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認知症で困ったときの相談窓口「地域包括支援センター」の役割と利用方法

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ケアマネ、相談、地域包括

「もしかして、認知症かも?」

「介護が必要な家族に、どう関わればいいの?」

みたいに、悩んでいる人って、結構、多いと思います。

 

僕自身も、祖母が認知症になり、家族(父親など)と一緒に「どうしたら、いいんだろう?」と考えたことがあります。

僕は、医療・介護業界で働いていますが、実際に自分事となるとやっぱり悩みますね。

 

国は、そんな方々を支援する仕組みとして、「地域包括支援センター」というのを各市町村に設置しています。

 

地域包括支援センターは、原則、市町村が設置主体となり、高齢者の医療・介護・福祉などについて、総合的に相談を受け付ける窓口のことです。

地域包括支援センターには、専門知識を持った

  • 保健師
  • 社会福祉士
  • 主任介護支援専門員

の3職種(有資格者)が配置されており、それぞれの専門性を活かし、高齢者などの支援を行っています。

利用(相談・支援)は、もちろん、無料なため、活用しないのはもったいないです。

 

そこで、この記事では、「地域包括支援センターの役割や利用方法など」について、まとめておきます。

「認知症の家族などの件で悩んでいる」という人の参考になれば嬉しいです。

地域包括支援センターの役割・業務内容

地域包括支援センターは、地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援するため、次の4つの業務を行います。

  • 介護予防ケアマネジメント事業
  • 総合相談・支援事業
  • 権利擁護事業
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援事業

 

こんな感じです。

地域包括支援センターについて(厚生労働省)

出典:厚生労働省「地域包括支援センターの概要」

 

それでは、各業務(事業)について、1つずつ説明していきます。

介護予防ケアマネジメント事業

要介護状態などになる可能性が高い人(65歳以上)を対象に、要介護状態等になることを予防するため、その心身の状況等に応じて対象者自らの選択に基づき、必要な援助を行います。

具体的には、

  • 介護予防ケアプランの作成
  • 介護予防ケアプランに基づく、介護予防サービスなどの利用調整

などです。

 

また、介護予防サービスには、

  • 栄養改善
  • 口腔機能改善
  • 認知症機能の低下予防
  • 運動機能の向上

などを目的とした様々なサービスがあり、地域包括支援センターが対象者の状態に応じて介護予防ケアプランに組み込んでいきます。

総合相談・支援事業

住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるようにするため、どのような支援が必要かを把握し、地域における適切なサービス、関係機関および制度の利用につなげるなどの支援を行います。

相談内容として多いのは、

  • 介護保険、介護予防
  • 在宅療養
  • 認知症
  • 医療、福祉、保健サービス

などについてですが、高齢者に関することなら、なんでも相談できます。

それこそ、「どこに相談したらよいか分からない」などの心配ごとや悩みもOKです。

 

ちなみに、相談件数は、どんどん増えています。

なので、気軽に利用してみてください。

地域包括支援センター相談件数の推移(厚生労働省)

出典:厚生労働省老健局「地域支援事業等の更なる推進」

 

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権利擁護事業

地域において、安心して尊厳のある生活を行うことができるよう、専門的・継続的な視点からの支援を行います。

つまり、「その人が持つ、さまざまな権利を守る」ってことです。

 

具体的には、

  • 成年後見制度の活用促進
  • 老人福祉施設等への措置の支援
  • 高齢者虐待への対応
  • 困難事例への対応
  • 消費者被害の防止

などになります。

包括的・継続的ケアマネジメント支援事業

主治医と介護支援専門員との連携はもちろん、さまざまな職種、地域の関係機関との連携を図り、
個々の高齢者の状況や変化に応じた包括的・継続的なケアマネジメントを実現するため、介護支援専門員に対する後方支援を行います。

 

具体的には、次のようなものです。

  • 地域ケア会議の開催
  • 介護支援専門員への個別指導、相談
  • 支援困難事例などへの指導、助言

 

ちなみに、地域ケア会議とは、課題解決に向け、多職種の知恵を出しあう会議のことです。

地域ケア会議とは

出典:厚生労働省老健局「地域支援事業等の更なる推進」

地域包括支援センターの利用方法

地域包括支援センターは、全国の各都道府県に5,000か所以上設置してあり、対象地域に住んでいる人なら利用可能です。

本人はもちろん、支援対象者(本人)の家族、近所の方も相談できます。

 

なので、まずは、住んでいる地域の地域包括支援センターを検索してみましょう。

検索は、厚生労働省のホームページから簡単にできます。

厚生労働省「全国の地域包括支援センターの一覧」

全国の地域包括支援センター一覧(厚生労働省)

 

最寄りの地域包括支援センターがわかったら、連絡して、相談してみましょう。

保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員とは?

