この記事では、
- 有効求人倍率の意味と見方
- 有効求人倍率からみる「転職のしやすさ」と「人手不足の職種」
について紹介しています。
有効求人倍率は、厚生労働省が毎月発表している「雇用状況を表す1つの指標」で、労働市場の傾向(人手不足や仕事不足)を把握するのに非常に役立ちます。
転職を考えているなら、ぜひ、チェックしてみてください。
有効求人倍率とは、労働市場の「需給バランス」を表している
有効求人倍率とは、次の計算で算出されます。
有効求人数 ÷ 有効求職者数 = 有効求人倍率
【用語説明】
- 有効求人数:ハローワークにおける求人数(仕事の数)
- 有効求職者数:ハローワークにおける求職者数(仕事を探す人の数)
つまり、有効求人倍率とは、ハローワーク(公共職業安定所)で仕事を探す人1人に対し、何人分の求人(仕事)があるかを表している指標です。
有効求人倍率の具体的な見方
わかやすく一覧表にしておきます。
有効求人倍率 | 有効求人数 (何人分の仕事) |
有効求職者数 (仕事を探す人数) |
労働市場の動向 |
1.0 | 100人分 | 100人 | ちょうどいい |
1.5 | 150人分 | 100人 | 人手不足 |
0.5 | 50人分 | 100人 | 仕事不足 |
つまり、有効求人倍率が、
- 1.0を超えると、人手不足(労働者が足りない状態)
- 1.0を下回ると、仕事不足(失業者が増えていく状態)
となります。
2021年4月の有効求人倍率は「1.09」
2021年5月28日に厚生労働省が発表した有効求人倍率は「1.09」となっています。
「1.09倍」ということは、100人の求職者に対し、109人分の仕事がある状態です。
ちなみに、有効求人倍率は、景気などの影響を受けるため、
- バブルと言われた1973年は「1.76倍」
- リーマンショックがあった2009年は「0.47倍」
となっており、次のように大きく変動します。
職業別の有効求人倍率から「転職のしやすさ」と「人手不足の職種」がわかる
厚生労働省は、職業別の有効求人倍率も発表しています。
「2021年4月」は、こんな感じです。
職 種 | 有効求人倍率 (パートを含む) |
管理的業務 | 1.05 |
専門的・技術的職業 | 1.55 |
事務的職業 | 0.33 |
販売の職業 | 1.44 |
サービスの職業 | 2.21 |
保安の職業 | 5.22 |
農林漁業の職業 | 1.24 |
生産工程の職業 | 1.39 |
転送・機械運転の職業 | 1.73 |
建設・採掘の職業 | 4.65 |
運搬・清掃等の職業 | 1.26 |
グラフにすると職種による違いが、もっとはっきりします。
「事務的職業」以外は、すべて1.0を超えています。
つまり、「事務的職業」以外は、人手不足ってことになります。
逆にいえば、「事務的職業」は、超人気の職業と言えます。
だって、ほぼすべての職種で労働者が足りないのに、事務職だけは労働者(希望者)があふれてますので。
ちなみに、各職種の内訳は、次のとおりです。
【職種別有効求人倍率(2021年4月)】
有効求人倍率が高いのは、
- 建設躯体工事の職業 8.57
- 保安の職業 5.22
- 土木の職業 5.12
- 採掘の職業 4.60
- 建築・土木・測量技術者 4.58
の順となっており、人手不足がスゴイです。
なので、この職種で働きたいという人は、比較的、簡単に就職・転職できます。
また、有効求人倍率が低いのは、
- 美術家、デザイナー、写真家、映像投影者 0.23
- 一般事務の職業 0.26
- 鉄道運転の職業 0.34
- 事務用機器操作の職業 0.35
- 会計事務の職業 0.55
- 製造技術者 0.55
の順となっています。
これは、仕事を探している人数が、求人数を上回っている状態です。
なので、この職種は、就職・転職のハードルが高く、競争が激しい仕事となります。
人手不足が深刻な医療・介護業界の「有効求人倍率」
次に、僕が仕事をしている「医療・介護業界の有効求人倍率」を見てみます。
【2021年4月分】
職 種 | 有効求人倍率 (パートを含む) |
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 | 1.75 |
保健師、助産師、看護師、准看護師 | 1.79 |
医療技術者(理学療法士・作業療法士など) | 2.55 |
介護サービスの職業(施設介護員・訪問介護員) | 3.29 |
どの職種も、凄まじい人手不足です・・・
ちなみに、割合ではなく実数で見てみると。
職 種 | 有効求人数 | 有効求職者数 |
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 | 9,506 | 5,422 |
保健師、助産師、看護師、准看護師 | 92,691 | 51,751 |
医療技術者(理学療法士・作業療法士など) | 36,252 | 14,221 |
介護サービスの職業(施設介護員・訪問介護員) | 201,996 | 61,366 |
実数で見ると「介護サービスの職業」の人手不足が際立ちますね・・・
介護職の場合、有効求人倍率「3.29」ですので、100人の介護職員に対し、329人分の仕事があるってことになります。
もうちょっと、わかりやすく言うと、
「1人の介護職員を、3つ以上の事業所で取り合っている」
って感じです。
前向きに考えれば、「超人気の転職し放題の職種」となりますが、その反面、超激務になってしまう可能性を秘めています。
介護職員さんの場合、事業所(就職先)選びは、慎重に行ったほうが良さそうですね・・・
まとめ
ここで、「有効求人倍率」と「現在(2021年)の労働市場」についてまとめておきます。
- 有効求人倍率とは、仕事を探す人1人に対し、何人分の求人(仕事)があるかを表している指標
- 有効求人倍率が、1.0を超えると人手不足となり、1.0を下回ると仕事不足となる
- 現在の有効求人倍率は「1.09」であり、若干の人手不足になっている
- 「事務的職業」は超人気の職業
- 医療・介護業界は、ほぼすべての職種で強烈な人手不足となっている
結果、「事務的職業」以外の職種は、転職しやすい状況だと言えます。
もし、現在の職場に不満を感じているなら、有効求人倍率の状況からして、「転職するってことも、その不満を解消する有効な手段の1つ」になりますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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