一般的に、介護職員さんのキャリアアップと言えば、
「介護職員実務者研修 ⇒ 介護福祉士 ⇒ 介護支援専門員(ケアマネージャー)」
と考える人が多いかと思います。
ただ、最近は、この流れが「少しづつ変わってきたかも?」と感じています。
というのも、うちの施設では「介護支援専門員」の資格を持っているのに、介護職として働いている人いるからです。
そして、その人たちに、介護支援専門員として働かない理由を聞いてみると、
「給与が下がるから、ケアマネはやらない」
と言うのです。
僕からすれば、これって結構、衝撃的な出来事でした。
(僕は、介護支援専門員の資格を取得したら居宅介護支援事業所などで、ケアマネージャーとして働くのがあたりまえだと思い込んでいました)
そこで、この記事では、
「介護職から介護支援専門員に転職すると、給与は上がるのか?下がるのか?」
について、厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」をもとに、調べてみましたので、まとめておきます。
「介護職からのキャリアアップで悩んでいる人」に読んでいただけると嬉しいです。
介護支援専門員(経験年数1~4年)の基本給は、「月23万~25万円」が相場
介護職からケアマネージャーに転職した場合、ケアマネージャーとしての経験は「0(ゼロ)」ですので、給与についても、1からのスタートという所が多いかと思います。
ですので、厚生労働省の調査から、経験年数1~4年における、介護支援専門員の給与を調べてみました。
【介護支援専門員の平均給与(経験年数1~4年)】
(単位:円)
男性 | 女性 | |
所定内賃金(基本給) | 244,300 | 229,200 |
年間賞与 | 474,300 | 571,600 |
年収 | 3,405,900 | 3,322,000 |
介護職としてもらっている給与が、この金額より高い場合、介護支援専門員として働き始めると給与が下がってしまう可能性が高くなります。
ちなみに、厚生労働省の調査では、介護支援専門員さんの残業代等の平均手当額は、月額11,600円となっていますので、正確に比較するなら、この金額を考慮して計算してみてください。
介護職から介護支援専門員になるには、最短でも8年間かかる
2018年度(平成30年度)から、介護支援専門員の受験資格について、次の2点が変更になっています。
- 介護福祉士の資格が必要
- 実務経験期間は、国家資格等の登録がされた日以降から算入
つまり、介護職員さんが、介護支援専門員資格を取得するには、最短で
- 介護福祉士の取得に3年
- 介護支援専門員の取得に5年
かかるということになります。
このことから、介護職員さんの給与は、8年以上の経験がある人と比較するのが適切かと思います。
【関連記事】
介護支援専門員と介護職の給与比較(経験年数を考慮して)
そこで、
- 介護支援専門員(経験年数1~4年)
- 介護職(経験年数5~9年)
- 介護職(経験年数10~14年)
を比較してみました。
男性の場合
(単位:円)
職種 | 経験年数 | 所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 |
介護支援専門員 | 1~4年 | 244,300 | 474,300 | 3,405,900 |
看護補助者 | 5~9年 | 208,800 | 472,500 | 2,978,100 |
ホームヘルパー | 244,000 | 406,600 | 3,334,600 | |
福祉施設介護員 | 236,800 | 588,100 | 3,429,700 | |
看護補助者 | 10~14年 | 225,300 | 586,700 | 3,290,300 |
ホームヘルパー | 265,400 | 625,500 | 3,810,300 | |
福祉施設介護員 | 257,400 | 697,900 | 3,786,700 |
女性の場合
(単位:円)
職種 | 経験年数 | 所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 |
介護支援専門員 | 1~4年 | 229,200 | 571,600 | 3,322,000 |
看護補助者 | 5~9年 | 194,700 | 467,800 | 2,804,200 |
ホームヘルパー | 217,000 | 393,000 | 2,997,000 | |
福祉施設介護員 | 215,900 | 479,100 | 3,069,000 | |
看護補助者 | 10~14年 | 204,600 | 558,900 | 3,014,100 |
ホームヘルパー | 227,200 | 431,000 | 3,157,400 | |
福祉施設介護員 | 225,600 | 557,600 | 3,264,800 |
夜勤や残業などの各種手当を除き、基本給(所定内賃金)ベースで比較した場合、介護職としての経験が10年以上で、介護支援専門員に転職すると、給与が下がってしまう可能性が高くなりそうです。
たしかに、介護職員処遇改善加算などにより、介護職員さんの給与は、年々上がっていますので、ベテランの介護職員さんと、未経験の介護支援専門員では介護職員さんの給与が高くなるのは頷けますよね。
