この記事では、雇用保険における
- 基本手当(いわゆる、失業保険)
- 再就職手当
- 就業促進定着手当
の受給額を自動計算する「エクセルファイル(無料)」を紹介しています。
こんな人に使ってもらえると嬉しいです。
- 退職(転職)を考えている人
- 「失業保険の給付日数が残ってるから、早く就職しちゃうと損かな?」と思っている人
- 組織(会社等)で、社会保険手続きを担当している人
基本手当(失業保険)および再就職手当等算出表【概算】
こんな感じの表です。
なお、入力(選択)箇所は「黄色のセル部分」だけで、すっごく簡単です。
エクセルファイルのダウンロード(無料)
「基本手当(失業保険)および再就職手当等算出表」ダウンロード
【令和6年8月1日現在の制度(法令)対応版】
【令和5年8月1日現在の制度(法令)対応版】
【令和4年11月28日現在の制度(法令)対応版】
基本手当(失業保険)および再就職手当等算出表の使い方
使い方は、すっごく簡単です。
次の5つの項目(黄色のセル部分)を入力(選択)するだけです。
その他の項目(セル)は、すべて自動計算してくれます。
- 離職時の年齢
- 離職前6ヶ月間の月額平均給与
- 雇用保険加入期間(被保険者期間)
- 退職理由
- 支給残日数
- 再就職後6ヶ月間の月額平均給与
- 再就職日(入職日)
それでは、1つずつ入力(選択)項目の説明をしてきます。
離職時の年齢
退職日(離職日)の年齢を次の5つから選択します。
- 29歳以下
- 30~34歳
- 35~44歳
- 45~59歳
- 60~64歳
なお、入力は、リストから選択する「プルダウン」にしてあります。
こんな感じです。
離職前6ヶ月間の月額平均給与
退職前6ヶ月間の給与額(総支給額)を6で割った数字を入れます。
入力は、数字を直接入力してください。(プルダウンではありません)
ちなみに、月額給与にほぼ変動がない場合は「直近の月額給与」でいいと思います。
雇用保険加入期間(被保険者期間)
退職した職場(会社等)で働いていた期間です。
次の中から、「プルダウン」で選択できます。
- 1年未満
- 1年以上5年未満
- 5年以上10年未満
- 10年以上20年未満
- 20年以上
なお、転職等で雇用保険の被保険者であった期間に空白がある場合で、その空白期間が1年以内の場合には、前後の被保険者であった期間を通算することができます。
ただし、基本手当(失業保険)や再就職手当をもらっていないことが、被保険者期間を通算する条件となります。
退職理由
次の2つの中から、退職理由を選択(プルダウン)します。
- 自己都合による退職(一身上の都合など)
- 会社都合等による退職(倒産、解雇等など)
なお、「障害者等の就職困難者」については、このファイルでは計算できません。
支給残日数
「再就職手当」の金額を求める場合に使用します。
就職日を基準とし、残りの給付日数(支給残日数)を直接入力してください。
再就職後6ヶ月間の月額平均給与
「就業促進定着手当」の金額を求める場合に使用します。
再就職後6ヶ月間の給与額(総支給額)を6で割った数字を入れます。
入力は、数字を直接入力してください。(プルダウンではありません)
ちなみに、月額給与にほぼ変動がない場合は「直近の月額給与」でいいと思います。
再就職日(入職日)
「就業促進定着手当」の金額を求める場合に使用します。
再就職先の入職日を入力します。
基本手当(失業保険)および再就職手当等算出の見方
次の条件で試算すると、
- 離職時の年齢:30~34歳
- 離職前6ヶ月間の月額平均給与:300,000円
- 雇用保険加入期間(被保険者期間):5年以上10年未満
- 退職理由:自己都合による退職
- 支給残日数:80日
- 再就職後6ヶ月間の月額給与額:280,000円
- 再就職日(入職日):2022年8月1日
結果はこうなります。
【自動計算結果】
この結果をもとに、各項目について説明していきます。
賃金日額
離職前6ヶ月間の給与合計額を、180で割った金額です。
月額平均給与を「30万円」で設定してますので、賃金日額は、10,000円となります。
基本手当日額
賃金日額の約45~80%の範囲で設定されます。
こんな感じです。
出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります(令和4年8月1日から)」
離職時の年齢「30~34歳」で、賃金日額「10,000円」ですから、給付率80~50%の範囲に該当します。
結果、基本手当日額は「5,971円」となっています。
所定給付日数
あなたが、基本手当(失業保険)をもらえる最大日数です。
所定給付日数は、
- 離職時の年齢
- 雇用保険加入期間(被保険者期間)
- 退職理由
の3つの条件により決定されます。
一覧表にするとこんな感じです。
自己都合による退職(一身上の都合など)
雇用保険の被保険者であった期間 | |||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
