退職手続きって、そんなに多く経験するものじゃないですよね。
なので、「仕事を辞めたいな~」って思ったときに、何をすればいいかわからないって人が多いかと思います。
また、会社によっても、退職意思を伝えるタイミングだったり、提出書類などに違いがあるため、なかなか把握しづらいです。
そこで、この記事では、「退職するときに必要となる手続き」についてまとめておきます。
「退職を考えてる」という人に、読んでいただけると嬉しいです。
手続きについて、ある程度理解しておくと、気持ち的にも退職のハードルを下げることができますので。
退職手続きの全体の流れ
一般的な退職の流れは、次のようになります。
- 退職の意思表示
- 退職届の提出
- 手続き書類の案内(人事労務担当者から)
- 健康保険証などの返却(原則、退職日以降)
- 離職票などの受け取り(退職後に受け取るもの)
それでは、1つずつ説明していきます。
退職の意思表示
まずは、これをしないと始まりません。
「〇月〇日に、退職したい」と、直属の上司に相談しましょう。
意思表示のタイミングは、法律上「退職日の2週間前まで」とされていますので、たとえば、
- 10月31日退職を希望する場合は、退職月の18日まで
- 10月20日退職を希望する場合は、退職月の7日まで
となります。
根拠としては、このとおり。
第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
ただ、円満退職を考えるなら、会社の就業規則に定められている期間を守ることをオススメします。
いきなり「2週間後に辞めます」って言われると、上司も困っちゃいますので。(人材確保や引継ぎなど、色々と考えないといけないですから)
なので、退職の意思表示の前に「就業規則を確認」しておきましょう。
そして、期間ギリギリではなく、余裕をもって、上司に意思を伝えるようにしましょう。
ちなみに、退職については、会社側の承認は必要ありませんので、
「会社が、退職させてくれない」
みたいな話をよく聞きますが、本来は違法です。
退職届の提出
上司へ退職意思を伝えたら、退職届を提出します。
退職届は、会社によっては、様式を用意してあるところもあります。
なので、会社の人事労務などの担当者に確認してみるといいと思います。
もし、決まった様式がないなら、
- 退職日
- 退職理由
などを記載し、サクッと作っちゃいましょう。
こんな感じに。(参考までに)
手続き書類の案内(人事労務担当者から)
退職届を提出すると、人事労務などの担当者から退職手続き(書類など含む)について案内があると思います。
退職手続きは、会社によって多少の違いがありますので、ここでは、「うちの職場で、案内・確認をしているもの」について紹介しておきます。
【退職手続きにおける、主な案内および確認事項】
- 退職日および最終勤務日の確認
- 有給休暇の取得確認
- 給与明細送付先の確認
- 健康保険証の返却依頼(扶養親族がいる場合は全員分)
- 社会保険料2ヶ月分の徴収の案内(月末退職の場合)
- 雇用保険被保険者離職証明書(いわゆる、離職票)の発行希望の確認
- 退職後、どの健康保険に加入するか?(国保、社保など)
- 住民税一括徴収の案内(1~4月退職者の場合)
- 企業型確定拠出年金の手続きの案内
- 職員証、タイムカード、ロッカーの鍵などの返却依頼
うちの場合は、これらの案内・確認を行い退職時に渡す書類の準備などを行います。
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健康保険証などの返却(原則、退職日以降)
無事に退職日を迎えたら、会社から貸与されていた備品や健康保険証など返却します。
たとえば、こんなものです。
- 健康保険証(被扶養者がいる場合は、全員分)
- 職員証
- タイムカード
- 鍵(ロッカー、デスクなど)
- ユニフォーム(クリーニング済みのもの)
- 名刺やノートパソコンなど
ちなみに、有休消化がある場合などは、最終勤務日に返却しちゃってもOKです。
ただ、健康保険証については、退職日まで利用できますので、先に返却しちゃうと体調を崩したときなど、医療機関に受診できなくなっちゃう場合があるので注意が必要です。
離職票などの受け取り(退職後に受け取るもの)
退職時に受け取り忘れると、失業保険の申請や転職先での入職手続きができなくなる場合があります。
必ず、確認しておきましょう。
【退職後に、会社から受け取るもの】
- 年金手帳
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 退職証明書
- 雇用保険被保険者離職証明書
ざっくりではありますが、各書類について、1つずつ説明しておきます。
年金手帳
年金手帳とは、こんなやつです。(オレンジ色のものもあります)
社会保険加入者については、原則、入職時に会社へ提出しているはずです。
年金手帳は、入職手続き後、
- 本人へ返却する
