特定技能外国人(1号)の受入れをするには、「1号特定技能外国人支援(義務的支援)」を行わなければなりません。
「1号特定技能外国人支援(義務的支援)」とは、こんな内容です。
出典:出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
はっきり言って、これらの支援、かなりハードルが高いです。
なので、受入れ機関(特定技能所属機関)が行うのは、ほぼ無理だと思います。
そういった事情もあってか、「1号特定技能外国人支援」は、制度上、すべてを委託することができます。
当院でも、特定技能外国人「介護」の受入れを進めていて、「1号特定技能外国人支援」は、登録支援機関に委託しています。
そのとき、「1号特定技能外国人支援にかかる費用(交通費などの送迎費用)について、誰が負担するのか?」で問題になりました。
そこで、出入国在留管理局に確認を行いましたので、その内容について備忘録的にまとめておきます。
特定技能外国人の受入れを考えている人に、読んでいただけると嬉しいです。
1号特定技能外国人支援(義務的支援)に要する費用は、受入れ機関等が負担する
結論から言うと、
1号特定技能外国人に対して行われる各種支援に必要となる費用は、当該特定技能外国人に負担させることはできません。(直接的にも間接的にも負担させてはダメです)
なので、受入れ機関等(特定技能所属機関等)が負担することになります。
もちろん、登録支援機関への委託費用も負担させることはできません。
各種支援に必要となる費用とは?
1号特定技能外国人支援(義務的支援)に必要となる費用とは、具合的には、次のようなものです。
- 出入国の際の送迎に要する費用(当該外国人および同行者の交通費など)
- 通訳の人の費用
- 公的手続き等への同行費用(交通費等含む)
- 定期的な面談にかかる交通費等
義務的支援に要する費用負担における「特定技能所属機関等」の考え方
法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領(運用要領別冊)」に、こんな文章があります。
僕は、この文章の「特定技能所属機関等」という文言が気になりました。
それは何かというと、「特定技能所属機関等の「等」ってなに?」です。
つまり、何が言いたいかというと、
- わざわざ「等」を入れているってことは、出入国時の送迎に要する費用は、特定技能所属機関(受入れ機関)以外が負担してもいいんじゃないの?
- さらに言うと、特定技能外国人に負担させなければいいんでしょ?
ってことです。
ただ、現実的には、特定技能所属機関(受入れ機関)か登録支援機関のどちらかが負担することになると思うので、次のように、出入国在留管理局に確認しました。
【質問】
【回答】
まぁ、委託費(支援費)に含むってことは、結局は、受入れ機関が支払っていることになるんですけどね。
ただ、登録支援機関の担当者が、
「支援に要する費用(交通費など)は、受入れ機関が実費で支払うもの」
みたいなことを言うので、今回、きちんと確認しました。
1号特定技能外国人支援(義務的支援)に要する費用負担にかかる法的根拠
参考までに、根拠法令を載せておきます。
特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和3年10月)「出入国在留管理庁」
第2節 特定技能雇用契約の相手方の基準
第1 適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るもの
(11)支援に要する費用の負担に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第2条法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは、次のとおりとする。
八 法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする本邦の公私の機関にあっては、1号特定技能外国人支援に要する費用について、直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていること。
〇 1号特定技能外国人に対する支援に要する費用(運用要領別冊(支援)に定める「義務的支援」に係るものに限る。)は、本制度の趣旨に照らし、特定技能所属機関等において負担すべきものであることから、1号特定技能外国人に直接的又は間接的にも負担させないことを求めるものです。
【留意事項】
○ 「支援に要する費用」とは、1号特定技能外国人に対して行われる各種支援に必要となる費用(登録支援機関への委託費用を含む。)をいい、次のものを含みます。
- 事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情対応及び定期的な面談の実施に係る
通訳人の通訳費等 - 1号特定技能外国人の出入国時の送迎に要する交通費等
なお、住宅の賃貸料などの実費を必要な限度において本人に負担させることを妨げるものではありません。
特定技能制度に関するQ&A「出入国在留管理庁」
Q 77 支援の費用は誰が負担するのですか。
