訪問看護というと、
- 土日、祝日休み
- 夜勤がない
- 比較的、残業が少ない(1日の訪問件数や訪問時間があらかじめ決まっているため)
から、働きやすくていいんだけど、「オンコール体制(24時間対応体制)」があるのが、ネックなんだよね・・・
という人が多いです。
たしかに、オンコール体制(24時間対応体制)と聞くと、
「いくら夜勤がなくても、オンコールで夜中とかに呼び出されるのは嫌だな~」
となっちゃいますよね。
ただ、
- 夜間早朝の連絡がほとんどない
- 緊急訪問が数か月に1回程度
なら、そんなに負担にならないと思いませんか?
もちろん、何もなくても、オンコール手当はもらえますし。
そこで、この記事では、
「オンコール体制の実態(待機回数、緊急訪問回数、手当額など)」
について、色々と調べてみましたので、うちの事業所の状況も含め、まとめておきます。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 訪問看護に興味がある
- オンコール体制がなければ・・・
- 緊急訪問って、どのくらいあるの?
- 他の事業所(訪問看護)って、どんな体制でやっているの?
緊急訪問は、ほぼなし!オンコール体制は、そんなに負担じゃない!?
まず、結論です。
- オンコール体制(24時間対応体制)がある訪問看護ステーションは、全体の9割以上
- 緊急訪問の回数は、月1~3回の事業所が8割
- 1日あたりのオンコール担当者は、1~2人の事業所が約75%
- オンコール手当額は、「1,000~5,000円(1回)」と、バラつきがスゴイ!
それでは、1つずつ説明していきます。
オンコール体制(24時間対応体制)がある訪問看護ステーションは、全体の9割以上
訪問看護ステーションが、「24時間対応体制」を整備するのは、
- 緊急時訪問看護加算(介護保険)
- 24時間対応体制加算(医療保険)
により、介護報酬・診療報酬が高くなるからです。(収入が増える)
金額としては、ざっくりですが、月間5,700~6,500円って感じです。
「え!?たったの5,700~6,500円?」
と思ったかもしれませんが、対象となる患者・利用者全員から毎月算定できるため、結構の金額になります。
厚生労働省の調査によると、平成29年7月現在で、緊急時訪問看護加算を届出している事業所は、「90.3%」となっています。
このとおり。
出典:厚生労働省「訪問看護のサービス提供の在り方に関する調査研究事業」
また、全国訪問看護事業協会さんが平成27年に行った別調査においても、
- 緊急時訪問看護加算 89.2%
- 24時間対応体制加算 85.4%
となっているため、「訪問看護ステーション = オンコール体制(24時間対応体制)あり」ってことになります。
こんな感じです。
出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
緊急訪問の回数は、月1~3回の事業所が8割
訪問看護には、原則、オンコール体制があることは、お分かりいただけたと思いますが、問題は、
「どのくらいの頻度で、緊急訪問があるのか?」
ではないでしょうか?
