介護職員さんのキャリアアップといえば、「介護福祉士」というイメージをもっている人が多いと思います。
たしかに、僕もそう思っていました。
ただ、最近は、「ちょっと、変わってきているかも?」と感じています。
というのも、厚生労働省が行っている「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」によると、
- 准看護師試験の合格率は、かなり高い
- 准看護師学校の合格率が上がっている
- 受験者が減ったことにより、定員割れが起きている
からです。
つまり、「准看護師になりやすくなっている」ってことです。
そこで、この記事では、「介護職のキャリアアップとして、介護福祉士と准看護師、どっちの資格を取るべきか?」について、
- 資格取得にかかる費用
- 資格取得にかかる時間
- 資格取得後の給与
を比較してみました。
「介護職として働いている人」や「どんな資格を取ろうか悩んでいる人」に読んでいただけると嬉しいです。
准看護師資格の方が、費用対効果が大きい
結論ですが、僕としては、准看護師資格の取得をオススメします。
理由としては、次のとおりです。
- 奨学金制度の利用により、学費が無料になる
- 2年間という短期間で取得可能
- 資格試験の合格率が高い
- 資格取得後の給与が高い
ちなみに、比較表は、こんな感じです。
准看護師 | 介護福祉士 | |
受験資格 | 准看護師学校(養成所)卒業 | 実務経験と実務者研修の修了 |
資格取得の費用 | 150~170万円 (奨学金利用で無料) |
10~20万円 (教育訓練給付金で20%補助) |
資格取得の期間 | 2年間(通学) | 3年間(実務経験) |
資格試験の合格率 | 95.6% | 69.9% |
平均年収 | 4,030,400円 | 3,465,700円 |
それでは、1つずつ説明していきます。
准看護師資格は、奨学金制度の利用により、学費が無料になる
准看護師の受験資格を得るには、学校(養成所)へ2年間、通う必要があります。
通学には、もちろん、学費がかかります。
僕の経験知ではありますが、准看護師学校(養成所)の学費は、2年間で「150~170万円」程度です。
一方、介護福祉士の場合は、
- 実務経験 3年以上
- 実務者研修の受講
の2つを満たすことにより、受験資格を得ることができます。
こんなルートです。
【介護福祉士の資格取得ルート図】
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
実務者研修の受講料は「10~20万円」程度のため、准看護師と比べるとかなり安く済みます。
この金額だけ比較しちゃうと、「准看護師の150万円とか、払えないから!」となっちゃうと思います。
ただ、病院の多くは准看護師の資格取得に対し「奨学金制度」を設けていますので、学費や生活費の負担を軽減できるようになっています。
また、病院の奨学金制度は、「返済の免除規定」を設けているところが多いため、一定の条件を満たすことにより、奨学金の返済は不要になります。
つまり、学費は無料になるってことです。
ちなみに、実務者研修は「教育訓練給付金」の利用で受講費の20%が補助されますが、無料にはなりません。(笑)
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准看護師資格取得のための奨学金については、こちらの記事を。
准看護師資格は、2年間という短期間で取得可能
准看護師資格は、「准看護師学校(養成所)」への通学というハードルはありますが、2年間という短期間で取得できます。
授業時間(履修時間)としては、
- 基礎科目 105時間以上
- 専門基礎科目 385時間以上
- 専門科目 665時間以上
- 臨地実習 35時間以上
で、総時間数「1,890時間以上」となります。
一方、介護福祉士は、実務経験として、
- 従事期間 3年(1,095日以上)
- 従事日数 540日以上
に2つを満たしたうえで、実務者研修を修了する必要があります。
実務者研修は、持っている資格(初任者研修など)によって受講時間が変わりますが、無資格者の場合、「450時間」になります。
また、実務者研修の場合、希望により、ほとんどの科目を自宅学習で行えますが、1週間程度の通学は必要です。
通学期間と実務経験期間では、比較対象が違うので、一概にどっちが良いとは言えませんが、単純な資格取得までの期間としては、准看護師の方が圧倒的に短いです。
ちなみに、准看護師学校(養成所)に通う2年間ですが、中学や高校のような1日中の授業ではなく、
- 平日午後だけの授業
- 1日の授業だが、通学日数が少ない
など、学校によって様々です。
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准看護師は、資格試験の合格率が高い
准看護師は、介護福祉士の試験に比べて、合格率がかなり高く「95.6%」となっています。
こんな感じです。
これは、単純に試験問題の難易度が違うということではなく、
- 2年間も学校に通ったんだから、試験に落ちられないという気持ち
- 奨学金をもらっているのに、試験に落ちるわけにはいかないという圧力
- 一緒に勉強している仲間がいるという環境
が大きく影響しているんだろうな~と思います。(いい意味で)
ちなみに、「准看護師の資格試験って、どんな問題が出るの?」という人は、こちらの記事をご覧ください。
准看護師の方が、資格取得後の給与が高い
厚生労働省が行っている「賃金構造統計調査」によると、准看護師と介護職員の平均年収は、次のようになっています。
月額支給額 | 年間賞与 | 年収 | |
准看護師 | 282,400円 | 641,600円 | 4,030,400円 |
看護補助者 | 216,400円 | 435,100円 | 3,031,900円 |
ホームヘルパー | 240,800円 | 387,400円 | 3,277,000円 |
福祉施設介護員 | 244,500円 | 531,700円 | 3,465,700円 |
グラフにすると、こんな感じです。
比較すると、准看護師の年収は、50~100万円高くなっています。(准看護師の方が、基本給などの基準内賃金はもちろん、夜勤などの各種手当も高くなります)
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准看護師学校(養成所)の合格率と充足率の推移
准看護師学校の合格率は、年々、高くなっています。
逆に、充足率は下がり続けています。
こんな感じです。
2019年度では、
- 合格率 65.4%
- 充足率 79.2%
となっています。
8割以下の充足率(定員割れ)は、かなり深刻な気がしますね。
ただ、准看護師になりたい人からすれば、かなりのチャンスです。
「入学しやすい」ってことなんで。
ちなみに、充足率は、都道府県でかなりのバラツキがあります。
【2019年度 都道府県別 准看護師学校(養成所)の充足率一覧】
鳥取県の「22.9%」から、京都府の「104.0%」まで、かなり違いますね・・・
まとめ
ここで、「准看護師をオススメする理由」について、まとめておきます。
- 病院の奨学金制度を利用すれば、無料で准看護師になれる
- 2年間という短期間で受験資格が得られる
- 「95.6%」の高い合格率
- 資格取得後の給与が高い
- 准看護師学校に入りやすくなっている
准看護師は、
- 慢性期病院(療養病棟)
- 精神科病院
- 介護保険施設
- 診療所(クリニック)
などで欠かせない職種であるため、転職にも強く、安定した収入を得ることができます。
なので、もし、介護の仕事にこだわりがないなら、ぜひ、資格取得を検討してみてください。
准看護師、オススメです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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