- 会社側で保管する(預かる)
という会社があります。
もし、手元に年金手帳がない場合は、会社側で保管していないか確認するようにしてください。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証とは、こういうやつです。
出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
年金手帳と同様に、社会保険加入者については、原則、入職時に会社へ提出しているはずです。
こちらも入職手続き後、
- 本人へ返却する
- 会社側で保管する(預かる)
という会社がありますので、もし、手元に雇用保険被保険者証がない場合は、会社側で保管していないか確認するようにしてください。
源泉徴収票
源泉徴収票とは、
- 会社から支払われた給与の金額
- あなたが支払った所得税の金額
などが記載された書類です。
こんなやつです。
源泉徴収票は、転職先で、必ず、提出を求められます。
また、確定申告を行うときにも、収入などを把握するのに必要となりますので、必ず、受け取ってください。(確定申告書への源泉徴収票の添付は、2019年分以降不要となりました)
源泉徴収票は、所得税法で「退職後、1ヶ月以内に交付すること」とされていますので、もらえないということはないと思いますけどね。
(源泉徴収票)
第二百二十六条
居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(第百八十四条(源泉徴収を要しない給与等の支払者)の規定によりその所得税を徴収して納付することを要しないものとされる給与等を除く。以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。
ただし、財務省令で定めるところにより当該税務署長の承認を受けた場合は、この限りでない。
出典:所得税法「電子政府の総合窓口 e-GOV」
ちなみに、もし、前職の源泉徴収票を会社に提出していた場合は、その源泉徴収票も返却してもらってください。
前職の源泉徴収票も転職先で、必ず、提出を求められます。
退職証明書
退職証明書は、退職後の健康保険の手続きに必要な書類です。
たとえば、
- 国民健康保険に加入するとき(市役所や役場の窓口で手続きします)
- 家族の扶養に入るとき
などに使用します。
ちなみに、退職後、1日の空白もなく、転職先の社会保険に加入する場合は、不要であることが多い書類です。
雇用保険被保険者離職証明書(いわゆる、離職票)
離職票は、失業保険などの給付を受けるときに必要な書類です。
こんな書類です。
【離職票1】
出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
【離職票2】
出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
会社(職場)によってばらつきはありますが、退職時に「離職票」の発行依頼をしているのであれば、2~3週間程度で「離職票」が届くはずです。
離職票は、希望者にしか発行されませんので、次の職場が決まっていない人は、必ず発行依頼をしておきましょう。
そして、離職票が届き次第、ハローワークに行って、手続きを行いましょう。
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まとめ
ここで、「スムーズに退職するときのポイント」について、まとめておきます。
- 退職の意思表示のタイミングは、会社の就業規則に定められている期間を守る
- 退職については、会社側の承認は必要ない
- 上司へ退職意思を伝えたら、さっさと退職届を提出する
- 人事労務担当者の確認項目に答えられるようにしておく
- 健康保険証が利用できるのは、退職日まで
- 失業保険などの給付を考えている人は、必ず、離職票の発行依頼をしておく
退職って、申し出(意思表示)するだけでも、かなりのエネルギーを使うのに、手続きも結構めんどうなんですよね。
しかも、必ずと言っていいほど、上司は退職を止めてくる。(もはや、セオリーですよね・・・)
会社によっては、「退職させない」みたいなところもある。
本来は、退職の申し出を、会社側は拒むことができないはずなのに・・・
なので、もし、あなたが「退職するためのエネルギー」を使い果たしてしまったなら、無理をせず、そこから逃げ出すことをオススメします。
現在は、退職代行なんていう便利なサービスもありますので、会社との間に入って、手続きを代行(支援)してくれます。
そもそも、体を壊してまで、頑張らないといけない仕事なんてありませんからね。
もちろん、円満に退職するのが一番だと思いますが。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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