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保育士の離職率はどのくらい?【公立・私立別の年間推移、全産業平均との比較】

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保育士というと、

  • 給与が安い
  • 休みが取れない(取りづらい)
  • 勤務時間が長い(サービス残業が多い)

という意見をよく耳にします。

 

なので、「離職率は、当然、高いんだろうな~」って思っていたんですが、調べてみたら、ぜんぜんそんなことありませんでした。(高いどころが、逆に、低いぐらい)

 

そこで、この記事では、保育士さんの離職率について、備忘録的にまとめておきます。(せっかく調べたので)

 

こんな人に読んでいただけると嬉しいです。

  • 保育士の離職率は高いと思っている人(僕みたいに・・・)
  • 全職種(全産業)平均と比べると、どのくらい違うの?
  • 離職率って、上がっているの?下がっているの?
  • 公立保育所と私立保育所で違いはあるの?
この記事で紹介している各種データ(グラフ)は、厚生労働省の「雇用動向調査」「社会福祉施設等調査」をもとに、僕が作成したものです。なので、参考程度にご覧ください。
また、引用させていただきました表などについては、記事の中で明記しています。

保育所等で働く、保育士(常勤)の離職率は、9.0%【2017年】

まず、結論です。

  • 保育士の離職率は、全職種の平均と比べて、ぜんぜん高くない
  • 離職率は、公立「5.8%」、私立「10.6%」で、かなりの違いがある
  • 離職率は、下がっているのに、潜在保育士は増え続けている

 

それでは、1つずつ説明していきます。

保育士の離職率は、全職種の平均と比べて、ぜんぜん高くない

2017年の保育士(保育所等で働く、常勤職員)の離職率は「9.0%」です。

2017年における全職種(全産業)の常勤職員の平均は、「11.6%」ですので、「2.6%」も低いことになります。

このとおり。

常勤職員における離職率の推移(保育士・全職種の比較)

 

このデータから、「保育士の離職率は高い」というのは、「処遇が良くない = 離職率が高い」という先入観によるイメージかな?って思いました。

 

また、このグラフからわかるとおり、保育士の離職率は、年々、下がってきています。

これは、「処遇改善等加算などによる、保育士の処遇改善の取り組みによる効果が出てる」ということなのかもしれません。

保育士の離職率は、公立「5.8%」、私立「10.6%」で、かなりの違いがある

保育所に限った話ではありませんが、保育所にも、公立と私立があります。

公立とは、いわゆる公務員ってやつです。

 

公務員の人気は、かなりのものがあるので、離職率にも大きな違いが出ています。

このとおり。

常勤保育士の離職率の推移(2012年から2017年)

 

2017年では、私立「10.6%」に対し、公立は「5.8%」です。

圧倒的な差ですよね・・・

 

また、2012年から2017年の期間で比較しても、どの年においても同等の差がありますので、公立の保育所の人気がスゴイことがわかります。

保育士として働くなら、公立なのかもしれません。

 

ただ、公務員の求人は、かなり少ないため、公立の保育園で働くなら、「派遣保育士」という選択もありだと思います。

多くの公立保育園で、派遣保育士の受入れをしていますので。

保育士の離職率は、下がっているのに、潜在保育士は増え続けている

調査時期の多少のズレはありますが、潜在保育士(保育士資格を持っているが、保育士として勤務していない人)は、増え続けています。

こんな感じで。

登録された保育士と勤務者数の推移(厚生労働省)

出典:厚生労働省「保育士等における現状」

 

僕としては、

「離職率が下がっているのに、なんで?」

と思ったんですが、次の2つのデータを見て納得しました。

 

【データ1】

保育士養成施設で保育士資格を取得しいて卒業したものの就職先

出典:厚生労働省「保育分野における人材不足の原因・理由」

 

保育士の学校を卒業し、資格を取得した人のうち、約半数は保育所に就職していません。

 

【データ2】

保育資格保有求職者における保育士職種の就業を希望する割合(厚生労働省)

出典:厚生労働省「保育分野における人材不足の原因・理由」

 

保育士資格を有するハローワーク求職者のうち、約半数は保育士としての就業を希望していません。

 

つまり、どういうことかと言うと、

  • そもそも保育士資格を取得しても、保育士をやらない人
  • 「保育士として働いてみたけど、もう保育士の仕事はいいや・・・」という人
    ⇒保育士の仕事で再就職しない人

が多いってことは、保育士として退職する人が少なくなるってことなので、結果、離職率が高くならないってことなんです。(あくまでも、僕の考えです)

 

逆に言えば、

「保育士を続けたいと思っている人は、あまり退職せず、勤務し続けている」

ってことなのかもしれません。

 

そういう意味では、保育士における離職率は、保育士の働き方を見る時には、あまり意味のないものになってしまっている気がします。

また、潜在保育士が増加しているのに、離職率が低いという状況からすると、ブラックな環境で我慢しながら働き続けている保育士さんも多いのかもしれません。

 

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まとめ

ここで、「保育士さんの離職率」について、おさらいです。

  • 2017年の保育士(常勤)の離職率は、9.0%で、年々下がっている
  • 保育士の離職率は、公立「5.8%」、私立「10.6%」で、かなりの違いがある
  • 離職率は、比較的低いのに、潜在保育士は増え続けている
  • 保育士資格を有する求職者のうち、約半数は保育士としての就業を希望しない
  • 保育士の離職率は、あまり意味のない数値になっている?

 

待機児童問題や幼児教育・保育無償化により、保育士さんの人材不足は、かなり大きな問題になっています。

その背景には、潜在保育士の多さがあります。

 

もし、僕が感じたように、潜在保育士が多くなることで、離職率が下がっているのだとしたら、保育という業界にとって一番大切なのは、

「離職率の低さ(転職が少ない)ではなく、離職率は多少高くても、保育士という仕事を辞めない業界づくり」

かもしれません。

「職場や待遇などへの不満があって、退職はしたけど、また、保育士をやりたいな~」という。

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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