というのも、オンコールの当番(担当)になったとしても、緊急時の連絡や訪問がなければ、負担になることはありませんので。(もしもの時は訪問しなければならないという、心理的負担などはありますが・・・)
そこで、まず、緊急訪問の頻度について、1ヶ月間で、訪問看護を行った事業所がどのくらいあるかを見てみます。
出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
約7割の事業所が、1ヶ月のうちで「緊急訪問を1回以上」行っています。
次に、緊急訪問を行った事業所が、どのくらいの訪問回数だったかを見てみます。(平成27年調査)
出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
緊急訪問の回数は、1~3回の事業所が一番多く「41.7%」となっており、次いで、4~6回の「23.0%」、7~9回の「12.5%」となっています。
また、その後、平成29年7月に行われた、厚生労働省の調査においても、緊急訪問の回数は、
- 1回 55.5%
- 2回 15.5%
- 3回 8.9%
- 4回 5.4%
- 5回以上 8.7%
となっておりますので、月1~3回の事業所が多いということになります。
このとおり。
出典:厚生労働省「訪問看護のサービス提供の在り方に関する調査研究事業」
ちなみに、緊急訪問を行った回数のうち、早朝・夜間・深夜だった回数を見てみると、
- 0回 52.1%
- 1回 28.8%
- 2回 7.0%
- 3回 3.1%
- 4回 1.3%
- 5回以上 1.5%
となっていますので、早朝・夜間・深夜の緊急訪問は、ほぼないと言えそうです。
こんな感じです。
出典:厚生労働省「訪問看護のサービス提供の在り方に関する調査研究事業」
ちなみに、うちの事業所の場合は、患者の状態などにより、バラつきはありますが、月平均10回程度の緊急訪問を行っています。
1日あたりのオンコール担当者は、1~2人の事業所が約75%
続いては、
「オンコールって、何人で担当するの?」
についてです。
出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
1人体制が「41.8%」と一番多く、次いで2人体制「32.9%」となっています。
オンコールを担当する看護職員さんからすれば、2人以上の体制の方が、もしものときに安心だと思いますので、事業所を探す際は、そのあたりも確認しておくと
「こんなはずじゃなかったのに・・・」
をなくすことができます。
オンコール手当額は、「1,000~5,000円(1回)」と、バラつきがスゴイ!
次は、オンコールを担当したときの手当額です。
全国訪問看護事業協会さんの調査によると、
- 1,000~2,000円未満 34.2%
- 2,000~3,000円未満 31.0%
- 3,000~4,000円未満 10.1%
が多く、「5,000円以上」のところも、4.1%となっています。
このとおり。
出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
この調査を見るだけでも、かなり金額にバラつきがありますので、しっかり事前に確認しておくことが大切です。
ちなみに、うちの事業所では、2人体制でオンコールを行っているため、
- 第1当番 3,000円(1回)
- 第2当番 1,000円(1回)
としています。(もちろん、緊急訪問を行った際は、別途手当を支給しています)
電話対応・連絡の頻度はどのくらい?(緊急訪問の必要のない)
「緊急訪問の回数が少なくても、電話対応が多かったら・・・」
という人もいるかと思いますので、オンコール当番(担当)中の電話対応の頻度について、色々と調べてみたんですが、公式で行われた調査は見つけられませんでした。
なので、参考程度に、うちの事業所の状況を紹介しておきます。
- 電話連絡が全くない日は、月の3分の1ぐらい
- 平均的には、数件の電話がある
- 早朝、深夜の連絡は少ないが無いわけではない
ただ、患者の状態によって、かなりのバラツキがありますので、月によっては、半分以上、連絡がないということもあります。(もちろん、逆の場合も)
このあたりは、事業所によっても、大きく違いそうです。
まとめ
ここで、「訪問看護ステーションにおける、オンコール体制」についてまとめておきます。
- 訪問看護ステーションで働くなら、オンコール体制は覚悟しよう
- 看護師1人あたりの緊急訪問の回数は、多くても月1回程度(患者の状態による)
- 2人体制でオンコールを行っている事業所の方が安心度が高い
- オンコール手当額は、事業所によって、バラつきがスゴイので、しっかり確認を!!
オンコール体制(24時間対応体制)の実態を知ると、少しは、訪問看護のイメージが変わったんじゃないでしょうか?
もし、訪問看護に興味があり、「どうしようかな~」と迷っている人や、現在、訪問看護で勤務していて、「オンコールが多くてツライ・・・」という人は、色々な事業所を探してみることをオススメします。
現在は、強烈な売り手市場になっていて、働きやすい職場を見つけやすいですし。
ちなみに、訪問看護ステーションの離職率は、「19.1%」とかなり高めです。
その理由としては、営利法人(株式会社など)が運営する訪問看護ステーションの割合が急増したことが1つの要因だと思われます。
なので、情報収集をしっかり行い、事業所選びを慎重に行うようにしてください。
【関連記事】
訪問看護師の離職率と訪問看護ステーションの探し方について、詳しくは、こちらの記事を。
⇒訪問看護師の離職率と退職理由【訪問看護ステーション探しは慎重に】
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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