この記事では、産前産後休業および育児休業中の
- 健康保険料、厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税
の取扱いについて紹介しています。
「出産を予定している」もしくは、「子どもが欲しいな~」と考えている人は、ぜひ、読んでみてください。
産休・育休中は、社会保険料と税金の優遇がスゴイ!!
まず、結論です。
- 健康保険料、厚生年金保険料:支払いなし
- 雇用保険料:支払いなし
- 所得税:支払いなし
- 住民税:支払いあり
それでは、1つずつ説明していきます。
産休・育休中の「健康保険料・厚生年金保険料」は免除になる
健康保険料・厚生年金保険料が免除(無料)になるのは、次の期間です。
- 産前休業に入った月から
- 育児休業から職場復帰する月の前月分まで
例えば、次のような人の場合、
- 出産日 2019年2月15日
- 産前休業開始日 2019年1月5日
- 育児休業開始日 2019年4月13日
- 職場復帰日 2020年2月15日
産前休業に入った「2019年2月分」の保険料から、育児休業から職場復帰した日の前月である「2020年1月分」の保険料が免除となります。
雇用保険料は、収入がなければかからない
雇用保険は、そもそも収入がなければ保険料はかかりませんので、給与支給のない「産休・育休」であれば支払いはありません。
ちなみに、
- 産前休業開始月
- 育児休業復帰月
については、給与支給額に応じて、雇用保険料が徴収されます。
収入がなければ、所得税はかからない
所得税も雇用保険料と同様に、給料の支給がなければかかりません。
なお、産休・育休期間中に所得税の徴収(源泉徴収)はありませんが、最終的には、年間所得に応じて年末調整で精算されることになります。
「年末調整の仕組み」については、こちらの記事を。
住民税は、翌年以降安くなる
住民税は、前年(1~12月)の所得によって支払額が決まるため、産休・育休期間中であっても支払いは発生します。
ただ、出産手当金および育児休業給付金は「非課税」であるため、翌年の住民税を計算するときの収入に含まれません。
よって、翌年以降(育児休業復帰後)の住民税が安くなります。
つまり、減額される時期(支払い時期)がズレるだけで、事実上、無料ってことです。
ちなみに、住民税の支払いサイクルは次のとおりです。
- 2017年1月~12月の所得から計算された住民税
⇒ 2018年6月~5月の期間に支払い - 2018年1月~12月の所得から計算された住民税
⇒ 2019年6月~5月の期間に支払い
【関連記事】
産休・育休中の保険料免除額および減税額を試算【概算】
産休・育休を取得した場合に「実際どのくらいの額が優遇されるのか」を試算してみます。
条件1(正社員を想定)
- あなたの年齢:30歳
- 家族:配偶者のみ
- 子どもが1歳の時点で職場復帰
- 月額給与25万円(交通費6,500円含む)
産前産後休業「98日間」と育児休業「308日間」の期間で、
- 健康保険料 166,465円
- 厚生年金保険料 309,270円
- 雇用保険料 9,750円
- 所得税 64,740円
- 住民税 160,797円
が免除(減額)となります。
合計額:711,022円
条件2(パート勤務を想定)
- あなたの年齢:30歳
- 家族:配偶者のみ
- 子どもが1歳の時点で職場復帰
- 月額給与15万円(交通費6,500円含む)
産前産後休業「98日間」と育児休業「308日間」の期間で、
- 健康保険料 96,044円
- 厚生年金保険料 178,425円
- 雇用保険料 5,850円
- 所得税 24,050円
- 住民税 95,108円
が免除(減額)となります。
合計額:399,477円
産休・育休で厚生年金保険料が免除されても、年金受給額は減らない
「厚生年金保険料が免除されると、将来の年金額は減っちゃうの?」
と心配される方がいるかもしれませんが、全く心配いりません。
産休・育休で、保険料を免除された期間は、
「産休・育休に入る前の保険料額を支払っている期間」
として扱われます。
つまり、休業しても、しなくても何も変わらないってことです。
ちなみに、日本年金機構のホームページでも、このとおり案内されています。
産前産後休業・育児休業等期間中の保険料免除
この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。
まとめ
ここで、「産休・育休期間中の社会保険料と税金」についておさらいです。
「健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税」は、すべて無料(免除)になります。
かつ、将来の年金受給額も全く減りません。
産休・育休期間中は、社会保険料と税金の優遇だけでなく、社会保険からの給付もあるので、とっても手厚い制度となっています。
出産を考えているなら、ぜひ、ご利用ください。
利用しないのはもったいないので。
なお、社会保険からの給付金についてはこちらの記事を。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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