この記事では、国家資格の取得や仕事のスキルアップなどを目指す人が利用できる「専門実践教育訓練給付金」について、まとめています。
専門実践教育訓練給付金は、雇用保険の加入期間が3年以上ある人なら、給付を受けられる可能性があります。
給付額は、最大で224万円です。
結構な金額になるので、利用しないのは、もったいないです。
ぜひ、活用してみてください。
専門実践教育訓練給付金とは?
国家資格などの取得や教育訓練講座を受講した場合に給付金が支給される制度です。
給付の対象となる資格や教育訓練講座
次のいずれかに該当するものは、すべて給付の対象となります。
- 業務独占資格、名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の課程
- 専門学校の職業実践専門課程及びキャリア形成促進プログラム
- 専門職大学院
- 職業実践力育成プログラム
- 一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程
- 第四次産業革命スキル習得講座
- 専門職大学、専門職短期大学、専門職学科の課程
これだと、全くわからないと思うので、いくつか対象資格を載せておきます。
【医療・社会福祉・保健衛生関係の資格】
- 看護師
- 准看護師
- 助産師
- 保健師
- 介護福祉士
- 美容師
- 保育士
- 栄養士
- 歯科衛生士
- 歯科技工士
- 社会福祉士
- 柔道整復師
- 精神保健福祉士
- 臨床工学技士
- 言語聴覚士
- 理学療法士
- 作業療法士など
その他の資格(講座)は、こんな感じです。(一部重複していますが・・・)
出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」
なお、給付の対象となる資格や教育訓練講座は、厚生労働省のサイトで検索できます。
⇒教育訓練給付制度「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」
支給額:最大で受講費用の70%
専門実践教育訓練の受講中と修了したときに、給付金が支給されます。
支給額は、次のとおりです。
専門実践教育訓練中 | 専門実践教育訓練の修了後 | |
支給額 (受講者が支払った教育訓練経費に右欄の割合を掛けた金額) |
50% (4,000円を超える場合) ※上限額:1年40万円 |
20% (4,000円を超える場合) ※上限額:1年あたり16万円 |
専門実践教育訓練の対象となる講座(通学等の期間)は、原則、1年以上3年以内の資格取得に必要な最短の期間となります。
なので、
- 専門実践教育訓練中の支給最大額は、120万円(3年分)
- 専門実践教育訓練の修了後の支給最大額は、48万円(3年分)
となります。
ただし、法令上最短4年の専門実践教育訓練(専門職大学等、管理栄養士の養成課程)を受講している人については、3年目受講修了時に、専門実践教育訓練給付の10年間における支給上限額168万円((40万円+16万円)×3)に4年目受講相当分として上限56万円(40万円+16万円)が上乗せされますので、最大224万円の支給となります。
専門実践教育訓練給付金の「支給対象となる人」
次の1または2のどちらかに該当する人が、専門実践教育訓練給付金の支給対象となります。
1.雇用保険の被保険者で、次のすべての要件を満たす人
- 専門実践教育訓練の受講を開始した日(受講開始日)に雇用保険の被保険者であること
- 支給要件期間が3年以上あること
- 厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了する見込みで受講していること(修了した人)
2.雇用保険の被保険者であった人で、次のすべての要件を満たす人
- 専門実践教育訓練の受講を開始した日(受講開始日)に雇用保険の被保険者でないこと
- 雇用保険の被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であること
- 支給要件期間が3年以上あること
- 厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了する見込みで受講していること(修了した人)
なお、「支給要件期間」とは、次のとおりです。
出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の給付金のご案内」
支給対象の可否をフローチャートで確認
支給対象になるかどうかは、次のフローチャートでチェックすると簡単です。
出典:厚生労働省「教育訓練給付制度のご案内」
質問事項に、「はい・いいえ」で答えていき、「教育訓練給付が受けられます」に
なった人は、支給対象者となります。
支給手続きの流れ
専門実践教育訓練給付金の支給を受けるためには、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければなりません。
なので、たとえば、「現在、看護師学校に通っていて、専門実践教育訓練給付金の制度を知ったから支給申請しようかな?」というのはできません。
資格取得をしたいと思ったら、まず、お住いの地域のハローワークに相談しましょう。
相談すれば、受給資格の有無や手続き(申請など)について教えてくれますので、安心です。
ちなみに、「支給までの流れ」としては、次のとおりです。
【専門実践教育訓練給付金の支給までの流れ】
また、参考までに「受講前の申請手続き」と「支給申請手続き」の主な提出書類を載せておきます。
【受講前の申請手続き書類】
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワーク等で配布)
- ジョブ・カード(訓練前キャリア・コンサルティングでの発行から1年以内のもの)
- 本人・住居所確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- マイナンバー確認書類(マイナンバーカードや通知カードなど)
- 写真2枚(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
【支給申請手続き書類】
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証(ハローワークから交付)
- 教育訓練給付金支給申請書
- 受講証明書
- 領収書
- 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要)
病院などからの奨学金をもらっても、支給されるのか?