地域包括支援センターには、専門知識を持った

  • 保健師
  • 社会福祉士
  • 主任介護支援専門員

の3職種(有資格者)が配置されています。

3職種の配置が難しい場合は、経験のある看護師などが配置されている場合もあります。

 

保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員は、それぞれの専門性を活かしながら、分担して高齢者などの支援を行っています。

 

各職種の専門性(職種による主な仕事)は、次のようになります。

保健師

保健師とは、保健、医療、福祉、介護などの分野で、乳幼児から高齢者までのすべての住民を対象に必要な保健サービスを提供(支援)する職種です。

 

主に、自治体(保健所や市区町村など)で勤務することが多く、

  • 生活習慣病対策
  • 保健指導
  • 母子保健対策(乳幼児健診など)
  • 健康相談

などを行っています。

 

保健師の資格は、看護師免許と保健師免許、2つの国家資格の取得が必須条件になっているため、保健師として働いているってことは、看護師としての知識も持ち合わせているということになります。

 

ちなみに、「保健師助産師看護師法」では、保健師を次のように定義しています。

保健師助産師看護師法

第二条 この法律において「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。

第七条 保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

社会福祉士

福祉などに関する専門知識を活かし、社会生活に困難や支障のある人々の相談に乗ったり、社会的支援を行う職種です。

具体的には、高齢者、障がい者、ひとり親、生活困窮者等を対象に相談・支援業務及び関係機関との連絡・調整を行い、問題解決にあたります。

 

社会福祉士の資格は、社会福祉士の国家試験に合格し、登録を受けることで資格を得ることができます。

 

ちなみに、法令上では、社会福祉士を次のように定義しています。

社会福祉士及び介護福祉士法

(定義)

第二条 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。

(社会福祉士の資格)

第四条 社会福祉士試験に合格した者は、社会福祉士となる資格を有する。

主任介護支援専門員

介護支援専門員の資格を取得し、また、介護支援専門員としての経験年数が5年以上ある人などが、専門の研修を受けることで取得できる資格です。

研修の内容としては、次のとおりです。

他の保健医療サービス⼜は福祉サービスを提供する者との連絡調整、他の介護⽀援専⾨員に対する助⾔、指導その他の介護⽀援サービスを適切かつ円滑に提供するために必要な業務に関する知識及び技術を修得することを⽬的として⾏われる研修

 

ちなみに、介護支援専門員(ケアマネージャー)の業務は、次のようなものです。

介護保険制度とともにスタートした職業で、ケアマネジャーともいう。

介護を必要とする人に対して個々のニーズに応じた介護サービスを提供するために、アセスメント(課題分析)を行い、どのような介護サービスが必要であるかを判断し、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成する。

市町村から「要介護認定調査」を委託された場合、その調査を行い、結果を報告する。  介護保険の利用者が在宅の場合には、利用者に面接して食事、入浴、排泄など日常生活の状況を把握し、在宅で暮らすための利用者毎の目標を立てる。

サービスの種類や使用頻度を選択したり、組み合わせたりして、ケアプランを作成する。このプランに基づいて、ホームヘルプやデイサービスなどのサービス事業者に、サービスの実施を依頼する。

サービス開始後、定期的に家庭訪問して利用者の状況を把握し(モニタリング)、サービスが思うように成果を上げていない場合、また、利用者の状態が変化した時はプランの修正を行う。

プランに基づくサービスの実績を保険者(市町村)に報告する。

また、要介護認定の更新時に、ケアプランを変更する場合、「サービス担当者会議」を開催し、ケアプランの内容(利用サービス内容や利用頻度)を協議する。

利用者が、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などに入所している場合は、ケアプランの内容がやや異なる。

ケアプランを作成する点では同様であるが、利用するサービス事業者を選択するのではなく、入所施設内のサービスをいかに利用するか、という観点でプランを作成する。

出典:厚生労働省「職業情報提供サイト」

 

こんなイメージです。

ケアマネジメントの流れ(厚生労働省)

出典:厚生労働省老健局「地域支援事業等の更なる推進」

まとめ

ここで、「地域包括支援センター」について、おさらいです。

  • 高齢者における医療・介護・福祉などの総合相談窓口
  • 「介護予防ケアマネジメント事業」「総合相談・支援事業」「権利擁護事業」「包括的・継続的ケアマネジメント支援事業」の4つの業務を行う
  • 利用は、住んでいる地域の地域包括支援センターへ連絡
  • 保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種が配置されている

 

認知症患者は、どんどん増加しており、今後も増え続ける見込みです。

国の推計だと、こんな感じ。

認知症患者数と有病率の将来推計

出典:内閣府「平成29年版高齢社会白書」

 

そういったこともあってか、介護施設もどんどん増えています。(国も推進しています)

こんな感じです。

介護施設等の定員数(病床数)の推移

出典:内閣府「令和3年版高齢社会白書」

特に、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホームの増え方がスゴイです。

 

地域包括支援センターでは、介護施設についての相談もできますので、

  • 認知症で、介護施設に入所できるの?
  • どんな施設(種類)があるの?

ってときは、気軽に利用してみてください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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こう

医療・介護業界で経営管理の仕事をしながら、ブログ「まいぼた」を書いています。

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