全年齢 | - | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合等による退職(倒産、解雇等など)
雇用保険の被保険者であった期間 | |||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30~34歳 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35~44歳 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45~59歳 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60~64歳 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
「自己都合による退職」で、雇用保険加入期間を「5年以上10年未満」として試算していますので、所定給付日数は「90日」となります。
失業保険支給合計額
所定給付日数分、失業保険をもらった場合の金額です。
今回の試算では、給付日数90日間で「537,390円」が給付されます。
再就職手当に係る基本手当日額
再就職手当は、基本手当(失業保険)の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して、再就職した場合に支給される手当です。
そして、「再就職手当に係る基本手当日額」とは、その再就職手当の金額を計算するときの1日あたりの金額となります。
「再就職手当に係る基本手当日額」は、原則は、「基本手当(失業保険)の基本手当日額」と同じですが、上限額が別々に設定されています。
【再就職手当に係る基本手当日額の上限額】
- 離職時の年齢が60歳未満の場合 6,190円
- 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の場合 5,004円
そういった理由から、「基本手当(失業保険)の基本手当日額」と「再就職手当に係る基本手当日額」は違いが生じる場合があります。
今回の試算については、基本手当日額が「6,190円」を超えてないため、基本手当(失業保険)の基本手当日額の「5,971円」が、そのまま「再就職手当に係る基本手当日額」となります。
なお、「再就職手当」には、いくつかの支給要件があります。
詳しくは、こちらの記事を。
支給率
再就職手当は、支給残日数によって、支給率が変わってきます。
- 所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合は、支給率60%
- 所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合は、支給率70%
今回の試算では、「80日(支給残日数)/90日(所定給付日数)」のため、支給率は70%となっています。
なお、再就職手当が支給される「支給残日数」は次のとおりです。
(ハローワーク「雇用保険の失業等給付受給者のしおり」からの引用です)
再就職手当の額
支給残日数分の再就職手当の合計額です。
今回の試算では、
基本手当日額「5,971円」× 支給残日数「80日」× 70% = 334,376円
となります。
前職と再就職先の賃金日額の差額
転職前後の1日分の賃金の差額です。
今回の試算では、
前職の賃金日額「10,000円」- 再就職後6ヶ月間の賃金日額「9,333円」= 667円
となります。
就業促進定着手当の上限額
就業促進定着手当には、支給上限額があります。
今回の試算では、
基本手当日額「5,971円」× 支給残日数「80日」× 30% = 143,304円
となります。
就業促進定着手当の額
就業促進定着手当の支給額です。
就業促進定着手当の支給額は、次の式で計算されます。
就業促進定着手当の支給額 =
(離職前の賃金日額 - 再就職後6ヶ月間の賃金日額)× 再就職後6ヶ月間の賃金支払基礎日数
今回の試算では、
(10,000円-9,333円)× 184日 = 122,728円
となります。
【関連記事】
就業促進定着手当の支給要件について、詳しく説明しています。
エクセルシートの説明
「基本手当(失業保険)および再就職手当等算出表」のエクセルファイルには、2つのシートがありますが、使用するのは「雇用保険基本手当日額等算出」というシートだけです。
なお、「計算シート」は、使用しないでください。
まとめ
退職を考えるとき、事前に「失業保険の給付期間や給付額」がわかっていると、転職活動の不安を軽減できます。
転職活動に使える期間の目安にもなりますし。
ぜひ、退職(転職)を考えている人は、失業保険がどのくらい支給されるかチェックしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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