【A】受入れ機関が実施しなければならない支援については受入れ機関が負担しなければなりません。
Q 78 支援に要する費用について、受入れ機関が負担しなければならない範囲 を教えてください。
【A】法務省令に規定されている各支援事項については、1号特定技能外国人 支援計画に盛り込まなければいけない義務的な支援であり、これらの支援 を実施するに当たり要する費用については受入れ機関が負担しなければなりません。
Q 79 通訳人を確保する際の費用は誰が負担するのですか。
【A】通訳人の確保は受入れ機関が実施しなければならない支援に必要なものであることから、受入れ機関が負担しなければなりません。
Q 80 特定技能外国人を雇い入れるに当たり、往復の航空運賃は受入れ機関が負担しなければなりませんか。
【A】外国人が特定技能雇用契約の終了後に帰国に要する費用を負担することができない場合を除き、基本的に外国人本人が航空運賃を負担することとなります。
Q 81 出入国をする空港への送迎の交通費は誰が負担するのですか。
【A】外国人が出入国しようとする港又は飛行場において当該外国人の送迎をすることは、受入れ機関が義務的に実施しなければならない支援であることから、送迎の交通費については受入れ機関に負担していただくことになります。
1号特定技能外国人支援に関する運用要領(運用要領別冊)「法務省編」
(2)出入国する際の送迎
〔義務的支援〕
○ 入国する際については、1号特定技能外国人が上陸の手続を受ける港又は飛行場と特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)の間の送迎を行うことが求められます。
○ 出国する際については、1号特定技能外国人が出国の手続を受ける港又は飛行場まで送迎を行うことが求められます。
また、出国する際の送迎では、単に港又は飛行場へ当該外国人を送り届けるだけではなく、保安検査場の前まで同行し、入場することを確認する必要があります。
〔任意的支援〕
○ 入国する際の送迎については、技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更した外国人が既に本邦に在留している場合には当該支援の対象となりません。
ただし、この場合であっても、特定技能所属機関等の判断により、本邦内の移動について送迎を実施することや、本邦内の移動に要する費用を特定技能所属機関等が負担することとしても差し支えありません。
なお、送迎を実施しない場合には、当該外国人が円滑に特定技能所属機関まで到着できるよう、本邦における交通手段や緊急時の連絡手段を伝達しておくことが望まれます。
【留意事項】
○ 入国する際の送迎は、1号特定技能外国人が出入国しようとする港又は飛行場と特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)の間で送迎を行うことが必要ですので、送迎が過度な負担にならないよう、事前ガイダンスの機会を利用して、特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)の最寄りの港又は飛行場を案内するなど、出迎えに適した入国経路を決めておくことが推奨されます。
○ 出国する際の送迎を実施するに当たり、既に1号特定技能外国人が就労期間中に居住していた住居から退去している場合には、当該外国人の滞在先(ホテル等)の把握及び当該外国人と確実に連絡をとる手段の確保を行う必要があります。
○ 送迎が安全かつ確実に実施できる方法であれば、車両(社用車や自家用車)を利用して支援を実施するほか、鉄道やバス・タクシーなどの公共交通機関を利用して実施することも可能です。
ただし、特定技能所属機関から委託を受けた登録支援機関が、車両(社用車や自家用車)を利用して送迎を行う場合については、当該登録支援機関が道路運送法上の必要な許可を受けていなければ、道路運送法違反となる可能性が高いため、公共交通機関を利用してください。
なお、道路運送法の手続等については、国土交通省にお問合せください。
○ 1号特定技能外国人が出入国しようとする港又は飛行場と特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)等の間の送迎に要する費用(当該外国人及び同行者の交通費等)は、義務的支援に要する費用として、特定技能所属機関等が負担することとなります。
○ 出入国する際の送迎に係る支援には、一時帰国の際の出入国は含まれません。
まとめ
特定技能外国人支援の送迎費用(交通費等)は、当該外国人に請求はできません。
ただ、登録支援機関との委託費に含めることができるので、契約締結の際に、
- 委託費の中にどの費用まで含んでいるのか?
- 特定技能外国人を受入れしたあと、何の費用が発生するのか?
を、一覧表などで明確にしておいた方がいいかもしれないです。
あとになって、「これは、受入れ機関で払ってください」って言われても困りますからね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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