また、2019年10月から「介護職員等特定処遇改善加算」が導入されますので、今後は、ますますかもしれません。
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ちなみに、介護支援専門員さんと違い、介護職員さんは夜勤などの手当が多いため、実際には、もっと早い段階で「介護支援専門員に転職すると、給与が下がる」ってことが起こりそうです。
経験を積むことで、介護支援専門員の方が給与は高くなる
介護職としての経験が10年以上で介護支援専門員に転職すると、給与が下がってしまう可能性が高くなりますが、長い目で見れば、介護支援専門員として働いた方が給与は高くなります。
このとおり。(経験年数15年以上で比較しています)
男性の場合
(単位:円)
職種 | 経験年数 | 所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 |
介護支援専門員 | 15年以上 | 308,400 | 941,600 | 4,642,400 |
看護補助者 | 219,200 | 599,400 | 3,229,800 | |
ホームヘルパー | 259,600 | 572,500 | 3,687,700 | |
福祉施設介護員 | 283,200 | 860,000 | 4,258,400 |
女性の場合
(単位:円)
職種 | 経験年数 | 所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 |
介護支援専門員 | 15年以上 | 270,000 | 631,500 | 3,871,500 |
看護補助者 | 210,500 | 521,600 | 3,047,600 | |
ホームヘルパー | 231,900 | 611,300 | 3,394,100 | |
福祉施設介護員 | 242,500 | 655,500 | 3,565,500 |
介護職からのキャリアアップに「准看護師」という選択肢もあるよ!
「介護支援専門員の仕事がしたいんだ~」という、こだわりがないなら、介護職から准看護師へキャリアアップするという選択肢も、大いにありだと思います。
准看護師の資格は、通学期間が比較的短く、准看護師学校へ2年間(午後のみ)通うことで、受験資格を得ることができます。
また、准看護師学校の生徒は、ほぼ、100%社会人経験者のため、介護職からのキャリアアップには最適な環境です。
さらに言えば、病院の奨学金制度を利用することで、学費無料で准看護師資格が取得することも可能です。
介護職と比べ、給与も段違いですし、希望によって、准看護師取得後、看護師へのキャリアアップ(進学により)もできますので、仕事の選択肢が大きく広がります。
ぜひ、検討してみてください。
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病院の奨学金制度については、こちらの記事を。
なお、准看護師の平均給与は、次のとおりです。(参考までに)
男性の場合
(単位:円)
経験年数 | 准看護師 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 232,500 | 494,600 | 3,284,600 |
5~9年 | 255,600 | 612,300 | 3,679,500 |
10~14年 | 274,900 | 666,500 | 3,965,300 |
15年以上 | 289,700 | 800,200 | 4,276,600 |
女性の場合
(単位:円)
経験年数 | 准看護師 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 226,900 | 476,400 | 3,199,200 |
5~9年 | 237,300 | 564,700 | 3,412,300 |
10~14年 | 253,300 | 612,400 | 3,652,000 |
15年以上 | 265,100 | 716,400 | 3,897,600 |
【関連記事】
「看護師と准看護師って何が違うの?」という人は、こちらの記事を。
まとめ
ここで、「介護職からのキャリアアップ」についてまとめておきます。
- 介護職としての経験が10年以上の場合、介護支援専門員への転職時は、給与が下がってしまうことが多い(夜勤などの実施状況により)
- 経験を積むことで、介護支援専門員の方が給与は高くなる
- 准看護師という選択肢も検討したほうがいい
仕事を選ぶ基準は、給与だけではありませんが「今、貰っている給与より下がる」っていうのは、結構、抵抗感があるかと思います。
「頑張って勉強して、資格を取ったのに・・・」ってことにならないように、
- 何のために資格を取るのか?
- いずれ、どのくらいの給与が欲しいのか?
- 自分のやりたいことは、なんなのか?
- その資格の将来性は、どうなのか?
など、事前に考えたうえで、色々と調べておくことが必要かもしれないですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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