「俺は、調剤師じゃない!薬剤師だ!」
僕には、こんな言葉を発する「偏りまくった薬剤師の友人」がいます。
その友人は、どんなに給料が安かったとしても「病院以外じゃ、絶対に働かない!」という強烈なこだわりを持っています。
また、成長欲求(学びに対する欲求)がやたらと強く、しょっちゅう学会や研修会に参加し、自己投資に余念のない男です。
そんな「偏りまくった薬剤師の友人」に、
- 薬剤師の生き様
- なぜ、病院薬剤師なのか?
- 薬剤師としてのプライド
について聞いてみましたのでご紹介します。
「病院薬剤師のやりがいって、なんなの?」という人に読んでいただけると嬉しいです。
俺は、調剤師じゃない!薬剤師だ!
まず、彼が語った名言(強烈なメッセージ)から紹介します。
言わば、この記事の結論です。
- 俺は、薬剤師だから病院以外じゃ働かない
- 大病院での勤務は、学びの効率が悪い
- 医師は、薬のプロじゃない!薬のプロは、薬剤師だ!!
薬剤師の仕事って、大きくわけると、
- 病院
- 調剤薬局
- 製薬会社の営業(MR)
の3つだと思うんですが、
彼は、「病院以外は、薬剤師の仕事じゃない!!」と言います。
理由としては、
- 調剤薬局は、「調剤師」の仕事
- 製薬会社の営業(MR)に、薬剤師の資格は必要ない
という2つです。
詳しくは、次のとおりです・・・
調剤薬局は、調剤師の仕事!?薬剤師である必要はない
調剤薬局って、そもそも患者のカルテを見ないんだよ。
患者の病名や病状もわからないのに、その患者にとって「どの薬が一番適しているか」なんて、わからないでしょ!?
医師が処方した薬が、最良とは限らないし。
だから、「処方箋に書いてある薬を出すだけの仕事」なんて、薬剤師である必要ないんだよね。
実際、調剤薬局の職員は、調剤助手が多いし。
薬剤師なんて、管理薬剤師1人ぐらいじゃないの!?
と、言いたい放題・・・
そして、彼は、続けてこう言いました。
「俺は、調剤師じゃなくて、薬剤師なんだ。だから、病院でしか働かない。」
MR認定試験を受ければいい「MR」は、そもそも論外!?
高収入の代表格である、製薬会社の営業(MR)については、
- 薬剤師の資格は必要ない
- MR認定試験を受ければいい
- 薬剤師じゃなくて、営業さんでしょ!?
ってことで、そもそも論外。
考えたことすらないそうです・・・
薬剤師の仕事とは、患者に寄り添い、最善の医療を提供すること
「薬剤師の本来の仕事は、薬という手段を使って、患者さんの痛みや苦しみを取り除き(やわらげ)、患者さんに元気になってもらうこと」
だと、彼は言います。
また、彼は、
- 薬剤師個人の知識(力)なんて、たかがしれている
- だからこそ、色々な職種の知恵を集め「患者にとって最良とは何なのか」を試行錯誤する必要があるんだよ
とも言います。
つまり、その仕事ができるのは、患者と直接かかわり、医師や看護師などの多職種と連携できる病院しかないということなんです。
確かに、病院薬剤師の場合、
- 患者に直接接し
- 患者のカルテを見て
- 医師、看護師などの多職種の意見が聞け
- 最善の医療を提供する
という、チームによる医療提供が可能です。
彼が言う、
「薬剤師として、患者さんを元気にしたい」
という目的を果たすには、病院薬剤師しかないのかもしれません。
大病院での勤務は、学びの効率が悪い
彼は、成長欲求が強いため、「学びの効率(成長スピード)」についても独自の考えを持っています。
- 学びの効率が悪い「大病院」はオススメしない
- いろいろ学びたいなら、100~200床程度の病院がオススメ
- 薬剤師は、さまざまな経験を重ねることでしか成長しない
- 「イケテル薬剤師」になるには、患者さんのために学び続けるしかない
彼は、以前、大病院で働く薬剤師さんから、こんな話を聞いたそうです。
- 勤続20年で、注射剤の混注しかしたことがない
- 1日中、軟膏を練るだけということも多い
などなど。
つまり、薬剤師数の多い「大病院」の場合、
「ある特定の仕事に、偏ってしまい、他の仕事を学ぶ(経験する)ことができなくなる」
ということが起こるそうです。
さすがにこれだと、「学びの効率」は上がらないですよね・・・
でも、100~200床規模の病院であれば、薬剤師数は「3~5名程度」が一般的です。
薬剤師数が少ない分、みんなが何でもできなければならないのです。
そう、逆に言えば「何でも学べちゃう」ってことです。
また、 病院勤務の場合、自分の仕事の成果(効果)が、患者さんとの継続した関わりの中で、実感できるのもモチベーションに繫がると言っています。
だって、「患者さんが元気になったら嬉しいじゃん!?」と。
ちなみに、「大病院の勤務」について、僕も同じような話を聞いたことがあります。
- 1日中、一般撮影のボタンを押す放射線技師
- 心電計しかとれない検査技師
- 受付や、カルテ出ししかできない医事課職員
いろいろな職種の話を聞く限り、
「100~200床規模の病院が、何でもやれて学びの効率がいいのかもな~」
って思います。
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医師は、薬のプロじゃない!薬のプロは薬剤師だ!!
彼は言います。
- 医師だって、人なんだよ
- 人なんだから、すべてに対して完璧なんてありえない(間違うことだってある)
- 実際、医師によって、知識や能力のバラつきがスゴイし
つまり、医師は、医療職の中では「オールマイティー的な存在」だけど、1つ1つの分野に関しては、薬剤師や看護師等の専門職にはかなわないってこと。
そして、彼は、こう続けました。
だから、病院勤務がおもしろいんだよね。
だって、医師に対し、薬剤の相談や提案をすることで、患者価値を高めることができるんだからさ~
結局、医師は薬のプロじゃないんだよ、薬のプロは薬剤師なんだよ。
これは、そのまま医師に言っちゃうと、すっごく怒られちゃいそうなやつですね・・・(笑)
調剤薬局は、経営管理が学べる
僕には、調剤薬局で働く薬剤師の友人もいるので、彼の反論を少し紹介しておきます。
- 調剤薬局では、管理薬剤師として経営管理を学ぶことができる
- 病院で勤務していても、それは学べない
「薬剤師として、何をしたいのか?」
これが職場選びの大きな要素になりますね。
ただ、経営管理を学びたいなら、薬剤師じゃなくてもいい気がするのは僕だけでしょうか・・・
まとめ
ここで、「偏り系薬剤師」の主張をまとめておきます。
- 調剤薬局は、調剤師の仕事(薬剤師である必要はない)
- MRに、薬剤師の資格は必要ない
- 薬剤師の仕事とは、患者に寄り添い、最善の医療を提供すること
- 100~200床程度の病院で、「学びの効率」を最大化しろ
- 患者価値を最大化するため、多職種の衆知(みんなの知恵)を集めろ
- 患者さんの喜びを、自分のモチベーションに変えろ
- 忙しすぎる医師を徹底的にフォローしろ(薬剤師は薬のプロ)
彼の主張に対して、違う意見をお持ちの方も多いかもしれませんが、僕としては、
「患者さんに対し、強烈な温度を持った仲間と一緒に働けるのはすっごく幸せだな~」
って思います。
温度差があると、仕事ってつまらなくなっちゃうんで。
なお、この記事を読んで、少しでも彼の主張に心が揺さぶられたなら、病院薬剤師という生き方を検討してみてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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