看護師や准看護師の資格を取得する人のために「奨学金制度」を設けている病院は多いです。
この病院の奨学金制度には、ほとんどの場合「免除規定」があり、一定の条件を満たせば、奨学金の返済は不要となります。
つまり、「奨学金返済の心配はいらない」ってことです。
で、
「病院などの奨学金と専門実践教育訓練給付金の併用(ダブル受給)はできるのか?」
ですけど、結論から言うとできません。
根拠としては、次のとおりです。
⑥ 奨学金制度を利用している者について
奨学金制度(名称の如何を問わず、在学者の学業の奨励等を目的とし、受講者本人が負担すべき教育訓練経費(入学料及び受講料)に充てるべき性質を有する制度) を利用している受講者の受講証明書及び専門実践教育訓練修了証明書を発行する際には、備考欄に当該奨学金の額を明記するとともに、当該奨学金が給付されている場合(返済義務がない場合等)は、以下のイ~ロのとおり教育訓練経費から差し引く必要があること。
イ 返済義務のない奨学金についての留意点
返還義務のない奨学金が給付された場合については、受講者が自らの名で支払った費用とは認められないことから、教育訓練経費から差し引く必要がある。
ロ 返済義務のある奨学金についての留意点
教育訓練給付金は、受講者本人が負担した経費に対して給付を行うものであるから、返済義務のある貸与型の奨学金についても、実際に受講者本人の支払いが確認されたものであることが必要である。
このことから、返済義務があるからといって、教育訓練経費と相殺する旨の取扱(教育訓練経費が支払われたものと見なす取扱)は適当でなく(注1)、当該奨学金が各支給単位期間に係る支給申請までに返済された場合に教育訓練経費とすること。
(注1)クレジット払いの場合は、本人が実際にクレジット会社に返済したか否かに関わらず、教育訓練経費とすることが可能となっているが、専門実践教育訓練実施者、教育訓練施設若しくは専門実践教育訓練実施者の関係団体から直接給付を受ける場合、奨学金の流れが不透明になるおそれがあることからこのような取扱いとしている。
出典:厚生労働省「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)関係手引」
なので、看護師・准看護師の資格取得を考えている人は、専門実践教育訓練給付金よりも、病院などの奨学金制度を利用したほうが負担が少なくて良いと思います。
もちろん、奨学金制度の内容(条件や目的など)によっては、一概に言えませんが。
【関連記事】
病院の奨学金制度について、詳しくは、こちらの記事を。
⇒病院の「奨学金審査」を100%通す方法【学費無料で看護師になるには】
まとめ
ここで、「専門実践教育訓練給付金」について、まとめておきます。
- 支給要件期間(雇用保険加入期間)が3年以上ある人の資格取得を支援
- 対象資格(講座)は、厚生労働大臣が指定した業務独占資格、名称独占資格など幅広く選択できる
- 支給額は、最大で受講費用の70%
- 支給を受けるには、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」が必須
- 病院などの奨学金制度との併用は原則不可
専門実践教育訓練給付金は、「最大224万円(年間56万円)」と、かなりありがたい制度となっています。
資格取得を考えているなら、ぜひ、利用を検討してみてください。
また、専門実践教育訓練給付金の受給ができる人は、一定の条件を満たすと「教育訓練支援給付金」という生活費の支援が受けられます。
支給額は、基本手当日額の80%で、「最大で月額18万円程度」になります。
かなりお得な制度なので、ぜひ、こちらの利用も検討してみてください。
【関連記事】
「教育訓練支援給付金」について、詳しくは、こちらの記事を。
⇒【45歳未満に給付】教育訓練支援給付金(生活費を支援)で資格取得を!
なお、ひとり親(シングルマザーなど)の方の場合、支給要件期間(雇用保険加入期間)が3年なくても、資格取得の際に利用できる制度があります。
詳しくは、こちらの記事でまとめていますので、チェックしてみてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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