この記事では、賞与(ボーナス)にかかる
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
の「計算方法(手順)」と「賞与支給額別の社会保険料額早見表」を紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 社会保険への加入を考えている
- 大まかな社会保険料額を知りたい
- 毎月引かれている社会保険料の仕組みを知りたい
- 仕事で「社会保険手続き」を担当している
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健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の計算方法(手順)
「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」の計算手順は同じです。
唯一、違うのは「保険料率」となります。
【計算手順】
- 賞与の総支給額から「標準賞与額」を計算する
- 健康保険、介護保険、厚生年金の保険料率を確認する
- 標準賞与額に各種保険料率をかけ、「保険料の全額」を算出する
- 「保険料の全額」に2分の1をかけ、「被保険者負担分の保険料額」を算出する
なお、計算式にすると、
標準賞与額 × 保険料率 ÷ 2 = 保険料額(被保険者負担分)
となります。
それでは、1つずつ説明していきます。
賞与の総支給額から「標準賞与額」を計算する
標準賞与額は、賞与の総支給額(1回に対し)の1,000円未満の端数を切り捨てた額となります。
たとえば、
賞与の総支給額が「800,900円」であれば、標準賞与額は「800,000円」
となります。
また、標準賞与額には上限があり、
- 健康保険は年間573万円まで(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)
- 厚生年金保険は月間150万円まで
の範囲で設定されます。
詳しくは、こちらを。
健康保険、介護保険、厚生年金の保険料率を確認する
健康保険の保険料率は、都道府県によって変わりますが、介護保険および厚生年金保険の保険料率は全国統一です。
各種保険料率は、全国健康保険協会の公式サイトにある「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」で確認します。
⇒全国健康保険協会「平成31年度保険料額表(平成31年4月分から)」
ダウンロードした「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の赤く囲った所が保険料率となります。
この表では、
- 健康保険 9.90%
- 介護保険 1.73%
- 厚生年金保険 18.3%
となります。
なお、介護保険料は、40歳以上65歳未満の人しか賞与から引かれませんので、計算するときは注意してください。
標準賞与額に各種保険料率をかけ、「保険料の全額」を算出する
次に、標準賞与額に各種保険料をかけていきます。
標準賞与額「800,000円」で、健康保険料率「9.9%」であれば、
800,000円 × 9.9% = 79,200円
となります。
この金額が、健康保険における事業主と被保険者(職員)が負担する「保険料の全額」です。
「保険料の全額」に2分の1をかけ、「被保険者負担分の保険料額」を算出する
「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」は、事業主との折半のため、最後に2分の1をかけます。
健康保険における「保険料の全額」が79,200円の場合は、
79,200円 ÷ 2 = 39,600円
となります。
この金額が、賞与1回に対し引かれる「被保険者(職員)負担分の健康保険料額」です。
健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料額を試算してみる
次の条件で、計算してみます。
- 被保険者の年齢 40歳
- 賞与の総支給額 759,800円
- 標準賞与額 759,000円
- 健康保険(東京都) 9.90%
- 介護保険料 1.73%
- 厚生年金保険料 18.3%
計算式にあてはめてみると、
- 759,000円 × 9.9% ÷ 2 = 37,570円(健康保険)
- 759,000円 × 1.73% ÷ 2 = 6,565円(介護保険)
- 759,000円 × 18.3% ÷ 2 = 69,448円(厚生年金保険)
となります。
結果、合計額は、115,862円です。
結構、引かれますよね・・・
雇用保険料の計算方法(手順)
雇用保険料は、賞与の総支給額に保険料率をかけ計算されます。
【計算手順】
- 事業の種類に応じた、保険料率を確認する
- 賞与の総支給額に保険料率をかける
なお、計算式にすると、
賞与の総支給額 × 保険料率 = 保険料額(労働者負担分)
となります。
それでは、1つずつ説明していきます。
事業の種類に応じた、保険料率を確認する
雇用保険は、「事業の種類」よって、保険料率が変わってきます。
こんな感じで。
2019年度(4月~3月)における、労働者負担の保険料率は、
- 一般の事業 0.3%
- 農林水産・清酒製造の事業 0.4%
- 建設の事業 0.4%
となります。
賞与の総支給額に保険料率をかける
「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」では、「保険料の全額」を折半しましたが、雇用保険の場合「労働者負担の保険料率」が明示されていますので、そのまま保険料率をかけていきます。
賞与の総支給額「800,900円」で、雇用保険料率「0.3%」であれば、
800,900 × 0.3% = 2,403円
となり、この金額が「月額の雇用保険料」となります。
ちなみに、計算結果に小数点以下が出た場合は、次のとおり処理します。
被保険者負担額を源泉控除する場合
被保険者負担額の端数が、50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げとなります。
出典:和歌山労働局「雇用保険の被保険者負担額の端数処理について」
雇用保険の保険料額を試算してみる
次の条件で、計算してみます。
- 賞与の総支給額 759,800円
- 雇用保険料率(一般の事業) 0.3%
計算式にあてはめてみると、次のようになります。
759,800 × 0.3% = 2,279円(雇用保険)
賞与支給額別 社会保険料額 早見表
社会保険料額が、パッと見でわかるように「早見表」にしておきます。
参考程度に、ご覧ください。
ちなみに、こんな条件でつくってあります。
- 被保険者(社会保険に加入している人)の負担額を表示
- 健康保険料率は、全国健康保険協会の平均値「10%」を使用
- 雇用保険料率は、「一般の事業」を使用
- 賞与の総支給額100,000~1,000,000円の範囲で作成
賞与の総支給額「100,000円~500,000円」
賞与の総支給額「525,000円~1,000,000円」
まとめ
ここで、「賞与にかかる社会保険料額を計算するときのポイント」をまとめておきます。
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の計算
- 健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料額の計算手順は同じ
- 計算式は、「標準賞与額 × 保険料率 ÷ 2 = 保険料額」
- 標準賞与額は、賞与の総支給額(1回に対し)の1,000円未満の端数を切り捨て額
- 「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」で、保険料率を確認する
- 「健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料」は、事業主との折半
雇用保険料の計算方法
- 雇用保険料の計算式は、「賞与の総支給額 × 保険料率 = 保険料額」
- 雇用保険は「事業の種類」よって、保険料率が変わる
- 雇用保険に「報酬賞与額」という言葉はない
社会保険料の計算って、複雑で難しそうに感じますが、1つずつ順を追って計算してみると、結構わかりやすいしくみだと思います。
計算自体は、足し算、かけ算、割り算しか使いませんし。
興味があれば、給与明細を見ながら、社会保険料が間違っていないか計算してみてください。
計算がピッタリ合うと、結構、スッキリしますよ~(笑)
なお、
「毎月の給与から天引きされている社会保険料の計算はどうやるの?」
という人は、こちらの記事を。
⇒【毎月の給与】社会保険料の計算方法(手順)と保険料額早見表
また、「社会保険料の徴収ルール」については、こちらの記事をご覧ください。
⇒社会保険料の支払いルールとは?【入職月、退職月、2ヶ月分控除、日割り計算の有無】
⇒退職日と社会保険料(健康保険・厚生年金)の関係【いつ辞めるとお得?】
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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