の納付)

第百六十四条 

被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。

ただし、任意継続被保険者に関する保険料については、その月の十日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までとする。

(保険料の源泉控除)

第百六十七条 

事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

出典:健康保険法「電子政府の総合窓口 e-GOV」

厚生年金保険法

(保険料の納付)

第八十三条 

毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。

(保険料の源泉控除)

第八十四条 

事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

出典:厚生年金保険法「電子政府の総合窓口 e-GOV」

介護保険は、健康保険料とあわせて徴収されますので、同じルールです。

社会保険料は、日割り計算はなく、月単位で計算される

「退職月の社会保険料は、日割り計算ですか?」

と、月途中で退職する人に聞かれるのですが、社会保険料に日割り計算という考え方はありません。

 

なので、1日しか加入していなくても、1ヶ月分の保険料が徴収されることもありますし、逆に、25日間加入しているのに、1円もかからないってこともあります。

 

たとえば、こんな場合です。

  • 10/31入職者 ⇒ 10月分(1ヶ月分)の保険料の支払いが必要
  • 10/30退職者 ⇒ 10月分の保険料の支払い不要

 

なお、根拠としては、このとおり。

Q3:保険料はいつからかかりますか?

A3:保険料は加入した月から必要となります。

また、保険料は月単位で計算されるため、日割りでの保険料納付はできません。

加入が月初めでも月末でも同じ1ヵ月分の保険料を納めていただくことになります。

 

Q4:事業所を退職したときに給与から健康保険料を引かれています。2重払いではないですか?

A4:保険料は加入した月分は必要ですが、資格を喪失した月分は必要ありません。(加入した日と資格を喪失した日が同月の場合は、その月の保険料が必要です。)

事業所で控除された保険料と任意継続の保険料が2重払いになることはありません。

出典:全国健康保険協会「保険料について」

健康保険任意継続制度のQ&Aですが、同じルールです。

 

Q.月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。

A.お答えします

(1)月の途中から入社した場合

入社日にて厚生年金の被保険者資格を取得することとなります。保険料は月単位で計算しますので、資格取得した月の保険料から支払う必要があります。

保険料は、会社が被保険者に支払う給与から保険料相当額の被保険者負担分を直接控除し、会社負担分と合わせて翌月末までに国に納めますので、個人で納める必要はありません。

(2)月の途中で退職した場合

退職した日の翌日に厚生年金の被保険者資格を喪失することとなります。保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があります。

なお、月の「末日」に退職した場合は、翌月1日が資格喪失日となりますので、退職した月分までの保険料を納める必要があります。

この場合は、給与計算の締切日によって、退職時の給与から前月分と当月分の社会保険料が控除される場合があります。

(3)入社した月に退職をした場合

厚生年金保険の資格を取得した月にその資格を喪失した場合は、厚生年金保険料の納付が必要になります。

被保険者負担分の厚生年金保険料は退職時に給与から控除され、会社が会社負担分と被保険者負担分を翌月末までに納付することとなります。

ただし、厚生年金保険の資格を取得した月にその資格を喪失し、さらにその月に厚生年金保険の資格又は国民年金(第2号被保険者を除く。)の資格を取得した場合は、先に喪失した厚生年金保険料の納付は不要となります。

この場合、年金事務所から対象の会社あてに厚生年金保険料の還付についてのお知らせを送付します。

厚生年金保険料の還付後、被保険者負担分は会社から被保険者であった方へ還付することになります。

 

Q.月の中旬に退職したのですが、保険料は日割りで徴収されるのですか。

A.お答えします

年金の加入期間は、資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までとされています。

また、保険料は、加入期間の計算の基礎となる各月について徴収することとされているので、資格を喪失した月の保険料は徴収されません。

なお、資格を喪失した日は、退職された日の翌日となりますので、仮に4月30日に退職された場合には、資格を喪失した月は5月となります。

出典:日本年金機構「年金Q&A」

健康保険、厚生年金保険の資格喪失日とは、退職日の翌日のことをいいます。資格取得日は、入職日のことです。

保険料の支払いが発生するかどうかは、月末日の加入状況で判断する

社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料)は、日割り計算はせず、月単位で計算されるため、原則となる「徴収のルール」があります。

それは、

「月末日に、その保険に加入しているかどうかで、その月の保険料を徴収するか判断する」

ってことです。

 

つまり、「10月なら、31日にその社会保険に加入しているかが、保険料が発生するかどうかの判断基準」ってこと。

なので、

  • 10/31入職者 ⇒ 10月分(1ヶ月分)の保険料の支払いが必要
  • 10/30退職者 ⇒ 10月分の保険料の支払い不要

ということになるんです。

 

ただ、「10/30退職者 ⇒ 10月分の保険料の支払い不要」といっても、退職後に加入する健康保険側で保険料が発生するので、結局は「どっちで徴収するか?」の違いとなります。

 

もちろん、保険料額については、

  • 家族の扶養に入る
  • 国民健康保険に加入する
  • 転職先の社会保険に加入する

などにより、大きく変わってきますので、「どっちが得か?」は一概に言えませんが、少なくとも「退職後は、家族の扶養に入る」という人は、月末退職は避けた方がいいかもしれません。

保険料を減らしたいということであれば。

「退職日を月末の1日前にすると、給与の手取り額が増えてお得」と言われるのは、こういう理由からです。ただ、本当にお得かどうかは、慎重に判断する必要があると思います。

 

ちなみに、月末日にその社会保険に加入していない場合でも、保険料が1ヶ月分徴収される場合があります。

それは、「同月内に、資格取得と資格喪失を行ったとき」です。

たとえば、入職した月に、退職する場合などが該当します。

 

注意してどうにかなる問題だとは思いませんが、社会保険料をムダに多く払うことになるので、極力、避けることをオススメします。

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なので、給与支給の都度、保険料が徴収されます。

退職後に、給与支給がある場合も雇用保険料は徴収されます。

 

雇用保険料は、「健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料」と違い、ルールがわかりやすくていいですよね。

 

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健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料は、賞与に対してもかかってきます。

徴収のルールは、毎月の給与と同じですので、

  • 健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、月末日に保険に加入してなければ保険料はかからない
  • 雇用保険料は、賞与支給額に応じて計算される

となります。

 

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まとめ

ここで、「社会保険料の徴収ルール」についてまとめておきます。

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料

  • 今月支給される給与から、前月分が徴収される
  • 月単位で計算される(日割り計算はしない)
  • 保険料の支払いは、月末日の加入状況で判断する
  • 月末退職の場合、2ヶ月分の保険料が徴収されることがある
  • 同月内に、資格取得と資格喪失を行ったときは、月末に保険に加入していなくても1ヶ月分の保険料が徴収される

雇用保険料

  • 何月分という考え方はない
  • 給与支給ごとに、その「給与総額」に応じて保険料が徴収される

 

社会保険って、制度が複雑で取り扱いがごっちゃになりやすいです。

ただ、ある程度理解しておくことで、保険料を節約することができますので、苦手意識を持たず、じっくり読んでみることをオススメします。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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